55.広すぎる新領地、の巻
思い返してみれば伯爵家の当主になってからというもの自領の開発を行っていただけなのだが気が付くと侯爵になっていた。
転生者であるユウリは前世の力と何をやっても75点で出来るスキルのおかげで、自領の治水、治安、ミスリル精製などを行えた。
治水の実績と治安組織というかタイラー領での評価制度に目を付けた、帝都の宮廷書記官ドレイク男爵の紹介で、帝都の治安組織へ評価制度のプレゼンと帝都の慢性的な水不足を解決した。
その功績であれよ、あれよという間に帝都で皇帝陛下との謁見が行われ、陛下じきじきの、お言葉とともに――侯爵への陞爵と元の領地の4倍にも及ぶ広大な新領地を下賜された。
貧乏だった領地を裕福にした手腕を買われたのか、アイツだったら何とかするだろうと思われたか、隣国と国境を接する未開の領地を渡された。
「とりあえず、詳細な地図を作らないと何もできないな・・・」
タイラー侯爵邸の執務室でユウリ・アレン・サイラスの3人は、帝国から下賜された新領地のほとんど情報のない地図を広げていた。
「これが新しい領地ですか・・・広いですね~」
サイラスが、元のタイラー領の地図と重ね合わせて広さを確かめていく。
「……タイラー領のざっと約4倍の広さですね」
「さて・・・なにから手を付けるかだが、とにかく実地調査をしないとな~」
とりあえずの方針を決める必要が急務であった。
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「まず把握しておくべきは、隣国であるリヴィエール王国との関係だね。いずれは我領で国境の警備も担う必要があるんだろうから・・・サイラス知ってる?」
「リヴィエール王国とは過去には大きな争いもあったようですが……現在は、おおむね良好な関係が保たれていいますね。現在では普通に貿易も行っていますが規模はそれほど大きくないようです。隣接しているの未開の地ではそうなるでしょうね・・・」
「それなら、とりあえずはすぐに軍備増強しないといけないわけではないな・・・」
「ただ国境警備については、ある程度の規模は必要ですよ。現状、国境の警備は帝国の直轄軍が担っていますが、5年後にはタイラー家が、その役目を引き継がないとならないのですから」
「5年後か・・・アレン、そのあたりはある程度任せることになると思うから、頭に置いておいてね~」
「了解です、今の衛兵部隊の増員と教育については手配してます。5年後ですので計画をしっかり組んでからですね」
「あと、新領地には獣道みたいな細い道しかないから、国境地帯まで行くのも一苦労だよね~」
地図を見る限り国境地帯からタイラー領までは、獣道のような頼りない道が一本あるだけだった。
「これじゃ、話にならないな・・・人と物資を安全かつスピーディに動かす必要がある」
「ではとりあえずの最優先は、国境地帯からタイラー領まで道の作成でよろしいでしょうか?」
「そうだね、それに付随してタイラー領にもメインの道を作るよ」
「……確かに、現状のタイラー領の道はもともとあった道ですのであまり広くないですからね。今はビール等を他の領に販売していますし、商売上も道は整備したほうがいいですね」
「人手が揃うタイミングだから一緒にやっちゃった方が費用も安く済むからね。タイラー領を東西に貫くメインの道もしっかり整備し直すとしよう」
「確かにユウリ様の言う通り、ここで整備しておけば何かと便利ですね」
「国境地帯からの道とタイラー領内の幹線道路、両方を進めていこうと思うけど、サイラス手配と経費の資産頼めるかな?」
「承知いたしました。すぐに取り掛かります」
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「さて、道をつくるにしてもまずは新しい領地の詳細な地図をつくらないとな・・・・とりあえず少人数で視察にでよう。俺、アレン・ザイード・イグナーツの4人で行こう」
「あまりに少人数では?」
「地図の作成は俺が出来るから、スピードと安全性を重視すると少数精鋭の方がいい。資源の目利きもその時にある程度できるから開発の順位付けも出来るしね」
「ユウリ様にしか出来ない芸当ですね。視察しながら、資源の目利きをして地図を作る・・・普通はそれぞれ専門家が必要ですよ」
「アレン、出来るんだからいいじゃないか・・・サイラスには道路事業の手配と不在の間のタイラー領の運営を頼むね」
「やれやれ、とんでもない量の仕事ですね・・・まあ、やりますけど」
「サイラスなら、安心して任せられるよ。なるべく早く帰ってくるからよろしくね」
「それとユウリ様、新しい領地の開発が進んでいけばタイラー領中心地を変更する必要があるかと・・・」
「たしかに、今の領主館だと西に偏りすぎになるか・・・」
「ええ、将来的には……新領地の中どこかに本拠を移すことも、視野に入れておくべきかと思います。もちろんすぐにという話ではありませんが、今回の視察の際にその目線でも見てきていただければ、後々楽が出来ます」
「さすがサイラス・・・効率的で最高だね!」
「ユウリ様の目で、候補地を選定してもらえれば経費も浮きますからね・・・よろしくお願いします」
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「それと、俺は今回侯爵になったんだけど、そのお祝いに主要メンバーに一時金を出したいんだけど・・・どうかな?皆の協力があってこそ貰えた褒賞だからね」
「ユウリ様・・・お心遣いありがとうございます。一時金を出す人選と金額については私が素案を作りますので、最終確認をお願いします」
「サイラスなら安心して任せられるよ・・・あと領民にもなにかしたいんだけどどうかな?」
「・・・では、1年間減税するのはどうでしょう?我領の財政はいままでの備蓄もありますし、現状50%程度の減税をしても十分に大丈夫です。直轄の事業も順調で右肩上がりですし、皇帝陛下より帝国に納める税を5年間減税していただいているので差引十分黒字ですので」
「いいね、それでいこう。みんなへの一時金とと、領民への1年間の減税、両方手配を頼むよ・・・あとサイラスとアレンも必ず多めに金額を設定してくれよ。特にサイラスは面倒なことをたくさん頼むからな~」
「・・・・分かりました。たんまりと頂きます」
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方針が固まったところで、道路計画の具体化に取り掛かることにした。
まずは設計と経路はユウリがするとして、施工についてはダム建設のさいにお世話になった帝都のホーグ技師といつも建設関連を任せているドーソン親方に相談することにした。
ホーグ技師は面白そうな建設だとすぐに帝都から来てくれた。
現在ダムの建設が終わり、長期間の休暇中だったようだ。
「これはまた、ダムの工事とは違った意味で大規模な工事ですな」
「ドーソン殿、これはダム工事で培った、土魔法と職人の連携で行けそうですぞ・・・これほどの長い道の作成、興味深いですな。・・・それにタイラー侯爵の設計となればまた目新しいことがあるでしょうしな!」
「そういっていただけると・・・頑張りますよ。今回はスピードが必要になりますのでお2人の力をお借りできると助かりま」
「侯爵、ダムの工事ほどではありませんが、魔術師をある程度揃える必要がありますので費用がそれなりにかかりますが、よろしいか?」
「そのあたりは大丈夫です。サイラス中書令と相談してもらえると助かります」
こうして、ダム工事の立役者2人の力を借り道路工事を進めることになった。
拙い文章、読んでいただきありがとうございます。
多少なりとも楽しんでいただけたのなら幸いです。
とりあえず2章スタートです。




