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セスランディア王国物語  作者: あきよし りん
第九章/ザンビア砦の戦い
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決着

リリアンヌ視点



まずは――みんなを、治さなきゃ。



リリアンヌは両手を横に広げると、すぐさま白のちからを送った。


カッ――と城塞中が白く光った。



「…すごい」


初めてこれだけちからを使ったのに、まだまだ体力がある。



「ルル、ありがとう」


ルルが、体力を底上げしてくれているからだ。



「…ナナ!ポポ!」


リリアンヌが呼ぶと、二匹の精霊が前に躍り出た。



「ギイイイイャアアアアア…!」


異形の存在の体が膨らみ、ドンッ、ドンッと棘を弾き出した。



――バリバリバリッ…


バチバチバチィ…!



ナナとポポが、雷と盾で同時に攻撃を防いだ。



「スノウ…!いくよ!」


リリアンヌはスノウと共に体を白く光らせ、両手を前に突き出した。



――次は、お前だ。



ありったけの白のちからを使い、異形の存在と繋がった。


瘴気をまとう巨体が、白い光に呑まれていく。



弱体化なんて、生ぬるいことはしない。


あの異形の存在(ゼノプーパ)を――消してみせる。



「ゲギャアアアアアアアアアアアアア――…ッ!!」


山を揺るがすような雄叫びが響き渡った。



「…っ…」


びりびりと体が震え、頭が後ろに傾いた。



――ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ…!



異形の存在が、無数の棘を繰り出した。


立っている場所が大きく揺れ、足元が崩れた。



「ぅ、くっ…!」


なんとか足に力を込め、正面だけを見据えた。


反撃が、押さえきれない。



――バチバチッ…


バリバリィィ…ッ!



ナナとポポが素早く反応して、辺りへの攻撃を防いでくれている。



「…はっ、はぁっ、はぁっ…!」


ちからを貸してもらっても、体力を底上げしてもらっても。


想像以上に、消耗が激しい。



体が、ミシミシと悲鳴を上げている。


だけど絶対に、こんなところで止めるわけにはいかない。



異形の存在の胸元が、ぐにゃりと渦を巻き始めた。



…もっと。



もっと…



――もっと!



胸元が、さらに大きな渦を描いた。


(コル)”を、見つけた。


これを――消し去る。



「ゲギャアアアアアアアアアアアアア…!!」



――ドォンッ…ドンッ…!


ドドドドドッ…!



異形の存在の猛攻が始まった。


無数の棘が、城塞を削っていく。



黄緑と桃色の光が、素早く動いた。



――バチィッ…!



まっすぐリリアンヌに迫った棘が、ポポの作った盾により目の前で止まった。


盾が――メリッ…メリッ…と嫌な音を立てている。



「…っはぁ、はぁっ…!」


絶対に、ここを動かない。


絶対に、ちからを送る手を止めない。


絶対に、こいつを――



迫る棘が――盾を、強引に突き破った。



――ドッ…!



鋭い切っ先が、左肩を貫いた。



「…あぁっ!」


リリアンヌの悲鳴が、辺りに響いた。



「…ぅぐう…っ!」


足元が揺れ、後ろに体が傾いた。



駄目だ。


今、倒れるわけには…



ふいに――後ろから大きな手が伸び、体を抱き留めた。


倒れかかっていた体が、力強い腕によって支えられた。



「…!」


この手を、知っている。


後ろに誰がいるのか、分かる。



足に、力が戻った。



(コル)”はもう、消えかかっている。


繋がる光が、蝋燭の火のように弱々しく揺れている。



もう…少し。


だけどもう、意識が飛びそうだ。



体の内側が、軋みながら壊れていく感覚がした。


一体、どうなってしまっているのだろう。



そんなことは…どうでもいい。


目の前の異形の存在さえ、消せれば――



繋がる光が、ふっ…と消えた。


その瞬間、一気に朝陽が差し込んだ。



「オ、オ、オ…リ、ア…サマ…ァァァ」


異形の存在は、ゆらりと崩れ――



「…ァァァ」


城塞の前から、消え去った。



それと同時に、


リリアンヌの意識も、ぷつりと途切れた。



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