風 ⅩⅦ
遅くなりました
すみません
ⅩⅦ 制御水晶
レイ達のチームが決まって一週間
午後の部ではアイン教員の下、レイ達の実力を見てくれていた
「それで、何か用ですか?」
チーム“風”は訓練後に全員アイン教員に呼ばれた
「うん。今日まで見てきたけど、みんなには明日からこれを付けてほしいの」
アインが出したのは四人分のビー玉サイズの無色透明な水晶玉
「これは?」
タリアも見たことがないのか、アインに聞くとアインはニコニコしながら教えた
「これは私が顧問の時には必ず付ける、制御水晶」
それを聞いたタリアとフィレとニールは驚いた
レイは制御水晶のことを知らないのか、首を捻っている
「制御水晶って、何?」
レイの問いに一瞬時が止まる
「……レイ君、それくらいは知っとかなきゃ~」
「レイ、本当に知らないんですか?」
「………常識」
「よく学園に……」
皆からいろいろ言われるがレイは特に気にした風もなく制御水晶が何か聞いた
「制御水晶は簡単に言えば魔力を抑える水晶。用途は子供の頃は魔力が不安定だから、抑えるために付けるの」
タリアの解説でだいたい分かったレイは何故それを付けるのかをアインに聞いた
「制御水晶を付けて、魔力量を増やしてもらうため?」
「あの、私たちに聞かれても……」
「まあ、理由はどうあれ、これを付けろ。そういうことですよね?」
レイの言葉にニコニコしながら頷くアイン
それが冗談なんかではないと気づいたフィレとタリアの表情が真剣そのものになる。ニールは顔をしかめて嫌そうにしていた
よく分かっていないレイは普通に言うアインに驚くことはなく普通に質問する
「そんな事も出来るのか?」
「普通は魔法を使い続ければ段々とあがるよ~。でも、それだと成長はあまり感じないんだ~」
それに、と言いながらレイから視線をはずし三人を見て言う
「彼女たちは、元々の魔力が高いからね。やれば伸びると思うよ~」
三人の魔力に関しては把握しているが、レイの資料には魔力量が記されていないのでレイ以外の三人に言った
「ですがアイン教員。私たちがそれを付けなくても……」
「いつもその力が使える訳じゃないよ」
「!!」
(そうだ、俺の風は使えない時がある)
ピシッと言い放った言葉は質問したタリアやフィレ、ニールではなく、レイが一番反応した
「魔法をを発動させない罠アイテムも存在するって聞いたことがあります」
「………魔法も、ある」
「所謂、罠魔法ってやつよね」
「と言うわけだから、魔法以外の防衛技術を身につけるために、水晶をつけてね~」
四人に制御水晶と鎖を手渡す。レイは水晶を首から下げ、フィレとタリアは手首に下げる
三人が付ける中、ニールだけは制御水晶を付けることを拒んだ
「ヴィヴィオちゃん、これはみんなのためだよ?」
「………でも、いや」
「じゃあたまに持つだけでいいよ?」
それなら、とニールは水晶に触れようとしたら、水晶に小さな亀裂が入った。ニールの手はそこで止まってしまい引っ込めることも、これ以上伸ばす事もできなくなってしまった
それを見たアインはすぐさまに水晶を引っ込めて言う
「別に無理して今付ける必要はないよー。気が向いたら私のところまで来てー」
小さく頷いたニールはそのまま何も言わずに教員室から出ていく
アインは解散と三人に言ってからレイに残るように言う
「それで、話って何ですか?」
「うん。ヴィヴィオちゃんについて」
「気づいてます。彼女の力は強すぎる。こんなものでどうにかできるものじゃありません」
「私も軽率だったよ。でも早急に手を打たないと危ないよ?」
「何故です?」
「今まで応急処置として魔法を無理やり撃たせてどうにかしてきたんだけどね。学院側にも費用があるから」
「つまり、魔法を撃つ以外でどうにかした方が?」
「うん。残酷だけど、ここは全てが自己責任。ヴィヴィオちゃんの身体が自分の力に耐えきれずに壊れるのも、自己責任なの」
「わかりました。自分が何とかします」
「学院の物を壊さずにできるのかな?」
「一応、対処法はあります」
アインはレイの言葉に耳をピクピクと動かし、ニコリと微笑む
「そっか。じゃあアストレス君に任せるね。私が顧問でいる間は、死なないでね」
袖からでていない手がレイの手を握る。レイは真剣な表情で頷き、約束する
「じゃあ、次の話しね~」
いつものしゃべり方に戻ったアインはデスクの上にあるファイルを手に取り、パラパラめくる
「まだ何か?」
「うん。みんなの戦闘を見て思ったけど、近距離型がいないんだよね~」
確かに、とレイは思った。フィレとニールは魔法を主に使っているので遠距離型。タリアの武器は銃型の魔法具なので中距離型。レイは武器を持っておらず、戦闘では魔法と形態移行しか使わないので、このチームで考えると近距離にしか置けない
ここで複数を相手にしているときにレイが抜かれたら後方の三人が厳しくなる可能性が高い。レイ自信も近距離型の人材は欲しいと思っている
アインはファイルから数枚の紙を抜き取り、レイに見せる
「これが優秀な近距離型の人だよ~。みんなそれぞれチームに入ってるから、引き抜いて欲しいの~」
チームから別チームへの引き抜きは学院側でも認められている。聞くところによると、タリアとフィレは今でも別のチームから誘いを受けているらしい
それの対処に困っていると愚痴をこぼしていた
生徒のプロフィールを勝手に見せるのはよくないのだが、黙っていればバレないと思ったアインはレイが一通り目を通したことを確認するとすぐにファイルへしまう
「誰かめぼしい人はいた~?」
「……はい。もう決めました」
さすがにこんな短時間で決めたレイにアインは驚くがレイはそんな事を気にもせずに踵を返して教員室から出ていく
教員室から出たレイは早歩きになりながら先ほどみた一人のプロフィールを思い返していた
(彼女のことをなぜ忘れてたんだ)
その人物は、レイにとって大切な人である
(いる。この学院にいるんだ!)
ナターシャが言っていた『お前の愛しい奴』その意味がたった今理解できたレイはランクとクラス、そしてその名前を頭に焼き付ける――ピーネランク一組 ミオ・フェリシモ




