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ランタナ・パーティ  作者: 鈴木まる
第9章 宝探しゲーム
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第46話 ゲームセット

 程よく弾力のある壁に頭や背中をぶつけながら、都紀ときがうめいた。


「これ、な、何が、ど、どうなって……」


魔法の発動者のリアムは、水の部屋の床にあたる部分から足が離れず真っ直ぐに立っている。しかし、それ以外の者は、かき混ぜられたスープの具材よろしくあっちこっちへ飛ばされ続けていた。


「わかんないけど……砕石帯に水が溜まってて、それが俺の爆破で出てきちゃったのかも……痛っ!」


柘紀つきの懐から転がり出たハリネズミのとげ丸が腕に当たり、アベルは腕を引っ込めた。説明を聞いても都紀にはよくわからなかった。とにかくこの状態が、さっさと収まってほしかった。


「そうだ、今のうちに、うわ……言っとくね。その腕に付けてるのは、私たちの空賊の……いたっ……バンダナだよ。つけてる人に危険が迫ると全員のバンダナが発熱して、ピンチを知らせて……わっ……くれるの」


ぐわんぐわん逆さになったり弾力があるとはいえ壁に叩きつけられたりしながら、この寧々って人よく話すなと都紀は思った。今もバンダナは熱いままだ。柘紀の足の怪我のせいだということなら、辻褄は合う。「幸せの黄色いハンカチ」かと思い、二人で一生身につけておこうと決めて喜び勇んで手首に巻いたのにがっかりだ。


 都紀がバンダナを外して返してしまおうかと思ったその時、突然周囲が明るくなった。同時に響く、パンパン、と鋭い破裂音。


 まだ光に慣れない目を細めながら、五人と一匹はぐるりと周りを見回す。水の部屋はゆるゆるとスピードを落とし止まった。全員何が起きているのかよく分からなかった。リアムが大きく息をつき魔法を解いた。よりはっきり周囲の様子が見えた。五人と一匹は鉱山の外にいた。頭上から耳の中に反響するような声が降ってくる。


「今、ゴォォォォル!!! なんと水流に乗って登場だ! さあ、都紀選手! コインを渡して下さい!」

「え、じゃあさっきの音は、ゴールを知らせる音……?」


 司会の男を見上げてアベルが呟く。柘紀に促され、都紀は道具袋からコインを取り出し近くに立っていたサフィール空賊団員に見せた。団員はコインを手に持つと表と裏を見てから、指で弾いた。空中でクルクルと回りながら、コインは別の形に変化した。都紀の腕の長さ程の筒。巻かれた紙のようだ。


「はい、紛うことなきわが空賊団特製のコイン、いや、コインに変化させていた優勝賞品の地図です! さあ、見事この宝探しゲームを征した二人と一匹に拍手ー!!!」


賞品を受け取っても、ゲームが終わった実感が都紀には湧かなかった。




 敵同士なので当然といえば当然だが、観覧席での拍手はパラパラと気のないものだった。そしてみなさっさと撤退していく。サラたちも参加した三人と合流するため一旦船に戻ることにした。バンダナと地図についてまた考えなくてはいけない。


 船で合流した一行は状況を確認し合った。三人の無事な姿を見てサラは安心したが、上手くかける言葉が見つからなかった。代わりに湯を沸かしお茶を淹れた。


「すぐに探しに行きましょう! 地図はともかくバンダナを持っていかれては、大変困ります」


出されたお茶を一口だけ飲み、リアムが食堂のテーブルを叩いた。


 優勝した都紀たちは、サフィール空賊団員の魔法でゴール地点から自分たちの船まで瞬間的に戻されたそうだ。そうでもしなくては、血気盛んな空賊たちに優勝賞品を奪われてしまうからというサフィール空賊団の配慮だった。律儀な空賊である。


「ああ……しかし、お前たちはここで待機だ。リアム、お前が責任を感じることはない」

「何にせよ、バンダナを持ってる限りあなたか私の魔法で見つけられるんだから」


今にもまた外に飛び出していきそうなリアムを、スヴェンとマイリがなだめた。その通りだとサラも頷く。


「私たちは見てただけだからな。お前らは休んどけ」


リアムはもちろん、アベルと寧々の顔にも疲れが見えた。それはそうだ。鉱山の中を半日も動き回っていれば疲労はたまる。


「さぁて、ではさっそく探しちゃおうかしら! その双子とやらを」


マイリがすぐさま陣を描き呪文を唱える。唱え終わってすぐ目を見開く。


「どうしたんだよ」


サラに小突かれたマイリは首をひねる。


「間違えたかしら。バンダナがすぐそこの……」

「たのもー!」

「失礼するー!」


マイリがドアの方を指差すのと同時に、二人分の声が響いた。そしてこちらが誰も答えていないのにも関わらず、食堂の扉がバタンッと勢いよく開いた。


「君たち、さっきの……!」


アベルがあ然として二人とその間に立つハリネズミ一匹を見つめた。


「提案がある!」

「そう、悪い話じゃない」


双子の一人が懐から先ほど手渡されたばかりのグスト島への地図を取り出した。


「この地図をあげるから」

「僕たちを仲間に入れて」


ハリネズミはスンスンと鼻を上下させる。サラたちはたっぷり三秒珍客を見つめたあと、一斉にスヴェンに視線を移した。スヴェンはまさかの提案をしてきた彼らから目を逸らさない。


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