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セスランディア王国物語  作者: あきよし りん
第五章/見えない繋がり
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動揺する男たち①

レックス視点



目の前で、ロデオが消えた。



「アランフォース、お前も行け」

レックスは、間髪入れず口を開いた。



返答は、なかった。



「アラン!」



「!」


エドガーの声に、アランフォースがはっと顔を上げた。



「…アランフォース、お前も行ってこい」



「…御意に」


アランフォースがエドガーの手に触れ――消えた。



「…リック、お前は今すぐにロデオ総長をここまで案内した兵を見つけ出せ」

エドガーは素早く部下へ顔を向けた。



「表に立っている兵が顔を見ているはずだ。話を聞いて、なんとしてでも捕まえろ」



「はっ!」

リックは、勢いよく扉を開けて出ていった。



「……」

レックスは腕を組み、積まれる荷箱に浅く腰掛けた。



…指示をひとつ、誤ったか。



今朝方、リリアンヌにつけていた王の影(ルプスウンブラ)の行方が分からないと報告を受けた。


探せとすぐに指示を出したが、


その時点で、さっさとリリアンヌに別のルプスを送るべきだった。


そう判断する前に、今度は大量の兵士が殺されたと報告が入った。



変死体が出たと言えば、ロデオが娘を屋敷へ隠すことを確信していたのか。


大胆な作戦だが、弟はまんまと罠に嵌り、リリアンヌをひとりにした。



リリアンヌが、狙われた。


あれだけ名を売れば、そんな馬鹿は現れないと思ったが――



加護持ち以前に、あいつは王族だ。


王族に手を出せばどうなるかくらい、どんな馬鹿でも分かるはずだ。



いや…まず、守衛隊から裏切り者が出た時点で大問題だ。


近衛隊と違い、守衛隊の入隊基準は緩い。


そこを突かれたか。



誰が首謀者だ。


関わった者ひとりでも捕らえれば、ルイージのちからを使って企みを知ることができる。



何が目的だ。


精霊か。


リリアンヌ自身か。



「…まだ、何かあったと決まったわけではありません」



「…分かってる」

レックスは、腕を叩く指を止めた。



「官僚どもには知らせてやるな。大ごとにするだけだ」



「犯人は複数で逃走しています。巻き込まれたりでもしたらどうするのです」



「あいつらの誰が巻き込まれようが、どうでもいい」



「……」

エドガーは、そっと口を閉じた。



「そんなことは、どうでもいいんだよ」


むしろ、ひとりくらい巻き込まれて死ねばいい。



…スワハマ。


ルプスをつけているが、変わった動きはしていない。


何か関わっているのか。



「…陛下」



「あ?」



「…彼です」


エドガーの視線に合わせ、開け放たれたままの扉へ目を向けた。



執事の格好をした男が、まっすぐにこちらへ向かってきていた。



「…お前も残って話を聞け」



「御意に」

エドガーは短く返すと、素早く扉へ向かった。



「ここは、立ち入り禁止です」


扉の前に立つ兵士が、執事の格好をした男を止めた。



「止めなくていい。彼は、私が呼んだ」



「…はっ、失礼しました」



「いいと言うまで、誰も中に入れるな」


エドガーは兵士に指示を出すと、男を招き入れた。


男は黙ったまま、迷わず扉をくぐった。



「お前がその格好で来るのは珍しいな」



「緊急事態につき、姿を現しました」


男は部屋の中央で足を止めると、レックスへ一礼した。



「陛下。リリアンヌ殿下につけていた王の影を発見しました」



「…発見?」

レックスは、ぴくりと眉を動かした。



「エラドリオール邸近くの森で殺されていました」



「…あ?」



「死体の硬直具合から見て、殺されたのは深夜十二時前後と言ったところでしょう」



「…ルプスが殺されたのか?」



「ええ。私も驚きました」


男――王の影の長は、無表情のまま答えた。



「手練れの刺客が、第二城壁内に紛れ込んでいる可能性があります」



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