12話 イケメンいずこ
ルームシェアメイトのマツがあることがきっかけで家を出ていってしまう。その後新たな住人は思いもよらぬ美女だった。そしてまたしてもあの教会に行くことに。一体何が起きるのか?
ある日スクールからワイがシェアハウスに戻るとなぜかドアが開き、ベッドの上におしっこが大量にかかっていた。オーナーのクラウディアの飼い犬のキャッシュの仕業だった。
なんだこりゃ? 弱ったなぁ。
しばらくするとマツが帰ってきた。
「おう、シンジ、どーした?」
「あっ、マツさん、これみてよ」
「なんだこりゃ、ひでーな」
「もう3回目だよ」
「そういえばこないだ猫のミアもお前の部屋でうんちしてたな」
「そう。なんでワイの部屋ばかり」
「うーむ。ちょっと言わないといかんな」
1時間後、スーパーの買い物からクラウディアが帰ってきた。
「クラウディアさん、マツの部屋にキャッシュがまたしょんべん漏らしたぞ!」
「アラ、ナンテコトデショウ」
「飼い主がなんとかしないと駄目なんじゃないの?」
「ペットニハコトバガツウジナイカラムズカシイワ」
「部屋に暮らしているシンジがかわいそうだろ!」
「ワタシ二デキルコトハアヤマルコトシカナイワ、シンジサン、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、カミノオユルシヲ」
「駄目だごりゃ」
3日後
マツに合うと
「よう、シンジ、俺この部屋でるわ」
「ええっ?どうして」
「あのアホ犬とアホ猫に聞き分けのない飼い主とは一緒にやってられん。限界、限界。元気でな」
「どこに行くの?」
「ああ、ジャパンに帰国する予定も1ヶ月半くらいだから、バックパッカーズで暮らすよ」
翌日マツは荷物をまとめて、シェアハウスを出ていててしまった。
ワイはクラウディアに頼み、マツのいた部屋に移った。
ワイの部屋は空き部屋となったが、1週間後に新しい住人が決まったようで、ケイコに知らされた。
「シンジさん。今度くるのは女の子だよ」
「えっ、そうなの? 何人?」
「ジャパニーズよ。クラウディアさんはこの家にジャパニーズしか住まわせないのよ」
「へぇ、なんで?」
「わからないわ。礼儀正しいとか。それにしてもすごくかわいい子だったわ。歳は私の1つ上らしいわ」
2日後新しい住人がやってきた。
「はじめまして。ワカナです」
「シンジです。よろしくお願いします」
「見学にきたら、かわいらしいお家で気に入って、即決しちゃいました〜」
「そうですか。ワカナさんはどちらの出身ですか」
「えっ? 肥後ですけど」
色白でふっくらほっぺで背が低く、胸は大きくアイドルのような風貌の女は一瞬ムッとした。
「ま、とにかく仲良くやりましょう」
ケイコがなだめるように言った。
「わたし、イングリッシュがなかなか上達しなくて困ってるんです」
「クラウディアさんとひたすらしゃべりまくればなんとかなりますよ」
「うーん」
「そういえば、ちょっと前にマツさんと教会に行って、無料で教えてもらいました」
「へー、そーなんですか?誰が教えてくれるんですか」
「モトロンっていったかな。地元に人じゃなくてユーエス出身なんだって。みんな20代くらいの男性っぽかったけど」
「20、へー、なんだか面白そう」
「うん、そうね」
意外にケイコまで興味を示した。
「いつやってるの?」
「えっと、シティジャンクションで毎週水曜日の夕方かな」
「来週連れてってくれません?」
「私も行くわ」
「え?ああ、わかりました」
ワカナさんはともかくケイコはイングリッシュがペラペラなのになんでだろう?
翌週水曜日
16時からなので、15時に揃って家を出ることにしていた。そして5分前になっていた。
「ケイコさん、ワカナさんそろそろいけますか?」
「ちょっと待って」
「あと10分くれる?」
二人はいつも家で見かけるときはすっぴんなのだが、この日はえらく熱心に化粧をしているようだった。
「お待たせ〜」
「ゴメンゴメン」
「5分遅れてるから急いで行こう!」
二人のハウスメイトを連れて電車でシティジャンクションへ向かった。
そして市街地の雑居ビルにあるモトロンの教会に着いた。
部屋のドアを開けると、ワイに気づいたワタベが笑顔で近づいてきた。
「ヨウコソ、シンジサン、オット、オトモダチデスカ?」
「ええ。ハウスメイトです」
「ナカニオハイリクダサイ」
「へぇ、こういう感じなんだぁ」
「なるほどね〜」
するとまた賛美歌の書かれた用紙が配られた。
「なにこれ〜」
「賛美歌だよ」
「賛美歌?」
「モトロンの」
「ふーん、そーなんだぁ」
歌い終わると、イングリッシュのレッスンが始まった。
「ケイコです。2年ほどハーバーシティにいて、スクールも通ってます。子どもが好きなので将来はこっちで保育士になりたいと思っています。趣味は絵画で油絵とか特に好きで….」
「ケイコサン、アナタハトテモジョウズデス。レッスンヲウケルヒツヨウナイデショウ」
圧倒的なケイコのイングリッシュにワタベは驚いたようだった。
「ワカナです。えっと、そうだなぁ、お酒が好きで、この前ワイナリーでワイン作り経験して楽しかったです」
「ワカナサン、スバラシイネ」
なんだ、二人共ハウスでは見せないような満面の笑みじゃないか!!
セリフのない漫画のヒアリングが終わると、ワタベはプライベートレッスンの案内をした。
「ゴキボウノカタハセンキョウシ二コエヲカケテクダサイ」
「え〜どうしよう。迷っちゃうなぁ」
「ワカナさん、やめとこ。怪しさ満載だよ」
ケイコは実態に気づいたようだった。
「たしかに、プライベートはさらに勧誘があるかもしれないよ」
「ダイジョウブデスヨ、シンジサン」
ワタベはジャパニーズがわかるようだった。
「ちょっと考えときます」
ワカナは我に返った。
「じゃあありがとうございました」
二人の女性はこのあと二度とこの場所に訪れることはなかった。
同居人の入れ替わりや教会をガイドするなど経験を積んだワイは次回新たな決断を図ることに。
最終話をお見逃しなく!




