表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セスランディア王国物語  作者: あきよし りん
第五章/見えない繋がり
194/240

襲撃①

リリアンヌ視点



「…っ」


かくんっと首が下がり、浅い眠りから目覚めた。



「…リリィ、昨日はよく寝れなかったのか?」


隣から、父が心配そうに覗き込んだ。



「あ…ごめんなさい」



「眠かったら、寝ていていいぞ」

ロデオは娘の肩を抱き寄せ、優しく撫でた。



「…いいえ。すぐ王城に着くでしょう?」

リリアンヌは、小さく頬を叩いた。


まさか、二十分で着く馬車の中でうたた寝をしてしまうなんて。



昨夜――


薬療院から戻ってきた後、家族に宛てた手紙を仕上げた。



慎重に言葉を選んでいたら、すっかり外が明るくなってしまっていた。


ほとんど、寝ていない。



王城から帰ったら…少しだけ寝よう。


寝不足の状態で夜中に発ったら、きっと体力も持たない。



荷物は、まとめて引き出しの中に隠してある。


下着の数が減っているとニアが目敏く気付くから、出かける直前に詰め込むしかない。


あと、ずっと書き込んでいた日記も持っていきたいけれど――



肩を撫でる父の手が、ぴたりと止まった。



「…?」

リリアンヌは、そっと視線を上げた。


ロデオは、窓の外を睨みつけていた。



「…お父様、どうしたのですか?」



「…騒がしいな」



「え?」


父に合わせ、窓に目を向けた。



自分には、いつもと変わらない景色に見える。


ただ、いつもより巡回している兵の数が多い気がした。



「…何かあったのでしょうか?」


軍服の色は、濃灰だ。


ということは、ここはまだ第二城壁内だ。



「……」


父は、答えない。



窓から見えていた守衛隊の兵士が、こちらに向かい駆けてきた。


馬車が、ゆっくりと速度を落とした。



「馬車の中で待っていろ」

ロデオは立ち上がると、素早く扉から出ていった。



「……」

リリアンヌは、そっと窓辺に寄った。



父と駆けてきた兵士が、何か話している。


そこに、さらに四人の守衛隊兵が加わった。



父は後から来た四人に何か指示を出すと、馬車の方へ戻ってきた。


扉から入ってくるなり、馬車のカーテンを次々と閉めていった。



「リリィ…すまないが、今日は屋敷へ戻ってくれ」



「えっ…はい…分かりました」


やっぱり、何かあったらしい。


だけど言わないということは、聞いてはいけないことだ。



「往復させてしまってすまないな。戻ったら、アヴェリーンとゆっくり休んでいろ」



「…はい」


正直、ありがたい。



「本当はお前を屋敷まで送ってやりたいが…すまない、その暇もない」



「そうなのですね。でも、大丈夫です」


ここから屋敷まで、十五分もかからないだろう。



「守衛隊に、馬車の周りを警戒するよう命じてある」



「はい、ありがとうございます」



「また夜にな」


ロデオはリリアンヌの額に優しくキスすると、扉から出ていった。



しばらくしてから、ゆっくりと馬車が動き出した。



「……」


まさか、最後の最後で登城が中止になるなんて。


一体、何があったのだろう。



様子を伺いたいけれど、父がカーテンを閉めてしまった。


きっと、開けない方がいい。



「…ふぁぁ…」


堪えていた欠伸が、盛大に漏れた。


それにしても、眠い。



今日の午後は、馬術の授業がある。


ぎりぎりまで乗馬の練習ができるのは嬉しいけれど、体力は削られそうだ。



部屋に戻ったら、すぐに寝よう。


ニアに、十二時には起こしてもらって――



「……」


薄暗い馬車の中、


リリアンヌは、再び浅い眠りについた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