表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セスランディア王国物語  作者: あきよし りん
第三章/王城の日々
119/222

加護のちから④

リリアンヌ視点



「…本当は、三人以上で試すのが一番いいのです」


作業を終えたシリルが、軽く紙を整えた。



「第三者が見ていないと、気付かないちからもあります。

あとは攻撃の類か強化の類のちからを持った方がいらっしゃると、より試しやすいです」



「ああ…そうか。相手のちからを増強するようなものも、この系統か」

ルイージが、シリルから資料を受け取りながら呟いた。



「私が同席できれば一番いいのでしょうが…申し訳ありません、この後も仕事がありまして」



「いいえ、十分です。シリル先生、今日はこちらを優先していただき、大変助かりました」



「……」


やっぱり、優先してここに来てくれたらしい。



「いいえ。王族の方を鑑定させていただくほど光栄なことはございません」

シリルは立ち上がると、重たい鞄を持ち上げた。



「リリアンヌ殿下。私からも最後に、ひとつだけ」



「はい、何でしょうか」



「先ほどルイージ宰相もお話しておりましたが、まず、ご自身のちからの限界をしっかりと把握してください」



「…はい。何のちからか分かったら、ですね」

リリアンヌは慎重に返した。



「ちからは、想像よりずっと使うことができません」



「…?」


どういう意味だろう。



「長時間、または何度も使うことができない、ということです。私も、鑑定のちからは一日に三度ほどしか使えません」



「…四度使うと、どうなるのですか?」



「私はそもそも、三度以上使えません。ですからありがたいことに、体力を削ることはありません」


顔を強張らせるリリアンヌに、シリルが苦笑して答えた。



「ただ、多くの“特別なちからを持つ者”が、限界が分かるようにはなっていません。ご自身で気付くしかないのです」



「…分かりました」


まだ、どのちからの限界も分からない。


しかも加護を授かったのだから、また変わっているはずだ。




「それでは…私は、これで失礼させていただきます」



「シリル先生、ありがとうございました」



「どうぞ、お気を付けてお帰りください」


二人が見守る中、シリルが扉から出ていった。



「…さて、さっそくですが…この中で、二人でできそうなものを試してみましょうか」

ルイージは座り直すと、すぐにシリルから貰った資料へ目を落とした。



「あの…ルイージ宰相。私も一枚、見てもいいでしょうか」



「ええ、どうぞ」



「ありがとうございます」

リリアンヌは差し出された一枚に、さっと目を通した。



一枚の紙に、二十ほどのちからの名称と詳細が書かれている。


その中ですでに、十個はシリルのペンにより消されていた。



視覚共有のちから、聴覚共有のちから、記憶共有のちから…


この辺りは、名称でどんなちからなのか分かる。



模倣のちからは、相手のちからを真似するちから。


読心のちからは、相手の心を読むちから。


痛覚共有のちから、なんてものもある。


伝達のちからはどうやら光の色が違うみたいで、消されている。



この紙に書いてあるちからはどれも、スノウのものとは違いそうだ。


どのちからも、異形の存在(ゼノプーパ)を消せるようなものではない。


これはすべて違うと言えれば、絞り込みは早いのだろうけれど――



「…ん?」


ふと、ひとつの欄で視線を止めた。



――繋がるちから


詳細は不明

精霊王オーリアが持つちからのひとつとして有名



「…へぇ」


精霊王がそんなちからを持っているなんて、知らなかった。


繋がるちからって…何だろう。



「何か気になるものでもありましたか?」



「あっ…いいえ、ごめんなさい」

リリアンヌは、はっと顔を上げた。



「シリル先生のおっしゃる通り、確かに三人以上で試した方が良さそうなものが多くありますね」


ルイージは、「どうぞ」と他の資料もリリアンヌへ手渡した。



「能力を向上させるちからや、阻害するちからを試す場合は、攻撃か強化の類のちからを持つ協力者が必要だな…」



「あの…ルイージ宰相のちからは公にされていらっしゃらないのですか?」


ふと、疑問が湧いた。



「…なぜ、私が特別なちからを持つ者(アニマソムニア)だと思うのですか?」


ルイージの声が、わずかに鋭くなった。



「まだお若いのに宰相ということは、優秀なちからをお持ちなのかなと思って…」

リリアンヌは言いながら、どんどん声を小さくした。



「ごめんなさい…勝手な思い込みでした」


それに、失礼だ。


まるで、“特別なちからを持つ者”でなければ宰相になれないような言い方をしてしまった。




「まだお若い、ですか」

ルイージは、ははっ…と笑みをこぼした。



「こう見えて、あなたの御父上より年上なのですけれどね」



「えっ…あ、そうなのですね」



「確かに私は、“特別なちからを持つ者”です。ですが、攻撃の類でも強化の類でもありません」



「……」


それならば、共有の類か操る類のちからだ。


ということは…ちからを隠している。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