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第12話 消える足跡と、尻尾が語る本当の気持ち

「こっち、こっち! この先に、ちょっと変な場所があるんだ!」


森の奥へと進みながら、コハクが元気よく手を振った。

茶色の髪の間から伸びる獣耳がぴこぴこと動き、腰の後ろでは、ふさふさした尻尾が楽しそうに揺れている。

その姿を見ながら、俺は改めて思った。


――この子、本当に元気だな。


「コハク、少し速度を落としてくれ。俺たちはお前ほど森に慣れていないんだ」


「あっ、ごめんごめん! つい夢中になっちゃった!」


コハクは立ち止まり、照れくさそうに頭をかいた。

すると、隣を歩いていたリゼリアが、俺の腕に自分の腕を絡めてきた。


「恒一、あまりコハクばかり見ていると、私のことを忘れてしまうわよ?」


「いや、そんなことはないだろ」


「本当かしら?」

銀色の髪を揺らし、赤い瞳でじっと見上げてくる。

怒っているというより、俺がどう答えるのかを楽しんでいるようだった。


「リゼリアは、俺にとって一番大切な仲間だよ。もちろん、忘れたりしない」


「……ふふっ。なら、いいわ」

満足そうに微笑んだ彼女は、俺の腕に頬を寄せた。

反対側から、エレナが小さく笑う。


「リゼリア、今日はいつもより甘えん坊ですね」


「そ、そんなことはないわ。いつも通りよ」


「そうですか?」


「そうよ!」


リゼリアの頬がわずかに赤くなる。

そのやり取りを見たコハクは、獣耳をぴんと立てた。


「へえー! 恒一って、二人にそんなに好かれてるんだ?」


「こ、コハク!」


リゼリアが慌てて声を上げる。

しかし、コハクは悪びれる様子もなく、にししっと笑った。


「だって、見てればわかるもん!」


「……否定はしません」


エレナも頬を染めながら、静かにそう付け加えた。

俺は思わず頭を抱えた。

森の調査に来たはずなのに、出発して間もないところで、別の意味で落ち着かなくなっている。

もっとも、こういう賑やかさは嫌いじゃない。

この世界に来たばかりの頃は、こんな時間を誰かと過ごせるなんて想像もしていなかったのだから。


「さて、ここからが本題だよ!」


コハクは気持ちを切り替えるように手を叩き、地面にしゃがみ込んだ。


「見て。ここに、狼型の魔物の足跡があるでしょ?」


「ああ。かなりはっきり残っているな」


「うん。でも、ここから先が変なんだ」


コハクが数歩先を指差す。

足跡は、折れた枝や踏み倒された草の向きから見ても、確かにその先へ続いているようだった。

ところが――。


「……途切れている?」

エレナが目を細めた。

足跡は森の小道の途中で、唐突に消えていた。

周囲には大きな岩も深い水たまりもない。魔物が飛び上がったような痕跡も見当たらなかった。


「最初は、私も見失ったのかと思ったんだ。でも、何度調べても同じ。ここから先に足跡がないんだよ」


「魔物が空を飛んだわけでもないのに、不自然ね」


リゼリアが地面を見つめる。

俺も足跡が消えた場所の近くにしゃがみ、地面へ手を伸ばした。

その瞬間、指先に微かな違和感が走った。

空気が、ほんの少しだけ歪んだような感覚。


「……《空間操作》」


意識を集中させる。

すると、何もないはずの空間に、薄い膜のようなものが存在している気配を感じた。

はっきりと見えるわけではない。

