29/85
コンプリート
昨日、プロ野球のドラフト会議があった。
それで、ある高校の教室では現在、その話題で持ちきりになっている。
地元球団が指名した六人の内、このクラスの生徒と同じ名字が、なんと五人もいたのだ。
「あと一人で、コンプリートだったのに」
「一位指名が違えばなぁ~」
「よくある名字だとは思うけれど、このクラスには、いないんだよね」
その名字とは、『鈴木』。
コンプリートじゃなかったことを、生徒たちは残念がる。
ところが、そこに急な知らせが飛び込んできた。
「このクラスに今日、転校生が来るって!」
生徒たちの間で、俄然高まる期待。
もしも、その転校生の名字が『鈴木』だったら、コンプリートになる!
ここまで偶然が重なったのだ。あり得ない話ではない。
わくわくしながら待っていると、担任と一緒に転校生がやって来た。
女子だ。金髪に青い瞳・・・・・・。
それでも、もしかしたらと期待してみたが、肝心の名字は、『鈴木』ではなかった。生徒たち、残念っ!
しかし、この直後だ。
転校生を除くクラス全員の心が、一つになる。
「じゃあ、あだ名は『鈴木』で」
次回は「監督」のお話です。




