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ランタナ・パーティ  作者: 鈴木まる
第9章 宝探しゲーム
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第38話 タソガレ島

 太陽が一番高いところを過ぎたあたりで、サラたちはタソガレ島に到着した。長い間人の手が入っていなさそうな、朽ちかけた桟橋に他の船とともに停泊した。どの船にも白地にカラスがデザインされた旗がひらめく。


 港からすぐ、寧々の住まいと似た雰囲気の家々が立ち並んでいた。どの建物も桟橋と同じように古びており、サラにはとても人が住める代物には見えなかった。


 そんな島の建造物とは対照的に、島には活気があった。通りには所狭しと露店が並び、軽食や酒類を売っていた。露店にはサフィール空賊団のマークがもれなくついていた。


「すごい人だね!」


寧々《ねね》は興奮気味にきょろきょろと見回した。


「ね、こんなの俺初めてだよ! あ、これ食べる?」


いつ購入したのか、抱えている紙袋の中身をアベルは寧々とサラにすすめた。白い花のように弾けたとうもろこし。アベルは自分でもサクサクと美味しそうに頬張る。


 無邪気な笑顔に負けて一掴みもらうサラ。とうもろこしを覆う糖蜜の甘さを堪能しつつ、サラは今回の宝探しゲームは一体どんなものなのか、そして、競合相手はどんな奴らなのか、考えを巡らせた。


 島の雰囲気を見て、アベルたちは参加を即決し既に申込書を提出していた。ゲーム開始まではあと二日ある。それまでに立てられる対策を、と思いサラは島の様子を見たいと言った。自分は参加しないが、仲間のことが心配だったし、どうせなら優勝してほしかった。


 アベルと寧々がサラと一緒に行動していたが、二人は情報収集と言うよりは、単純にお祭り騒ぎを楽しんでいるようだった。サラは今気がついたが、寧々の頭にはうさぎのお面が笑っていた。


 周りを歩く人々は、恐らく皆空賊だ。あの招待状には「旅のご一行様」と書かれていたが、かたぎ宛とは思えない。実際、港の船にはカラスの旗、連れだって歩いている人々の瞳の色は様々だったし、何かしら武器を所持している者がほとんどだった。





 ゲーム前日の朝に、サフィール空賊団の者だという男が船を訪ねてきた。


「こちらが今回の催しのルールと会場の地図となっております。ご確認ください」


派手な羽付きの帽子を被った翠瞳すいとう族の男は、くるくると巻かれた分厚い紙をリアムに手渡した。リアムが受け取ったのを確認するとすぐに立ち去ってしまった。


 リアムは全員が見えるよう、食堂のテーブルの真ん中にその紙を広げた。一番上に派手な飾り文字でタイトルが書かれている。


〈わくわく☆どきどき 宝探しゲーム!〉


「おい、サフィール空賊団のセンスどうなってんだ」


サラはたまらず突っ込んだ。「まあまあ。わかりやすくていいじゃん」とアベルがなだめる。絶対に招待状と違う奴が担当したな……とサラは思った。あの手紙の厳かで丁寧な物言いとは程遠い。


 タイトルの下には、箇条書きで注意事項が書かれていた。


・廃鉱山の中に隠された宝を探せ!宝は宝箱に入ったコイン(右図参照)

・コインをゴールにいるサフィール空賊団スタッフに届けた時点で、ゲーム終了。

・鉱山の中にはたくさんの罠や仕掛け有り。

・妨害工作大歓迎!

・怪我をしたり命を落としたりすることになっても、一切の責任は負いませんので悪しからず。


描かれている実物大のコインは直径五センチメートル程度で金色だ。コインにはサフィール空賊団のシンボルマークである派手な帽子をかぶったカラスがデザインされている。


 廃鉱山の地図には、中の坑道まで描いてあったが下に「閉鎖されて五十年以上経つので、変わっている可能性あり!」と朱書きされていた。


「こんな広いところから見つけるなんて、かなり大変そう。手分けしたほうがいいのかな」


寧々が腕を組んで思案する。参加は三人一組。確かにそういった動きもできる。


「でも、どうやってまた集まる? 俺は魔法使えないからなぁ……」


アベルは顎に手を当てる。ああでもない、こうでもない、と参加しないメンバーも交えて作戦会議が始まった。




 宝探しゲーム当日、朝食担当のサラは、食糧庫へ一人向かった。


「ん……?」


食糧庫の扉が開いている。昨晩の夕飯担当の寧々が開けっ放しにしたのだろうか。


「やられた……!」


食糧庫は荒らされていた。全ては盗られていないが、缶詰や果物等がいくつかなくなっていた。嫌な予感がして、サラは宝物庫に駆けて行った。


 宝物庫と言っても、この船には金銀財宝が積まれているわけではない。アベルの爆薬と生活資金、ほんの一握りの斜陽石、そして仲間に配付されている山吹色のバンダナが入れられていた。


 サラの嫌な予感は的中した。


 宝物庫の鍵は壊されており、生活資金と斜陽石とバンダナがなくなっていた。爆薬には手を触れなかったようでそっくり残っていた。







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