魔物襲撃 その3
やられた!シルヴァは思った。
そう、外に出るために上に向かっていこうとしたとき、ミケ先生から声をかけられた。そして、振り返ると同時にスリープという睡眠魔法をかけられたのだった。
意識を取り戻したときには、二日目の夜を終えるときだった。
シルヴァは自分に怒りたかった。みんなを守りたかった。でも、まだ間に合うので、自分の体を無理やり動かしていた。
そんななか、上に向かおうとしたとき、後ろから声が聞こえた。
「「「僕達も行くよ。シルヴァだけ行かせないよ!」」」
後ろを振り返るといつものアポロ、ギーム、ベルクの3人が居た。
いや、普段とそれぞれが違うのにはすぐ気がついた。
アポロには片手剣と盾、腰には小さめの杖を持っていた。
ギームの手には鎚を持っていたが、その背中には斧を背負っていた。
ベルクの両手には短い剣を2本持っていた。
そう、各々武器を持っていたのだ。
これらの武器のはギームの鎚以外はミケ先生が用意したものだった。
彼女は俺を眠らせた後、3人からの批判の声を受けた。勿論その理由は解る。でも、その批判を終えると何故俺を眠らせたか語った。
当時ミケ先生も冒険者だった。無論、1人でなく、仲間4人での冒険者だった。
だが、とある冒険のとき、ミケ先生が失敗して、魔物に周りを囲まれてしまった。でも、リーダーが決死の覚悟で道を開いたが、逃げれたのはミケ先生だけだった。だからこそ決死(死を決めた者)が解るらしく、俺からもそれを感じた。
だからこそ行かせるわけには行けなかった。
でも、行かせないとミケ先生が後悔する。
だからこそ仲間の3人が行くと言い出した時は止めなかったそうだ。4人でなら無茶をする時には必ずアポロなりベルクが止める。撤退のときも3人が居れば俺が撤退のタイミングを遅らせたりせず、自らの命も守る。
そう、安心して送り出せる。
そう思ったから、仲間の遺品の武器をみんなに貸したらしい。でも、遺品とはいえ、きちんと手入れをされていた。
これなら安心して行けると思い、みんなで外に出た。
しかし、外には想定のしていない光景が目に入った。
アークも傷つき、ラーラも回復に回れないくらい疲労困憊、守備に回っていた人たちは全員確認できても10人は居なかった。魔物たちは近づこうとしていたが、最終防衛線に引かれた4重の柵の突破に時間がかかっていた。
そう、もう追い詰められている状況だった。
この予想だにしない光景で、アポロは、ギームは、ベルクは恐怖を覚えた。だが、そんな中冷静なシルヴァが居た。
撤退
村を放棄して逃げるしかない
そう思い、3人に回復のできるミケ先生を呼んでくるように指示を出し、アークのところに行った。
「お父さん無事ではないようですが、大丈夫ですか?」
そう声をかけつつ、回復魔法を使った。ただ、シルヴァの回復魔法ではぜんぜん回復をしないのを解っていたが、かけ続けた。
「今回の魔物は統率力があり、誰かが操作している気がする。だから、シルヴァを始めとした4人には、ほかの村人を領主様のところに避難して欲しい。」
シルヴァはその父の言葉を聞くと、状況をすぐに理解し、切り替えた。
今回避難させるのは老人、子供、女と言った武力としてほぼない人たち。そんな中、武力がある大人は殿を勤めるのだろう。でも、そうすると、守りに入れる人間はミケ先生を含めて5人…。正直な話厳しいだろう。
だが、考えているシルヴァを尻目にアークは言葉を続けた
「今回は父親としてではなく、村の守備隊のまとめるリーダーとしての命令だ。断ることは許さない。」
そういうと、笑顔ではなく、真顔で頭を撫でた。
でも、そんな父親からは決死の覚悟を感じていた。
これを断ると、後悔するだろう。だが、命令を受けてもアークの身に危険があったときもっと後悔するだろう。
でも、そう考えたときアークは言った
「守備隊の使命は家族を守ることでもなく、仲間を守ることでは無い。村のみんなを守ることだ。」そういうと、起き上がり、シルヴァの背中を叩いた。
「その剣似合うな。その剣は弱者を守るために振るものだ。しっかりその約束を守ってくれよ。」そういうと離れていった。
そのやり取りを終えたら、後ろから声が聞こえた。
「シルヴァ大丈夫?」
不安そうなアポロの声だ。
「大丈夫、みんな、村人を避難させるのに協力して。」
そういうと、みんなは頷いた。
「では、作戦をしっかり考えないとね。」
そうアポロは言った。
みんなはそれに頷いたのだった。




