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セスランディア王国物語  作者: あきよし りん
第五章/見えない繋がり
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動揺する男たち③

レックス視点



「第二城壁の北門でも、死体が出た…」


ルイージが、騎士の報告に絶望の声を上げた。



「はい。死体は同じく、すべて守衛隊兵でした。現在ロデオ総長の指示により、国王直(フィデリス)属騎士団(グラディウス)が城下町を捜索しています」


報告に来た騎士は、静かに言葉を続けた。



「…それでいい。八塔勤務だった奴らの素性は、まだ分からないか」

レックスは無意識のうちに、指で机を叩いた。



「そちらは、守衛隊騎士が調べています」



「…リョーマを執務室前に置いておけ。フーリン、お前は捜索へ加われ」



「御意に」


フーリンが執務室から出ていった。



「…俺の考えが甘かった」

ルイージが、ぎりっと拳を握った。



「リリアンヌ殿下を城に出入りさせるべきではなかった。俺がエラドリオール邸へ行くべきだった」



「落ち着け、馬鹿。いまさらそんな話をしても仕方ねぇだろ」



「だが…!もしリリアンヌ殿下の身に何かあったら…っ!」



「だから総出で探してんだろうが」


レックスは苛立たしげに答えると、椅子に深く沈み込んだ。



国王直属騎士団から、空になった馬車と御者の死体を発見したと報せがあった。


その後すぐ、第二城壁の北門でも死体が上がったと追加の報告が入った。


王の影(ルプスウンブラ)は、潜り込ませている奴らすべてを稼働させている。



だが、新たな報告はまだない。


まだ、情報が足りない。



国王直属騎士団と同等の強さを誇る、王の影を殺せる奴か。


誰の飼い犬だ。



そんな奴を雇える者など、一握りしかいない。


まだ、黒幕が見えない。



不意に――勢いよく執務室の扉が開いた。



「伯父上!妹が攫われたとは、どういうことです!」



「…ちっ」


面倒な問題児が来た。



「…捜索中だ」



「そんなことは分かっています!当たり前でしょう!」


サイラスは部屋を突っ切ると、レックスの机を強く右手で叩きつけた。



「伯父上がリリィを登城なんてさせるから、こんなことになったのです!」



「…そんなことは、リリアンヌが見つかった後にいくらでも聞いてやる」

レックスは、ぎろりとサイラスを睨みつけた。



「お前も守衛隊の端くれとして、さっさと犯人捜しを手伝いに行け」



「言われなくても、行きますとも。――伯父上にこれを報告しましたらね!」


今度は左手で、ばんっと机を叩きつけた。


その手の下には、いくつもの紙が置いてあった。



「八塔勤務だった者たちの調査簿です。こいつらを見つけたら…俺はすぐにでも粛正しますので」



「駄目だ。まずは、尋問だ」

レックスは即座に首を振った。



「その後、好きにしていい。…お前が捕まえられたらな」



「…約束ですよ」


サイラスは父親そっくりの形相で睨みつけると、さっさと扉へ向かっていった。



「…あれだから、騎士になれねぇんだよ」


実力は十分だが、一度怒りの感情が入ると冷静になれない。


妹への執着は、父親より質が悪い。



「…おい、レックス」



「あ?」



「共通項が…分かったぞ」


いつの間にかルイージが、サイラスの置いていった調査簿に目を通していた。



「…もう分かったのか」


たった数秒で見抜いたのか。



「全員…スワハマが推薦した人間だ」



ルイージが言い切ると同時に――


レックスは、素早く立ち上がった。



「玉座の間にスワハマを呼び出せ。尋問の時間だ」



「御意に」

ルイージは素早く扉へ向かった。



やっと、尻尾を捕まえた。



尋問の機会を、自ら与えた。


ルイージのちからを使えば、隠すことは不可能だ。


すべて、吐かせてやる。



レックスは、ひとり笑みを浮かべた。



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