魔物襲撃 最終話
アークが言っていた。
先ほどまでの絶望とはかけ離れた笑顔でこっちに報告に来た。
「もう大丈夫だ。みんな少しだけここに入れば、魔物たちはすぐにいなくなる。」
そう言った。
周りは歓喜の声を挙げていたが、俺は理解出来なかった。数分前まで絶望の顔で避難指示をしていた。そう、それなのに、揺れが起きて気がついたらもう大丈夫?何でだ???
「何故魔物が居なくなるのですか?先ほどはもう無理と言っていたじゃないですか?」そう聞いてしまった。周りは歓喜の声から、俺の疑問についてざわつきを覚えていた。しかし、そのざわつきはすぐに無くなった。
「俺の師匠とその仲間が近くにいて、助けに来てくれた。彼らにかかればあの量の魔物はあっという間にいなくなってしまう。彼らの実力は俺が保証する。」
そう言ったのだ。
俺は、アークの師匠がどの程度か知らない。だが、直接見てみたい。そう思った。
「もし安全なら今から見に行っても大丈夫ですか?見に行ってみたいのですが…。」そう言ってしまった。すると、俺も私も僕もという声からギーム、ベルク、アポロの3人も近づいてきた。
アークは仕方ないと思いつつ、アークも一緒に行く、言われたところまでしか近づかない事を条件に見に行くことを許してくれた。
5人で教会の外に出ると、唖然とした。
俺らより少し年上と思える少女、彼女の幼いと思える手から見たことのない魔法が放たれていた。しかも、彼女の顔は万年の笑顔だった。まさにバルキリーと思えた。
少女の背後を守るように居た男は、槍を使いつつ、無言で魔法を放っていた。
入口のところを守るように男2人が居た。1人は背の小さい男だったが、巨大な斧を振り回し、投げ飛ばし、近づいてきた敵を薙ぎ払っていた。
もう1人は、アークとそれほど身長が変わらない。しかし、圧倒的なスピードの持ち主だろう。鍔鳴りの音がする少し前に彼は片手剣を振り、近づいた魔物を切り、何事もなかったのように鍔鳴りの音で終わらせる。そんな状況だった。
アークが2人に声をかけた。
「この度は助けに来ていただきありがとうございます。」
そう述べた。
その声に反応した片手剣の男が言った。
「お礼なら俺らでなく、アークという男にお礼を言いな。俺らは全く知らないが、うちのじゃじゃ馬姫が助けると言ったから助けに来ただけだ。本来ならこんなところに来る予定では…。」とだんだん声が小さくなってきたが、愚痴が聞こえてきた。
だが、疑問が出てきた。
じゃじゃ馬姫
そういった。
恐らくあのバルキリーみたいな女の子だろう。だが、アークの師匠があんなに幼いのか???
そう疑問に思った。
「そういえば、お父さんの師匠って誰ですか?」
思わず俺はそう聞いていた。すると
「あの恐ろしい笑顔の少女だよ。しかし、俺と出会った頃より幼くなっているような気がする。だけど、幼い状態でも、あの漆黒の髪、そして鬼畜のような強い魔法が使えるのは変わらないなぁ…。」と言っていた。
なるほど。
そうか。
彼女が師匠だったのか。
あの実力でも、まだ加減している感じがした。そして、少し見ていたら、斧を持った男が
「もう終わったの。魔物の気配がなくなった。安心して出てきな。」そう言ったのだ。
俺らの村が守られた瞬間であった。
俺らの村の被害は、守備隊の大人達、近隣の畑だが、大半の人たちは生きている。
それだけでも何よりだ。
そう思い、みんなを呼びに行ったのだった。




