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コンプリート

 昨日、プロ野球のドラフト会議があった。


 それで、ある高校の教室では現在、その話題で持ちきりになっている。


 地元球団が指名した六人の内、このクラスの生徒と同じ名字みょうじが、なんと五人もいたのだ。


「あと一人で、コンプリートだったのに」


「一位指名が違えばなぁ~」


「よくある名字だとは思うけれど、このクラスには、いないんだよね」


 その名字とは、『鈴木すずき』。


 コンプリートじゃなかったことを、生徒たちは残念がる。


 ところが、そこに急な知らせが飛び込んできた。


「このクラスに今日、転校生が来るって!」


 生徒たちの間で、俄然がぜん高まる期待。


 もしも、その転校生の名字が『鈴木』だったら、コンプリートになる!


 ここまで偶然ぐうぜんが重なったのだ。あり得ない話ではない。


 わくわくしながら待っていると、担任たんにん一緒いっしょに転校生がやって来た。


 女子だ。金髪に青いひとみ・・・・・・。


 それでも、もしかしたらと期待してみたが、肝心かんじんの名字は、『鈴木』ではなかった。生徒たち、残念っ!


 しかし、この直後だ。


 転校生をのぞくクラス全員の心が、一つになる。


「じゃあ、あだ名は『鈴木』で」


次回は「監督」のお話です。

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