街のその後
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アルスとラインは頭を抱えていた。
ラインは、この街の守備隊長兼領主だった。そう、彼は長槍で戦っていた武人だ。
その原因は3つだ。
シルヴァが意識を取り戻さないこと、街の復興計画での人員不足、そして彼らの手元に有る敵の旗だ。
「これは、またやっかいな相手だな…。」そう言ったのはラインだ。
しかし、それはアルスも思っていたことだ。だが、それを言えば、自分の正体がばれ、彼と戦う可能性が高かったから黙っていた。だが、そんななか、
「シルヴァが目を覚ましたぞ!」
ロックがそう叫びながら部屋に入ってきた。
もちろん喜ぶ出来事だが、それよりも、敵の状況がわかった以上、あまり喜んでいられないのも現状だ。そんななか、シルヴァがふらふらになりながら来た。
「今回はごめんなさい。僕が敵の状況判断をミスし、多くの街の人々がやられてしまいました。どんな罰でも受けます。」
普段の彼からは想像できない位の覇気の無さで、アルスとラインはお互いを見合い、そして、それぞれがシルヴァに向かった。
「なに言ってるんだ。俺もあいつらがそれだけやれるなんて想定外だった。俺もだめだったが、街は何とか無事だ。だから、おぬしに罰を与えるつもりは毛頭無い。」
とラインは言った。
「某も此度の敵の状況判断によるミスもだが、先に東の救援に行った故、某にも責任は有る。御主だけでなく某も罰を受けなければならない。どうだ領主よ?」
続けてアルスも言った。だが、アルスは、この状況でも罰は無いと思っていた。
「御主達5名が居なければ、この街は蹂躙され、1人として生き残りは居らんだろう。褒美を用意するなら別として、罰は与えられん。」
とラインは言ってきた。
そこで、シルヴァは意を決して聞いた。
「敵の…西を攻めていた敵のまとめ役は捕まえましたか?」
そう聞いた。そう、それは彼の憧れであった人物の転生だ。だが、ラインは首を横に振った。
「残念ながら捕まえる所か殺せもしなかった。だが、あいつらは、この旗を1個置いていった。これがあいつらの正体がわかるものになるだろう。」
とラインは言い、九曜の紋の入った旗をシルヴァに見せた。そして、ラインは見ていた。わずかながらに反応したシルヴァとアルスを。
「とりあえず、少し休憩しないか?あ、悪いが、いろいろ聞きたいので、アルス殿とシルヴァ殿はここに残ってもらってもいいかな?」
そう言われ、俺達3名を残し皆が表に出た。そして、鍵を閉められた。勿論ラインの手によってだ。
「さて、正直に言ってほしい。この旗見覚えがあるのか?某は見覚えがあるが…。」
とラインは言った。勿論あるが、それを言っても良いのか?という疑問があった。だが、アルスは
「この旗は見覚えがある。だが、その人物が本当かどうかが判らない。私の記憶によれば、そこまで戦略において能力がなかったと思う。」
と言った。もちろん、彼が言った人物は違うと思う。だが、それは俺が言うべきではないな。
「僕は正直この旗が示す人物達を予想できます。確かにこの旗の紋は2箇所で使われていましたね。その両家を知っています。ラインさんはどうですか?」
と俺は素直に言った。もちろん、ラインはどう出るか判らないが、アルスは恐らく別人物を予想したのであると思う。片倉家は、知の小十郎だもんな。
「某もシルヴァ殿と同じで、2家予想しておるが、御主達、正直に答えてほしい。転生者か?」
あ、とうとうその質問が来たか。
「私は、転生者です。シルヴァはどうだ?もう隠さなくてもよいだろう。」
とアルスに言われ、覚悟して言った。
「俺も転生者です。恐らくお2人の過ごして来た時代よりかなり先の時代です。もしよろしければ、転生前のお2人のお名前をお伺いしても良いでしょうか?」
と素直に言った。もちろん、転生者ならわかるだろう。お互いに誰かわかれば、今後が楽になる。
「ならば、某から言おう。某は、本多平八郎忠勝と申す。この時代にてこの名前を言うことになるとは思わなかったがな。」
と高笑いしながら言ってきた。やはり、このおっさんの槍を見ると、生前博物館にあった蜻蛉切くらいの長さだもんな。さて、アルスの正体は誰だろう。
「私は、やはり忠勝殿と同じ時代を生きてきたな。私の名前は、明智光秀と申す。」
俺は正直明智光秀とは思わなかった。だが、彼は、知略もあり、武功もそれなりにある。だが、裏切りも怖いが…。
「僕は、皆様の生きていた時代のはるか未来から来ました。一応X年ほど未来ですが、佐藤一朗といいます。とりあえず、相手の旗は細川家か奥州伊達家の家臣の片倉小十郎景綱だと思います。恐らく、今回の動向から察するに片倉小十郎景綱のほうが強いと思います。」
と俺は続けた。
やはりというアルスの目線を無視し、話を続けた。
「今回の敵は、我々をこちらの世界に引き込んだハーデスが何らかの目的でこの地を制圧しに来たと思われます。シーザー村もハーデスの手にかかり、一度陥落しかけたのですが、何とか前魔王のサラダが来て助けてくれたので、何とかなりましたが…。」
と続けた。
アルスとラインは2人とも驚いていた。
それはそうか。サラダを呼び捨てにしたのもだし、シーザー村という存在も知らないはずだからな…と思っていたら、
「やはり、そなたの強さは魔族に鍛えられていたのか。それも元魔王とは驚きだな。」
「子供の割に馬鹿みたいに魔法を使っていたから、どんな師匠かと思ったが、まさか元魔王とはな。」
と2人はあきれた顔で言ってきた。まあ、当然か。魔王が教えたとはいえ、俺は異常だったもんな。
さて、今後について、2人に相談するか。
「1つ提案があります。提案は…。」




