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転生領主とその周辺  作者: しから
旅立ち編
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100年前まで戦争中でした。…嘘だろ?

戦争終結を50年前から100年前に変更しました。

 救済暦1610年、サザルラント4代皇帝。ケトル2世が、セルラニア王国へ宣戦布告。

 1612年、黒拳竜ナタリー・アルヴィスが、セルラニア側として参戦。

 翌1613年、帝国側への逆侵攻開始。ルムルス穀倉地を占領。

 同年、帝国より講和申込みと講和交渉開始。

 1614年、ルムルス穀倉地の返還と代替地ジュール港の獲得にて、講和成立。

 1620年、不干渉条約の破棄と友好条約の成立。


「で、合っていますよね? 兄さん?」

「うん。そうだけど、それがどうしたんだい?」

「今年が救済暦1732年。本当の意味で戦争が終結してから、たった100年しか経っていないんですよね?」

「うん。そうだよ?」

「さっきからキョロキョロとしてるけどどうしたの? フォル?」


 リムが不信そうな顔で訊ねてくる。

 …のどかな平野を進む馬車から頻繁に周囲を伺えば、不安を覚えるのも当然だが、俺の感覚ではのどかな方がおかしい。

 石畳の道を進むこと4日目。今日にはサザルラント帝国へ入るはず。 つまり、ここは国境間際なのにあまりにも、のどかすぎる。


「もうすぐ国境ですよね?

 100年前まで戦争していた国同士の」

「いや、もう国境は越えたよ?」

「はい?」


 …あまりにも意外な言葉に間抜けな返事を返してしまった。

 今日は朝から外を気にかけていたが、そんな物々しい建物は見なかったが?


「さっき、小さな小屋2つを通り越しただろ?

 あれが両国の国境警備隊の詰所だよ」

「…只の休憩所に見えましたが?」

「緊張状態にない国境なんてそんなもんだよ?

 北方のジンバニムとの国境は結構な大きさの砦がある。けど、あそことは経済格差が激しいから、難民の流入防止の為だけどね」

「戦争が終わって100年でこんなに緊張感がなくなるんですか?

 100年だと長命種なら普通に生きてますし、人族でも祖父母世代ですよね?」

「ああ、そう言うことか。

 セルラニアにアルヴィスが付いているように帝国にもジェンドルと言う血統の竜族が貴族として居るんだよ。

 竜は基本専守防衛だからね。主戦派と言うか戦功を稼いで出世したい人間には天敵だろうね」


 …なるほど、軍人みたいな戦功を求める人間が侵攻戦をして返り討ちに会う。

 竜を敵にする戦場に出れば、死傷率は跳ね上がるだろうし、仮に五体満足で撤退出来ても、責任を取らないとダメだから、降格とかされるよな。


「主戦派が減って、融和派が台頭するから平和になると?」

「そう言うことだ。特に、今居る国境から東西大街道までの道は融和派の筆頭、ベジル辺境伯が治めているけど、彼の家は主戦派が衰退したことで辺境伯へ位が上がったから、より友好的だね」


 …前世の世界と違って、圧倒的な個の強さがある世界だから成り立つ情勢だな。

 文字通りの一騎当千が居る世界。千人処か、百人の人間が1人に殺されたって、損害は馬鹿に出来ないのが道理。

 一騎当千の戦士が農夫千人分の作物を生産できる訳じゃないんだし。


「辺境伯なのに?

 辺境伯って、いざって時に国を守る為に、貴族の中でも沢山の兵士を抱えている伯爵よね?」

「リム。

 多分だけど、もう一つの役割を重視する辺境伯だと思うよ?」


 隣で聞いていた、今一、飲み込みの悪い姪に話しかける。

 当然、不機嫌な顔になるが。


「周囲の貴族が暴走して、勝手に戦争をしないようにするのも辺境伯の大事な仕事と言うことだ。…ですよね?」

「フォルが正解。どうしても視野の狭い貴族と言うのは居るものさ。

 それらを抑えるのも辺境伯の立派な仕事さ」

「そうなんだ。となると気を付けないとダメなのは、同族だけね?」


 …嫌な事を言うな。

 それを避ける為に、わざわざ遠回り&早く出るをしたのに、別口で絡まれたら意味がない。…まあ、そうそう厄介な事態にはならないだろう。思ったよりフラグは立たない物のようだし。


「そこの馬車少し停まりなさい!」


 ……噂をしたら、ダメなのは何時の世でも鉄則らしい。

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