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セスランディア王国物語  作者: あきよし りん
第十一章/帰ってきた少女
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物語は、いま始まった



王都で、ひとつの物語が伝えられた。



過去の人族が、精霊を狩ってきた事実。


瘴気が現れるようになった理由。


長年禁忌とされてきた、異形の存在(ゼノプーパ)の正体――



初めて知らされたそれらの事実は、人々に衝撃を与えた。



巨人の化け物の正体が、精霊のなれの果て?


四百年もの間、精霊が狩られてきた?


精霊王オーリアからの啓示?


到底、信じられない。



だが実際に、精霊はこの世にいるし、異形の存在も実在する。


それに、これは国王自ら公表した内容だ。


それなら、すべて本当なのだろう。



一体、精霊の申し子はこれから何をするのか。


一体、セスランディアはどう変わるのか。



まだ、何も分からない。


だが、異形の存在が消えるのなら。


精霊が、まだいるのなら。


この国は、本当に変わっていくのかもしれない。


それはきっと、良い方向に――



この物語は、人から人へ、王都から各地へ伝わっていった。


そうして、時間をかけて“真実”として受け入れられた。


リリアンヌ・エラドリオールの、名と共に――




【セスランディア王国物語】


――かつて、精霊と人々が共に生きる時代があった


人々は精霊を敬い、

精霊もまた、人々を慈しみ、惜しみなく加護を授けていた



時は流れ、今から九百年前


とある精霊が、人族の男に恋をした

精霊は男に加護を授け、男は、それを受け入れた


やがて、二人は結ばれる


二人の繋がりが深まるにつれ、加護のちからは強大になった

男はそのちからを使い、広大な大地を統一した

いつしか男は、“セスランディア王”と呼ばれるようになった


セスランディア王国の始まりである



初代セスランディア王は精霊の加護により百年以上生き、

愛した精霊と共に眠るように生涯を終えた


二人は、とても幸せな一生を過ごした



しかし――

そこから悲劇は始まった



「精霊の加護を手に入れろ!」


世界中で、権力を求める者による精霊狩りが始まった


精霊を捕らえるだけでは、

加護は得られない


ある者はちからを調べるため、

精霊を切り刻み、


またある者は、

より多くの精霊を手に入れるため、土地を奪った


歴代のセスランディア王は、初代の言い伝えを守り、精霊を助けた

それでも、争いは止まらなかった


精霊狩りは、

初代セスランディア王の死後から四百年もの間続いた



精霊は殺され、

時には自ら死を選び、

次々と消えていった


精霊たちは悲しみ、

人々を恨み、


そして――呪った



呪いはやがて瘴気となり、

そこから異形が生まれた


異形の存在は、悲しみを抱えた精霊の“なれの果て”だった


そうして、

精霊はこの世から消えてしまった



――そう、思われていた

しかし、精霊はまだ、この世に残っていた



精霊王オーリアは、人族に最後の機会を与えた


「また精霊と共に生きる道を選ぶなら、やがて異形の存在は消え去るだろう」


その啓示を受けたのは、

王族リリアンヌ・エラドリオール

彼女は加護を授かり、同時に使命を負った


精霊を見つけ出し、

この世から異形の存在をなくすという使命を



誰も精霊を傷つけてはいけない

誰も精霊を奪ってはいけない

その瞬間、精霊は人を見捨ててしまうのだから



リリアンヌは、歩みを止めぬ

精霊を見つけるために

この世から、異形の存在をなくすために


そして、

精霊と共に生きる未来を実現するために



精霊の申し子とセスランディア王国の物語は――いま、始まった



第十一章・完

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