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セスランディア王国物語  作者: あきよし りん
第三章/王城の日々
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登城のはじまり④

リリアンヌ視点



「リリアンヌ殿下、今日はここまでにしておきましょうか。もう、十二時です」


ひと区切りついたところで、ルイージは両手をぽんっと膝の上に置いた。



「えっ、もう?」


九時に、この部屋に来たはずなのに。



「ええ、私も驚きました。あなたとの時間は、あっという間に過ぎてしまいますね」



「ルイージ宰相、貴重なお時間をいただきましたこと、感謝申し上げます」


リリアンヌはソファから立ち上がり、その場で丁寧にお辞儀した。



「大変、勉強になりました。本当にありがとうございました」


調べられるどころか、授業のようにいろいろと教えてくれた。


しかも、国一番の重職者直々にだ。



「…ロデオの気持ちが分かる気がするな」

ルイージがぽつりと呟いた。



「え…?ごめんなさい、何とおっしゃったのですか?」



「いえ、なんでもありません。リリアンヌ殿下、昼食はこちらへ準備させますので、ゆっくりと召し上がってください」



「あの…午後は何をすればいいのでしょうか」


ルイージとの話し合いが午前で、昼食を王城で食べるということは、


この後も誰かと話をするのだろうか。



「いいえ。特には、何も」



「えっ」



「ですから、本来はここでご帰宅いただいて結構なのですが」

ルイージは、ふっと苦笑を漏らした。



「あなたの御父上が、ご自身で迎えに来ると譲らないものでして。申し訳ございませんが、このまま夕方まで王城で過ごしてもらいます」



「はい、分かりました」

リリアンヌは、素直に頷いた。



「できればこのまま客間でお待ちいただきたいのですが、どこか行きたいところはありますか?」



「王城で…ですか?」


客間と庭園と玉座の間以外、行ったことがない。


他にどんな所があるのかも知らない。



「そうですね…リリアンヌ殿下が行ける場所は、庭園か、温室か、図書室か…」



「…!図書室に行ってもいいのですか…!?」

リリアンヌの目が、一気に輝いた。



「…ええ。護衛をつけることになりますが、構いません」



「では、昼食後に図書室へ行ってきます」


王城の図書室なら、エラドリオール邸よりも多くの書物があるはずだ。


もっと多くの知識を得られる。




「本当に…あなたは、勉強熱心ですね」



「えっ?」



「それに理解力が高く、大変聡い。想像以上です」


ルイージは感心するように、まじまじとリリアンヌを見つめた。



「でも…質問ばかりしてしまいました」

リリアンヌは、気まずそうに目を伏せた。



「それは、まだ習っていないことを尋ねただけでしょう。私は今日、ほとんど言い回しに気を遣わなかった。殿下が八歳だということを、すっかり忘れていました」



「あ…ええと」



「幼馴染みに…よく似ています」



「…幼馴染み、ですか?」



「ええ。彼もまた、幼い頃から頭の回転が早く、誰よりも賢かった」

ルイージはそう言うと、ゆっくりとソファから立ち上がった。



「まあ…性格は、まったく似ていないようですが」



「…?」


その幼馴染みは、私でも知っている人なのだろうか。



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