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セスランディア王国物語  作者: あきよし りん
第二章/“仲間”と精霊
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まだ誰も知らない真実②

マドカ視点



王都より遥か南にある、川の都スーゼル――


観光地として有名で、いつでも人で溢れている。



比較的治安が良く、その土地柄から、穏やかで大らかな性格の者が多い。


平和な国、ノウルへも一時間ほどで行けるため、人の往来も活発だ。



そんな町の一角にある孤児院で、


もう、十年以上も生活している。



「はぁ…暇…」


マドカは窓に向かい、盛大な溜息をついた。



他の子供たちは、一生懸命掃除をしている。


睨みつけてはくるけれど、誰も何も言ってこない。



まあ、言えるわけないよね。


院長が、私は掃除や食事の準備をしなくてもいいと言っているのだから。



院長は、なんでも言うことを聞いてくれる。


美少女ってだけで、本当に得だ。



それに私には、めちゃくちゃ特別なちからがある。



マドカとして生まれた時は、絶望した。


これから起こることを考えて、嫌で嫌で仕方なかった。



何よりもまず、この世界の不衛生さに耐えられそうもない。


絶対、汚い。


ご飯も美味しくない。


まじ、無理。


そう思っていたけど、意外と生活に不便さを感じることはなかった。



ただ、本当に暇だ。


本を読む気もしないし、子供たちと遊ぶ気はもっとない。



しかも、孤児院にいられるのは十六歳までだ。


こうして、日々だらだら過ごせるのもあと五年しかない。



いや――


“デューゼの森の悪夢”を防げないから、ここも滅びるかもしれない。



そういえば、今日はブライアンの十四歳の誕生日だ。


“マドカ”が、精霊を見つけて加護を貰う日だ。


精霊を見つけに行く気もなかったから、すっかり忘れていた。



この国で霊拝師(オランス)になるなんて、絶対にごめんだ。


そうしたら、私が異形の存在(ゼノプーパ)の大群から国を救わなくちゃいけなくなる。



最高位(エクセルシス)霊拝師マドカ、なんて呼ばれることは魅力的だけれど。


そのためだけに七年近くも眠ることになるなんて、最悪すぎる。



目を覚ましたら二十歳を超えているとか、まじあり得ない。


何が悲しくて、一番楽しい時期を寝て過ごさなくてはいけないのか。


何の得もない。



そんなことになるなら、別に加護なんていらない。



私が精霊を見つけなかったことで、セスランディア王国は滅びるだろう。


少なくとも、王都より北側は壊滅することになる。


ずっと南にあるこの町だって、確実に大丈夫かは分からない。



だから、今のうちに隣国へ逃げる。


“物語”では、他国の話はほとんど出てこない。


ということはきっと、無事だったから。



それにノウルならここよりも治安が良いし、最高に安全だ。


ご飯ももっと美味しいと、院長が言っていた。



“デューゼの森の悪夢”が起こる直前…


十三歳になったら、白のちからを持っていることを院長に報告しよう。



それで、ノウル国に推薦してもらえばいい。


どの国も、白の使い手は欲しいに決まっているのだから。



我ながら、完璧な計画だ。



前世では、要領よく生きてきた。


世渡り上手だねと、褒めてもらったこともある。



だから、何も問題ない。



“仲間”たちに会えないことは、残念だけれど。


それよりも断然、自分のことの方が大事だった。



第二章・完

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