触れようとしても、指先に何かが当たるわけでもない。

ただ、空間の一部だけが、周囲とはわずかに違っている。


「この場所、空間そのものがおかしいのかもしれない」


「恒一さん、以前の石環遺跡で感じたものと似ていますか?」


エレナが周囲を警戒しながら尋ねた。


「完全に同じとは言えない。でも、似ている気がする」


あの遺跡で遭遇した半透明の魔物。

紫色に光った石板。

そして、俺の《空間固定》が一瞬だけ通用した、あの奇妙な戦闘。

今回の足跡の消失も、偶然とは思えなかった。


「……やっぱり、あの石柱の近くで何かが起きてるんだ」


コハクが小さくつぶやいた。

先ほどまで元気に動いていた耳は、今はわずかに伏せられている。


「コハク。何か心当たりがあるのか?」


「うん。実はね、ここ数日、この辺りで魔物が変な動きをしているんだ。いつもなら近寄らない場所に集


まったり、急に引き返したり……。それで、私は足跡を追っていたんだよ」


「一人で調べていたのか?」


「まあね。こういう調査は得意だから!」


コハクは胸を張った。

だが、その尻尾は少しだけ垂れていた。

得意なのは本当なのだろう。さっきから、俺たちでは気づかなかった痕跡をいくつも見つけている。

それでも、原因の分からない異変を一人で追い続けるのは、不安だったはずだ。


「無理はするなよ。分からないことを一人で抱え込む必要はない」


俺がそう告げると、コハクは目を丸くした。


「……え?」


「俺たちも一緒に調べる。危険があれば、全員で対処すればいい」

しばらく俺の顔を見つめていたコハクは、やがて視線を逸らした。


「……そっか。うん、ありがと」


尻尾が、ふわりと一度揺れた。

どうやら、少しは安心してくれたらしい。


「それじゃあ、案内を頼む。ただし、危険だと思ったらすぐに引き返そう」


「うん! 任せて!」


今度の返事は、先ほどよりも少し落ち着いていた。


*


「全員、足元に気をつけて。ここから先は、古い罠が残っているかもしれないよ」


先頭に立ったコハクは、慎重に歩き始めた。

時折立ち止まっては、草の向きや木の幹についた傷を確認している。

俺たちには見えないような小さな変化を、彼女は次々に見つけていった。


「ここの枝、最近折れたみたい。こっちの土も新しいね」


「よく気づくな」


「えへへ。こういうのは得意なんだ!」


褒められると、コハクの尻尾が左右に揺れた。

わかりやすい。

本人は隠しているつもりなのかもしれないが、喜んでいるのが丸わかりだった。


「……恒一、また尻尾を見ているわね?」

リゼリアがじとっとした目を向けてくる。


「いや、動きがわかりやすいなと思って」


「私に尻尾があったら、あなたはもっと見るのかしら?」


「リゼリアに尻尾?」


「……今のは忘れてちょうだい」

なぜかリゼリア自身が少し赤くなった。

エレナは口元を押さえて笑っている。


「二人とも、そろそろ調査に集中しましょう」


「エレナまで……!」


リゼリアが抗議する。

そんな会話を交わしながらも、俺たちは警戒を怠らずに進んだ。

やがて、木々の間に古びた石柱が見えてきた。

以前調査した石環遺跡へ続く方角だ。

ただし、ここにある石柱は、きれいな円を描いて並んでいるわけではなかった。

倒れたもの。

半分ほど土に埋まったもの。

表面が削れ、文字のような模様がほとんど失われたもの。

