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転生領主とその周辺  作者: しから
旅立ち編
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54/108

問題発生中

2話同時の前になります。

「ここで休憩はいかがでしょうか?」

「いや、先に市場まで行ってみたい。私は創作料理を趣味にしていましてね。魔大陸産の珍しい食材でもあればと思っているのです」

「貴族の殿方では珍しいご趣味ですわね。是非、フォル様のお創りになる物を食べてみたいですわ!」

「良く笑われますよ。ガントラックで知り合ったデザート職人を当家の料理人として雇う真似をしてしまいました。家族に怒られないか心配です」


 表面上は朗らかに答えながら、心の中で舌打ちする。

 使用人達の選別をしたいのに、伯爵家の令嬢が一緒では上手くいかないからだ。

 俺以外には波乱となった歓迎会から一夜。爺さんを除く全てのルナライトの者から嫌われていると予想していた俺を裏切り、朝食後すぐに俺の元を訪れた爺さんの孫娘の1人がいる。


「彼らの実積を作りたいのですね?

 フォル様はお優しいのですね!」

「そんなことはありません。それよりもルシア様、私のことはフォルと呼び捨てで構いませんよ?」

「でしたら、私のこともルシアと呼び捨ててくださいませ」

「仮にも伯爵令嬢をそのようには…」

「じゃあ、嫌です」


 そう言ってプクゥと頬を膨らませてそっぽを向くルシア嬢。可愛いなこのヤロー。

 …男が可愛いと思う行動を良く心得ている。

 気付かない馬鹿なら、そのまま好意を向けさせて操れば良いし、気付いたなら、それは貴族としての優秀さの現れで、そう言う者にとってこのような女の価値は高い。…どちらに転んでも良いわけだ。


「ルシア嬢。互いの立場を加味してくださいませんか?」

「ご冗談を。フォル様はお爺様の招いたお客様であり、ご自身も外交に影響すると明言されましたでしょうに?」


 …本当に優秀だな。

 ってそうじゃなければ俺に近付かないか。しかし、どういう思惑だ?

 さすがに次期当主とかは気付いてないだろう? そうなると何が考えられる?

 それが分かれば引き離せるのに。


「そうですね。確かに客分と言う立場でありますが、私自身にこれといって価値があるわけではないのですよ?」

「それを言えば私もそうですよ。お爺様の孫と言えど、次期当主が回ってくるほど高い立場ではありません。

 それにフォル様はセルラニア国王陛下の覚えもある方なのでは?」


 ああ、そっちか。騎士爵とは言えその国の王に直接目を掛けられていれば昇爵の可能性は十分。

 しかもダゴン元侯爵とのパイプ付き。適当に下手な貴族へ嫁ぐより安全牌だわな。


「ありがたいことに目を掛けていただいてます。

 …そうですね。

 では私はルシアさんと呼ばせていただきましょう」

「じゃあ、私はフォル君で良いかしら?」

「君付けですか…」

「だってフォル君10歳でしょ?」

「そうですけど…」


 これは旗色が悪いな、…諦めよう。


「じゃあ決定ね。さあフォル君こっちよ!」


 こっちの手を取って足を早めるルシア。貴族っぽくない振る舞いだがこれも多分計算だよな。


『それが良いとかへそ曲がりだよね? パパは…』

『人聞きが悪いな。俺はバカが嫌いなだけだ。それよりもどうしたんだ?』

『変な奴が彷徨いている気がして』

『ダウトじゃないのか?』

『多分違う』


「どうしたの? フォル君?」

「何でもないですよ。

 少しノンビリし過ぎたかなと思いまして…」

「そうね。下手なお店に入ったらお父様に怒られるから昼食までに帰らないといけないし、少し急ぎましょうか?」

「ええ」


『アリス、任せて大丈夫か?』

『…5人くらいで練度はアイシャちゃん以下かな?

 魔力をしっかり貰えれば余裕だね!』

『どうせ、街中で俺が魔力を使うわけにはいかんからな。

 欲しいだけ持っていけ』

『良いの? じゃあ少し遊んでくる!』


 アリスが離れた気配を感じつつ、ルシアと一緒に市場へと向かう。

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