表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風の精(スプライト)  作者: 花一匁
一章 風と学院
25/42

風 ⅩⅩⅣ

二週間以上あけてしまいすみません


ⅩⅩⅣ VS.派閥





廊下でレイとすれ違ったミオは泣いていた

傷の痛みとレイに頼れない喪失感が、ミオを泣かせていた


「会いたい、よ……助けて、欲しいよ……」


ミオは一人では戦えない戦士だ。彼女の力は一人では勝てない

何故なら――守護獣ガーディアンが存在しないから

戦う魔法士は誰でも守護獣を使役しているものだが、ミオ・フェリシモはその守護獣がいない。死んだ分けでもない。ただいないのだ

生まれながらにして全属性の全系統が使える天才肌のミオは優遇されていた。そして、その隣にいたレイは『風』が発祥しておらず、いつも冷遇されていた

当時、彼女は守護獣も立派なものだろうと思われていたが、ミオは誰にも自分の守護獣の話はしなかった。存在しないから、話せなかった


(私は……欠陥品。魔法士失格)


過去の歴にも守護獣の存在しない魔法士などはいない。皆が皆、ちゃんと守護獣を従えていた


(……逃げなきゃ)


ミオは足を引きずりながら後ろからやってくるであろう人物から逃げる

逃げた先は娯楽施設。基本的に平和な娯楽施設だが、裏ではプラムの学生がたむろするスラム街が存在する

教員はこの存在を知っていながらも放置。学院自体に被害がなければ例え生徒が巻き込まれても動くことはしない

ミオは隠れる場所が多いという判断でスラム街に入っていく。崩れた建物や瓦礫などがたくさんある中を注意しながら逃げる


「お疲れさまだねぇ。裏切り者」


「っ!?」


目の前にいつからいたのか、アルバート・ハイドが笑顔を浮かべながら先回りしていた


「どう、やって……」


「そんなノロノロと逃げてたら誰だって捕まえることができる」


「くっ!土を司る岩の魔素マナよ!」


ミオの詠唱に転がっていた瓦礫が反応。宙に浮かび、アルバートに向かって飛んでいく


「子供だましか」


アルバート軽く息を吐き向かってくる瓦礫に人差し指を向け


「弾ける雷光」


珍しい唱え方だ。そう思ったときミオの魔法が上書きされ、瓦礫がミオを襲う

驚きながら再び魔法を唱えて相殺しようとするが


「無駄無駄」


嗤いながらアルバートはミオの魔法を再び乗っ取る


「う、そ……」


驚きながらも向かってくる瓦礫を右に左にと避ける。やがて足下にある瓦礫に足を取られて倒れる


「土と水を司る――」


詠唱中に瓦礫がミオ目掛けて突っ込んでいく

地面と接触する音などで詠唱が聞こえなくなるが、アルバートは手応えを感じていた


「ピーネなのに、呆気なかったな」


落胆の声とともに瓦礫で立った土埃を見据える





レイはフィレとニールの力を借りてミオを助けるために行動を開始する


「では、また後ほど」


「……また」


「ん。後方は任せる」


言葉を交わしてレイはフィレとニールと別行動をする

レイはできる限りの推測をする

ミオのあの傷はやられた傷。可能性としては同派閥のアルバート・ハイド。理由は裏切りの排除とみて間違いないのかもしれない


(だとしたら、向こうは早急に潰しにかかる)


そこまで考えが行き、レイの背筋を嫌な汗が伝う


(ミオが……危ない!)


レイは自分の内ポケットに忍ばせている白い光の入ったビンを服の上から優しく握りしめる


「いざとなったら、生まれる前に新しい親を見つけてもらえよ」


魔法が使えない今、勝てる見込みはない。多少なら使えるが、威力も微弱。継続時間もまた短い


(ミオ、間に合ってくれ!)


急いでミオの現在地を捜す。大体の居場所はわかっている。これも、長年相棒をやってきたお陰だ

娯楽施設に入ると突然に声をかけられる


「慌てすぎると人生損だよ。アトレス君」


「今の俺はレイだ」


「いや、アトレスの方で行きたまえ。魔法が使えないだろう?」


周りには誰もいないが確かに博士の声はする。その声を頼りに移動すると一つの壊れた建物内に博士がいた


「ここは?」


「スラム街さ。色んなのがたむろする不良や落ちこぼれのの溜まり場」


「博士はどうしてここに?」


「アトレス君に二つの贈り物と一つの情報を届けに来たのさ」


ポケットから小包と薬ビンを取り出し、レイに渡す。小包の中身はミオと繋がっていたのと同じ指輪


「これは?」


「先に情報から話そう」


勝手に物事を進められるが、この場合は博士自身も切羽詰まっているときだ。大人しく聞いておいた方がいいだろう


「ニールセン・ヴィヴィオ。彼女は半妖と半人半獣から生まれた新しい生物だ。普通はこの二種族から生まれるなんとことはないのだが……まあ、それは今はいい。その力がアトレス君の力を妨害している」


「中和されてるってことか?」


「いや。妨害されてる、の方が正しいね。無茶なことをするからこうなるんだよ」


お小言が始まるのか。そう思ったがどうやら違うようで、博士は先程渡した薬ビンに指差し


「それを飲めば君の力を一時的に取り戻せるよ。まあ、時間はホンの数分。五分満たないけどね」


数分。その時間でミオを守りながら倒す自信は正直ない


「だから、一つ選択肢を増やそう」


「選択肢?」


「今現在求められているのは二つ。捨て身で助けに行くか。それとも無視するか」


後者は当然あり得ない


「そして増やす選択肢は……派閥に加担する。そうすればミオ君の命はアトレス君がいる限り保証される」


その選択肢はハッキリ言って一番手にとりたい選択肢だ。ミオを助けることができるのならそれが賢い選択だ。それにうまく行けば派閥の内情も探ることが出来、内部から壊すことも可能だ。でも……


「悪い博士」


彼は断る。どんなに誘われるような選択肢でも、絶対に選んではいけないものがある


「俺の最優先事項は博士を護ることだ。例えミオが死に至る状況だとしても、博士が危険なら博士を護る。俺が派閥に入ったりしたら博士のことは何れ知れ渡る。そんな事になるなら俺は命懸けでミオを助ける道を選ぶ」


レイの中で優先されるは博士だ。今この状況下では第二、第三の選択肢はあり得ない

その答えを聞いて博士は笑ったような表情をしながらアメ玉を取り出して自分の口に含み、そしてレイにキスをした


「ふ…ぁ……ん……」


博士の口から漏れる吐息。そしてレイの口に入ってくる博士の舌とアメ玉


「約束だよ。必ず僕の所に帰ってくるんだ。腕が飛んでも、足が飛んでも、満身創痍だとしても、必ず帰ってきてその顔を僕に見せてくれ」


「博士が、それを望むのなら。死んでも護る」


「バカだね。死んだら、意味ないだろう?さあ、行きたまえ。僕はずっと待っているよ」


その言葉に背中を押され、レイは駆ける。自分のけじめを付けるため。ミオを守るため。そして――博士との約束を、果たすために


最近更新速度が一気に遅くなった気がしますよ

なるべく遅くならないように気をつけます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