かつて何らかの施設があったのだろうが、今では森に呑み込まれつつある。


「この辺りだよ。足跡が急に増えて……それから、なくなるの」


コハクは石柱の間を指差した。

その瞬間だった。


――カチッ。


小さな音が、足元から響いた。


「っ、止まって!」


コハクの鋭い声。

俺は反射的に足を止めた。

次の瞬間、地面の落ち葉が弾け、細い金属線が跳ね上がった。

線は俺の膝の高さをかすめ、近くの木の幹に巻きついた。


「罠か!」


「恒一、動かないで!」


コハクが素早く俺の腕を引き、仕掛けから距離を取らせた。

彼女は腰の小刀を抜き、金属線の張り方を確認する。


「魔物用の捕獲罠だね。かなり古いけど、まだ動くんだ……」


「助かった。ありがとう、コハク」


「えっ、あ、うん!」


突然お礼を言われたせいか、彼女の耳がぴんと立った。

尻尾も大きく揺れている。

だが、次の瞬間には真剣な顔へ戻った。


「待って。これ、ただの罠じゃないかも」


「どういうことだ?」


「見て。この仕掛け、石柱の向こうまで続いているみたい。誰かが魔物を誘導するために設置した可能性があるよ」


俺たちは顔を見合わせた。

自然に起きた異常ではなく、誰かが意図的に魔物を動かしている。

その可能性が浮かび上がったのだ。


「ただ、罠があるからといって、誰かが今もここで活動しているとは限らないわね」


リゼリアが周囲を見渡す。


「ええ。仕掛けが古い可能性もあります。慎重に進みましょう」

エレナの言葉に、俺たちは頷いた。

コハクを先頭に、罠を避けながら石柱の奥へ進んでいく。

すると、森の奥から唸り声が響いた。

低く、濁った声。

一つではない。


「魔物が来る!」

コハクが小刀を構えた。

木々の隙間から現れたのは、三体のグレイファングだった。

だが、普通の個体とは様子が違う。

灰色の体毛の一部が薄く透け、輪郭が揺らいでいる。

まるで、そこに存在しているはずの身体が、時折どこかへずれかけているようだった。


「また、あの現象か……!」

俺は武器を構えた。


「コハク、後ろへ!」


「嫌だよ! 私だって戦える!」

コハクは即座に反論すると、左側の木々へ走った。

狼たちの視線が彼女を追う。

その隙に、エレナの矢が一体の前脚をかすめた。


「恒一さん、右です!」


別の狼が、俺の側面へ回り込む。


「《空間固定》!」


俺は狼の進路へ意識を集中させた。

空間が一瞬だけ軋む。

狼の動きが、わずかに鈍った。

しかし、完全には止まらない。


――くそっ、まだ制御が甘い!


俺は歯を食いしばった。

空間を固定できている時間は、ほんの一瞬。相手の身体が不安定なせいか、制御の手応えも普段より曖昧だった。

それでも、その一瞬があれば十分だ。

リゼリアは俺の動きに合わせて踏み込んだ。


「そこよ!」


赤黒い魔力が狼の周囲を包み込む。

揺らいでいた輪郭が乱れ、半透明だった身体が一瞬だけ実体を取り戻した。


「エレナ!」


「はい!」


風をまとった矢が放たれる。

だが、狼は最後の力を振り絞って身をよじり、矢を避けた。


「しまった!」


狼は矢の軌道を抜け、コハクへ向かって跳躍した。


「コハク!」


俺が叫ぶより早く、彼女は地面に滑り込んだ。

狼の爪が頭上をかすめる。

コハクは転がりながら小刀を投げ、狼の着地点の脇にあった細い縄を切った。


――バンッ!


