転校生の場合 2
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入寮する三日前に、勘解由小路の部下だという女性と共に新幹線に乗って、都会にあるとは思えない程広い屋敷で、勘解由小路由羅と再会した。由羅は人払いをして、彼方を歓迎した。
警戒していた彼方だったが、由羅の人柄のせいか、出された菓子がうまいせいか、気が緩み、ついつい楽しんでいた時、由羅は真剣な表情で彼方を見つめた。
「君は、何故自分が、選ばれたのだと思う?」
ヒヤリとした。さっきまでニコニコ笑っていた由羅が、どこか消えて、知らない人が目の前に座っている感覚に落ちいた。
「手っ取り早く言おう。君には超能力がある。信じられないかもしれないが、それは事実だ」
「……」
ドッキリか、ファンタジー小説か何かの話だろうか。
「信じられないのは無理もない。入学前にこの事実を受け入れなさい」
そう言って由羅は先ほど、彼方を連れてきた女性を呼んだ。
「彼女は月之山学院、君がこれから通う学校の卒業生、つまり、君の先輩だ」
笹木を呼ばれた、由羅の部下は何もないところから、水を出して宙に浮かせた。
「月之山学院には彼女、君達のような能力者がいる。君達の力は、国の役に立つんだ。農業を生業としている君になら分かるだろう?水、風をコントロールできれば、作物の良し悪しは自由自在。…怒らないでくれ。そんなことはしない。大自然を操る事はできない。現段階ではね。ただ、農業や建設、運搬のサポートになるのは確かだ。能力次第では、国の中枢で働く者もいる」
「いやいやいや、ちょっと待ってくださいよ!何を言っているのか分かりません!」
「いきなり言われて受け入れられないのは分かる。まずこのスクリーンを見てほしい」
そう言って、由羅が見せたのは、超能力で人々の生活を助けている能力者の働く姿だった。震災後の人員救助や瓦礫撤廃、土砂崩れなどで、異能を使用して、普及、建築のサポートをしている人々。医者として、精神的に弱っている人に能力を使用して、社会復帰を手助けしている人。
「ビデオにはないが、水を操る能力者で農地を廻っている水のサポートをしてる人もいる。彼らはみんな月之山学院の卒業生だ。そこで幼い頃から自分の能力について学び、使い方を探っているんだ。頭が混乱しているだろう。ゆっくりでいい。受け入れなさい。笹木、彼方を部屋に。屋敷の案内は彼方が落ち着いてからしなさい」
「はい」
笹木は彼方に、浴場、ダイニングルーム、手洗い場を教え、部屋に連れて行った。
その間、彼方はぼーっとしており、先程聞いた、見た事を受け入れられずにいた。本能のまま生きていた彼方は、キャパオーバーになりながらも、眠気に勝てずにふかふかのベットで爆睡した。
翌朝、彼方は、笹木が驚くほど、あっさりと能力の事を受け入れた。ただ自分に能力がある事に対しては、否定的だった。
「わたしは生まれてからこのかた、水を操った事も、自分より重い物を持てた事がありません。私にできて、他人にできない事があると感じた事はありません」
「自覚がないのは無理もありません。碧さんは、心理テストをお受けになりましたね?それは、能力者にしか見えない物なのです。能力のない人が同じ紙を見ても、ただの社会科も問題にしか見えません。詳しい事は専門家に聞かないと分かりませんが、能力者は無能者にはない物質を体に宿しているそうです。それと反応する液体を使って文字を書いています」
「どういうことですか?」
「簡単に言えば、あなたから、能力者にしかない物質が発覚したのです。つまり、あなたは能力者だということです」
「でも、わ」
「些細な能力も存在します。例えば、息を10分以上止めれるとか、瞳孔を自由に変化させれるとか。なので、今まで気づかなかった可能性が多いのです」
……本当にしょぼいと彼方は心から思った。
それから、笹木や由羅は彼方に能力者について何かいう事はなく、彼方の今までの生活について詳しく知りたがった。
「せっかく庶民の日時を知っている人がいるのに、今聞かずにいつ聞くんだ?能力者や、能力については全て学校で知りなさい。そのための月之山学院なのだから」
という事らしい。
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