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ランタナ・パーティ  作者: 鈴木まる
第9章 宝探しゲーム
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第39話 開始

 サラはすぐさま仲間たちに盗難について知らせた。マイリが、魔法でバンダナの位置を割り出してみると……


「この島にいるわね、二人よ。止まってるみたいだけど……。ここから北東に一キロくらいかしら」

「それって、もしかしてゲームの開始地点じゃない? バンダナ持って参加するのかも」


もぐもぐと盗まれていなかった干しぶどうを朝食につまみながら、寧々《ねね》が指摘した。まだ早いがゲームに参加するのならば、もう待機していてもおかしくはない。


「じゃ、ゲーム中にコイン探しつつ犯人も探せばいいんだね」


朝食を食べ終わったアベルはテーブルの上に大小様々な爆弾らしきものを並べながら言った。パッと見ただけでは、同じ碧瞳へきとう族のサラでも使用方法がわからないものがいくつもあった。本人はしっかり確認できたのか、満足げに「よし!」と頷いている。


「なかなか難しいことを、簡単に言いますね」


リアムはしょうがないなぁと笑っていた。


「まだ、その人たちがゲームに参加するかどうかも定かではないですが……マイリさん、とりあえずその探索魔法を僕にも教えてください」

「ノーチェスも気付かなかったなんて、よほど気配を消すのが上手いな……」


スヴェンのつぶやきに、部屋の隅の止まり木にいたノーチェスが「ホー……」と悲しげに返した。




 リアム、アベル、寧々がゲームに参加している間、サラたちは高所に設置されている観覧席に行くことになっていた。ノーチェスは船番だ。


 観覧席と言っても、鉱山の中の様子は見られない。岩と土がむき出しでなんの植物も生えていない鉱山は、周囲の生命を吸い取ってしまう魔物のように、サラには見えた。時折カラカラと音を立てて石が転がり落ちた。


 中の様子が見えない代わりと言ってはなんだが、巨大な魔法の地図が鉱山の真上に表示されていた。点で示された仲間たちの現在地がわかるようになっていた。もちろん、外で観覧している者から敵の位置などの情報を中へは伝達できない。あらゆる技術、魔法、術でもってそれは封じられていると観覧席に注意事項として書かれていた。違反した場合は即失格らしい。


 中央あたりの席は既に埋まっていた。サラたちは端の方のやや地図の見えづらい席に並んで座った。


 アベルたちのことが気がかりで、せっかく買ったミルクバター味の弾けとうもろこしを、サラは美味しく感じられなかった。ただただモサモサしている。食べるのをやめた。


「それにしても、何で盗んだ人たち、バンダナ持ち歩いてるのかしら。おしゃれなのかしら?」


サラが自分のお小遣いで買った弾けとうもろこしを、マイリはなんの遠慮もなく口に放り込んだ。


「何かしらの技術を底上げできるアイテムだと思ったのかもな。わざわざ宝物庫にしまっていたから」


スヴェンも弾けとうもろこしを一口。サラは左右に座る二人を交互に睨みつけた。


「お前ら緊張感なさすぎじゃないか。地図の注意事項に『命を落としたり…』って文言があったじゃないか」

「大丈夫よ。敵だらけのお城に侵入したり空賊の船に乗り込んだりするより安全でしょ」


そうだろうか……サラはマイリの言葉に心の底からは納得できなかった。サフィール空賊団自体は、こういった催しで不正を行ったことはないと聞いている。しかし、一緒に参加している奴らはわからない。何と言っても空賊なのだから。




 ゲームスタート地点は、鉱山から中型の船五つ分程離れた空き地だ。鉱山にはいくつか入り口があり、どこから入るかは各々の自由。リアムたちの周囲は、所狭しと多くの空賊で混み合っていた。ざっと百組はいるだろうか。サラたちのいる観覧席は見えるが、遠過ぎて人の判別はできない。


「なんとなく、紫瞳しとう族の人が多い感じがするね」

「この辺りは紫瞳族の島が多いし、探索ってなると術は便利だからかね」


アベルと寧々はきょろきょろと周囲を見渡した。中には動物を連れている者もいた。


「だめですね。人が多すぎて特定できません」


リアムはマイリから教えてもらった魔法を試したが、犯人を特定することはできなかった。マイリもそうだが、リアムも無系統の魔法が得意なわけではない。精度はあまり高くないのだ。


「ゲームが始まったら散らばるから、わかるかもね」


アベルはリアムの肩にぽんと手を置いた。ちょうどその時、頭上で声がした。


「さあ、紳士淑女……ではない違法者の冒険者ども! 準備はいいかー!!」


この催しの司会者のようだ。地図を届けに来たサフィール空賊団と同じような派手な羽飾りの付いた帽子をかぶっている。小型の二、三人用の飛空艇の上で、メガホンを口に当て叫んでいた。


「おおー!!」


あちこちで歓声が上がる。


「うわぁ、わくわくするね!」


寧々は目を輝かせる。寧々の言葉にアベルは笑顔で頷く。リアムは気を引き締めた。


「サフィール空賊団の招待を受けた幸運な、あるいは不幸な参加者ども! 空賊ならば欲しいものは己の力で掴み取れ! 景品のグスト島への地図はたった一つ!」


また「うおおおー!」とあちこちで歓声が上がる。司会者の男は手を挙げてそれを鎮め、三本指を立てた。


「全員で始まりの合図のカウントダウンだ! 行くぞ、三、二、一……」


パァン!!


空を切り裂く開始の銃声。空賊たちは弾かれたように走り出す。巻き上がる土煙は、一直線に鉱山へと伸びていく。

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