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神の悪戯  作者: 羽毛 330
第一章 ペン回しをし続けた男
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8話 かにが自殺に至るまでの経緯 上



 そして、かにがルンルを殺してから1ヶ月が過ぎた。


 ルンル死亡により館に漂っていた暗い雰囲気もほとんどなくなっていた。


 ルンルを消し、さく失踪の真相を知るものはかにのみとなった今もう問題は無くなったかと思われたが、また新たな問題が発生した。


 さくは急病のため療養中という言い訳で、周りを抑えきれなくなり始めていたのである。


「さくは急病のため、夜の間に遠くにある高位病院に搬送された。今は危篤の状態のため面会等は誰であっても一切できない。」


 とかには周囲に説明していた。


 そのため、使用人や親戚、特にかにの妻はさくを非常に心配した。


 妻にいたっては心配のあまり、痩せ細り、毎晩泣いている始末だ。


 妻はいつになったら息子は帰ってくるのかとしきりにかにに尋ねたが、さくが永遠に戻って来ないと悟っていたかにには、その言葉に苦笑いすることしかできなかった。


 その上、親戚や妻から、どうしても面会をさせろと言われ続け、その声は次第に大きくなった。


 このままではらちがあかないと思ったかにには、さくが死んだと発表する事に決めた。


 周りからの反響は壮絶なものであろうが、そうすればもう全ての問題は終わるのだ。


 次の日、彼はさくは死亡したと発表した。


「さくは死んだ。感染力の非常に強い病気にかかったそうで、さくの遺体はもう燃やされその灰も捨てられた。また、病院側の事情でその病院名、病名も明かす事はできないそうだ。」


 と、説明した。


 当然反響は悪い意味で猛烈なものであった。


 ある者は狂ったように泣き叫び、またある者はかにに対して、「なぜ許可なく遺体を消失させたのか、病院、病名を明かさないのはおかし過ぎるだろ!」などと猛烈に抗議した。


 特に妻の反応は凄まじく、猛烈に泣き叫んだかと思えば、かにに対して、さくの不審な死について猛抗議した。


 しかし、かには何と抗議されても、「それには答えられない、それはだめだ。」と断るばかりであった。


 かにがさくが死亡したとの虚偽の発表をしてから1ヶ月が過ぎた。


 それは過酷な1ヶ月であった。


 親戚には幾度となく抗議され、使用人からは冷たい目で見られ、妻は殴りかかる勢いで彼に抗議をした。


 そんな厳しい嵐の中、ただただ首を横に振り続けた。


 真実を語る訳にはいかなかった。


 真実を語れば彼らはさくを本気で探すだろう。


 そうすればさくはすぐ見つかってしまう。


 それではさくは自らが選んだ、使命を果たすことを実行できなくなり、国民も全員死んでしまう。


 かににはさくのため、国民のためにも真実を語る事は出来なかったのだ。

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