56.新領地突貫視察、の巻
道路建設の手配を進める中、とりあえず新領地の視察を予定通りユウリ・アレン・ザイード・イグナーツの4人で行うことにした。
スピードを重視して馬で移動することにした。
「とりあえず必要な保存食など持ち運ぶにも限界がありますから、1週間に一度は補充に帰ってこないといけませんね」
「ああ、飯が無いと満足に動けなくなるからな・・・現地調達でもいいがあんまりやりたくねえな」
「ザイード殿の言う通りだな。こんな時私が空間魔法を使えればいいんだが・・・」
「えっと・・・空間魔法ってなに?」
「博識なユウリ様にしては珍しいですね。まあ確かに使い手自体が希少ですから知らなくても当然ですかな。空間魔法とは文字通り空間を操る魔法で、術者の能力次第ですが大量の物資を術者が作り出した魔法空間に収納することが出来ます」
「・・・たぶん、俺できるから食料大量に持って行って一度の視察で済まそう。帰ってくるのは時間の無駄だからさ・・・」
「!!!空間魔法つかえるんですか?」
ユウリのすきる『才無き万能は』、存在するあらゆる技術を75点の出来栄えで行うことが出来る。
ただし、伸びしろは無く、どんなに努力しても上達はしないというデメリットはある。
ユウリが知らない技術については、そもそも行使することが出来ないが知ってしまえば話は違ってくる。
「えーと・・・この机を収納してみるよ」
ユウリが言うと、机が忽然と消えた。
「じゃあ、出すよ」
そういうと机が元の位置に現れた。
「こんな感じかな。収納できる量は、今の感じだと一般的な倉3つ分くらいかな~?」
「・・・・ユウリ様は、賢者の末裔ですか?空間魔法までいとも簡単に・・・」
「イグナーツ殿、ユウリ様に関しては言っても始まりません。ラッキーぐらいに思っときましょう」
「アレン、それはあんまりな扱いじゃないか」
「これくらいじゃないと、こちらの精神衛生上よくないんですよ。はらっ、イグナーツ殿の顔色を見て下さいよ」
「まあ、いいじゃねえか。食料の問題が旦那のおかげで解決できたんだから、食糧用意してとっとと出発しようぜ」
こうして、多少のいざこざはあったものの無事4人は視察へと出発した。
「まずは国境地帯まで行こう。その後北と南を見て回り、帰還するよ。とりあえずこの真っ白な地図をある程度使えるものにしないとね」
「地形・水源・資源、モンスター数、把握しないといけないものは無数にありますな」
「地図の作製は俺がやるから、アレンとザイードはモンスターの出没具合の当たりを付けてくれ。ザイードは魔力感知で鉱物や水源の当たりを頼むね」
役割分担をし、馬を飛ばしながらの視察が始まった。
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1ヶ月後、4人は無事タイラー領へと帰還した。
「ユウリ様、無事で何よりです……随分、日に焼けましたね」
「ただいま、サイラス。いやー大変だったよ」
ユウリは、笑いながら空間魔法で収納していた大量のメモと書き込まれた地図を出した。
「でも収穫は大きかったよ。新領地のおおまかな地図ができたよ」
執務室の机に、広げられたの地図には、地形・水源・植生・資源の埋蔵の可能性が記されていた。
「順番に説明するよ。まず、東――国境地帯、ここには我が国が作った立派な城壁がある。今のところ隣国との関係も良好だし、防衛上の問題はないと言える」
「なるほど・・・東側は開発の優先度としては後回しでよさそうですね」
「そうだな、次に中央部分だが、かなり広い平地がある。開墾さえすれば農地としても使えそうなとちだったよ」
「そうだったな~。北が水源の川もあったし、なかなかいい感じだったな」
「そんないい土地なぜいままで開発しなかったんでしょうね?」
「アレン、場所が悪いんだと思うよ。そもそも帝国直轄領で、帝都は今でも発展をつづけているだろう?わざわざ国境に近い未開の地を開拓する必要が無かったんだと思うよ」
「とにかく、拠点を作るには最適な土地ということですね?場所もいい・・・多少南寄りだけどほぼタイラー領の中央に位置しますからね」
「だろー?サイラスから拠点候補地を見つけてくるように宿題出されてたから、見つけた時はほっとしたよ」
「さすがユウリ様、こんなに早く候補地を見つけるとはさすがです。それで北と南はどうでしたか?」
「たまたまだよ・・・それと北側は、大きな湖と深い森林が広がっていた。水資源としては、魅力的だが――」
「モンスターが相当巣くってたな~。森の奥には少数では入っていけなかったもんな・・・」
「ええ、何体か倒したものの巣くっているモンスターの種類といい、数といい一筋縄ではいかないでしょうね・・・ただ、中央からは離れているし、差し当たり森に入らなければ大丈夫でしょう」
「アレンとザイード殿がそういわれるのなら、北の開発は最後に回すべきでしょうね」
「そうだな~…北は拠点を作ってしっかりしと力をつけてから手を付けないとやばいと思うよ。・・・次に南は大部分が山岳地帯だったね。イグナーツが魔力探知で調べてくれたんだけど何らかの魔力を含有した鉱物が眠っていそうだね。俺も地質を見る限り鉱山資源が眠ってる可能性はかなり高いと思うよ。ただ、こちらもそれなりにモンスターが巣くっていたな」
「ということは、南の開発も後回しでとりあえず中央部に手を付けるべきでしょうね」
「最後に一応西側だけど・・・元々タイラー領のすぐ隣だからある程度把握できてたし、実際に見て回った限りモンスターも大したことなかったよ」
「整理すると――東は城壁があるおかげで今のとこ、問題なし。中央は平地が広がってて農地にも拠点にも向いてる。北と南は、資源は魅力的だけどモンスターが巣くっててすぐには手が出せない・・・ということですね?」
「さすが、サイラス。無駄なく総括したな~」
アレンが、感心したように言った。
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「まずはこの中央の平野に拠点を作りたいと思うんだ」
「地理的にも将来的なタイラー領の中心地になるでしょうからね。それを見据えた開発すべきでしょう」
「拠点を作るにしても、人や資材を運び込む道がなければ話にならない。まずはタイラー領から中央の拠点建設予定地まで道を作ることから始めよう」
ユウリは地図の上に指で、西のタイラー領の境界から中央の平地まで一直線に線を引いた。
「東の国境地帯までの道はどうされますか?」
「そっちは拠点がある程度出来てからでいいかな~」
「そうですね、とにかく西から中央までの道の整備を最優先としましょう。あと拠点の設計をしないといけませんね・・・ユウリ様お願いします」
「素案を考えるから。またみんなで話し合おうか・・・とりあえずは道だな」
最初に作る道のルートも決まり、新領地の本格的な開発が始まろうとしていた。
拙い文章、読んでいただきありがとうございます。
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