地面に仕掛けられていた古い木製の罠が跳ね上がり、狼の脚を絡め取った。


「今だよ、恒一!」


コハクの声が響く。

俺は狼へ向き直った。


「リゼリア、動きを乱してくれ! エレナ、俺の合図で!」


「分かったわ!」


「了解です!」


俺は集中力を振り絞り、《空間固定》を発動した。

今度は狼の身体そのものではなく、進行方向の空間を狙う。

逃げ道を狭めるように、ほんの一瞬だけ。


「――止まれ!」


狼の動きが鈍る。

リゼリアの魔力がその輪郭を揺らし、エレナが風の矢を放った。

矢は狼の肩口を正確に射抜き、魔物は地面へ崩れ落ちた。

残る二体も、リゼリアとコハクが連携して牽制し、エレナの射撃で動きを封じていく。

一体はその場で倒れ、もう一体は体勢を崩した隙にリゼリアがとどめを刺した。

三体が動かなくなったことを確認して、俺はようやく息を吐いた。

その瞬間、視界がぐらりと揺れた。


「恒一!」


リゼリアが駆け寄り、俺の腕を支える。


「大丈夫か?」


「ああ……少し、疲れただけだ」


「少し、ですって?」

リゼリアは心配そうに眉を寄せた。


「無理をしすぎよ。まだ長く使えないことは分かっているでしょう?」


「分かっている。けど、あの一瞬が必要だったんだ」


「必要だったとしても、倒れてしまったら意味がないわ」


その言葉に、俺は返す言葉を失った。

リゼリアの心配は、もっともだった。

《空間固定》は便利な能力だが、使い続ければ精神に負担がかかる。まして、相手が不安定な魔物なら、制御はさらに難しくなる。

もっと練習が必要だ。

そして、自分の限界を見誤らないことも。

そのとき、コハクが倒れた狼の近くを調べていることに気づいた。


「ねえ、これを見て」


彼女の指先には、紫色の粉末が少し付着していた。


「魔石の欠片……かな?」


エレナが近づき、慎重に観察する。


「いいえ。魔石そのものとは違うようです。魔力の残滓が、何かに引っ張られたような跡があります」


「引っ張られた?」


俺は、先ほど足跡が消えていた場所を思い出した。

空間の歪み。

魔物の異常。

そして、紫色の魔力の痕跡。

これらは別々の現象ではないのかもしれない。


「魔物が勝手に集まっているんじゃない。何かに誘導されている可能性がある」


俺が告げると、コハクは真剣な表情で頷いた。


「私も、そう思う。だから、もう少し先を調べたいんだ」


「気持ちは分かる。でも、今日はここまでにしよう」


「えーっ……」


コハクは不満そうに頬を膨らませた。

しかし、俺の顔色を見て、すぐに表情を変える。


「……分かった。恒一が倒れちゃったら、調査どころじゃないもんね」


「ありがとう。続きは、準備を整えてからだ」


「うん!」


コハクは元気よく返事をした。

その尻尾は、どこか安心したようにふわりと揺れていた。


*


帰り道、コハクは先ほどの戦闘について何度も振り返っていた。


「それにしても、恒一のスキルって変わってるね。普通の魔法とは違う感じがした」


「俺も、まだ全部を理解できていないんだ」


「そっか。じゃあ、これからもっと強くなるんだね!」


彼女は、まるで自分のことのように笑った。


「私、罠とか追跡なら自信があるんだ。もし、また一緒に調査するなら、役に立てると思うよ!」


「今日だけでも、十分助けられたよ」


「……本当に?」


「ああ。足跡を見つけてくれたし、罠にも気づいてくれた。戦闘でも助かった。コハクがいなかったら、

もっと苦戦していたと思う」


コハクはぴたりと足を止めた。

獣耳がゆっくりと伏せられ、尻尾が身体の後ろで丸くなる。


「……そ、そんなに真っ直ぐ言われると、照れるんだけど」


「本当のことだからな」


「うぅ……恒一って、意外とずるい……」


彼女は顔を赤くしながら、俺の背中を軽く叩いた。

その様子を見たリゼリアが、すかさず俺の腕を取る。


「恒一。私にも、今日の働きについて何か言ってくれていいのよ?」


「もちろん。リゼリアの魔力操作は頼りになる。あの不安定な魔物の動きを乱してくれたおかげで、攻撃を当てる隙ができた」


「……ふふっ。よくできました」


リゼリアは満足げに微笑み、俺の肩へ寄りかかった。

