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 二十年以上も前のことだ。


 野球週刊誌の記者が、次号の特集をどうしようか、真剣に考えていた。


 ここ最近活躍しているプロ野球選手たち、彼らにスポットを当てることは決まっている。


 で、どういう切り口で特集するのか、それについて頭を悩ませていた。


 選手たちの資料をあさりながら、良いアイデアはないか探してみる。


 しばらくして、ある共通点を発見した。


 選手名鑑にっている趣味の項目が、彼ら全員、「ゲーム」になっているのだ。


 この切り口で挑めば、これまでとは違った面白い記事を、書くことができるかもしれない。


 とはいえ、一口にゲームと言っても、アクション、シューティング、シミュレーション、パズルなど、さまざまなジャンルが存在する。


 各選手がどんなゲームを好きなのか、記者はさらに下調べを重ねた。


 その結果、驚きの事実が判明する。


 彼ら全員が、ある大作RPGシリーズの大ファンなのだ。最新作が発売されるたびに、お店の前には長蛇ちょうだの列ができるようなゲーム。


 そこで記者は気づいた。


(そういえば、あのゲームの最新作、発売日がもうすぐだったような・・・・・・)


 確認してみると、ちょうど二週間後だった。


(もしかして、あのゲームを早くやりたいという気持ちが、野球のプレーに好影響を与えているのかも)


 こうした下調べのかいもあって、選手たちへのインタビューは非常にうまくいった。この特集記事に対する、読者の反響も良かった。


 また、他の選手たちからも、別の趣味でも特集を組んで欲しい、そんな声が出ているとか。


 ところが、それから間もなくして、特集した選手たちが一斉に、不調におちいったのだ。


 集中力を欠いたプレーを連発するし、体は重そうだし、試合中にあくびをしている姿が、たびたび目撃されるようになった。


 時期から考えて、あのゲームが関係しているのは間違いないだろう。


 今回の新作、早くも「歴代最高レベルの傑作けっさく」と呼ばれているらしい。時間を忘れて、ついつい夢中になり、気がついたら朝だった、という人々が続出しているそうだ。


 そんな中、なぜか一人の選手だけが、絶好調を維持していた。


 どうして、あの選手だけ? 不思議ふしぎがる野球ファンたち。


 これには、ちゃんとした理由があった。


 発売日に彼も行列に並んだのだが、そのお店の入荷数が少なく、最新作を買うことができなかったのだ。


 そして、次の入荷予定日は一週間後。


「チクショー!」


 この怒りをバットに乗せて、その選手は今日の試合でも、特大ホームランをかっ飛ばしていた。


次回は「検死」のお話です。

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