エレナも少しだけ視線を落とし、それから穏やかに言った。


「私も、恒一さんに頼りにされるのは嬉しいです。……これからも、もっと力になりたいと思っていますから」


「エレナには、いつも助けられているよ。今日の射撃も正確だった」


「……ありがとうございます」

エレナの頬に柔らかな笑みが浮かんだ。

それを見たコハクが、ぱちぱちと目を瞬かせる。


「うわあ……。本当に仲がいいんだね、みんな」


「そうよ。私たちは大切な仲間だもの」

リゼリアはそう言ってから、少しいたずらっぽく目を細めた。


「もちろん、仲間が増えるのは歓迎するわ。ただし、恒一を困らせすぎないことね?」


「えっ、私も仲間に入る前提なの!?」


コハクが目を丸くした。


「ふふっ。あなたが望むなら、いつでも歓迎するわ」


リゼリアの言葉に、コハクはすぐには返事をしなかった。

耳がぴくりと動き、尻尾がゆっくり揺れる。

やがて、彼女は照れくさそうに笑った。


「……じゃあ、まずは一緒に調査するところから、よろしくね!」


「ああ。こちらこそ、よろしく」


俺が手を差し出すと、コハクはその手をぎゅっと握った。

小さな手だったが、握る力は思ったよりもしっかりしていた。

その握手は、正式な契約でもなければ、何か特別な儀式でもない。

ただ、これから一緒に行動するための約束だった。

それでも、コハクの表情を見ていると、この出会いが俺たちにとって大切なものになっていく気がした。

*

エルセリアの冒険者ギルドへ戻った俺たちは、ギルドマスターのガルドに調査結果を報告した。


「足跡の消失、魔力の残滓、それに不安定なグレイファングか……」

報告を聞き終えたガルドは、腕を組んで眉を寄せた。


「やはり、北東の石環遺跡周辺で何かが起きているようだな。よく調べてくれた」


「まだ原因は分かっていません。ただ、魔物が何かに誘導されている可能性があります」


「分かった。こちらでも過去の記録を調べてみよう。お前たちは、しばらく遺跡の内部へは入るな。異常

の原因が分からない以上、無理は禁物だ」


「了解しました」


ガルドはコハクにも目を向けた。


「君が案内してくれたのか?」


「はい! 足跡を追うのは得意なんです!」


「なるほど。腕は確かなようだな。必要があれば、正式な調査依頼を出す。無茶はするなよ」


「はーい!」


コハクは元気よく返事をした。

ギルドを出ると、夕暮れの街が目に入った。

今日の調査で、謎は解けなかった。

それでも、確かな手がかりは得られた。

そして、もう一つ。

一人で調査を続けていたコハクに、これから一緒に行動できる仲間ができた。


「ねえ、恒一。明日も調査する?」


コハクが期待に満ちた目で尋ねてくる。


「ガルドさんの記録調査もあるし、準備を整えてからだな。明日、状況を確認しよう」


「うん! じゃあ、明日も会おうね!」


彼女は満面の笑みを浮かべた。

その尻尾は、隠しようもなく大きく揺れていた。

俺は思わず笑ってしまう。


「そんなに楽しみなのか?」


「……っ! そ、そりゃあ、調査の続きが気になるからだよ!」


「そうか」


「そうなの!」


慌てるコハクを見て、エレナがくすりと笑った。

リゼリアは俺の腕に寄り添いながら、満足そうに目を細めている。


「ふふっ。賑やかになりそうね、恒一」


「ああ。そうだな」


俺たちは夕暮れの街を歩き出した。

森で見つかった異常の正体は、まだ分からない。

足跡が消えた理由も、魔物の身体が揺らいでいた理由も、紫色の魔力が何を意味するのかも。

けれど、焦る必要はない。

一つずつ調べ、できることを増やし、仲間と力を合わせて進んでいけばいい。

そう考えながら歩いていた、そのとき。

俺たちの背後――北東の森の奥で、誰もいなくなった石柱の表面が、ほんの一瞬だけ紫色に光った。

地面に残されていた魔力の痕跡が、まるで何かに呼応するように揺らめく。

そして、石柱の根元に埋もれた古い刻印が、静かに浮かび上がった。

そこに刻まれていたのは、古代文字で記された短い言葉。


――《接続点・第二》。


その意味を知る者は、まだ誰もいなかった。

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