52.ドレイク男爵の陞爵と褒賞の知らせ、の巻
ある日、帝都から一通の書状がタイラー領に届いた。
差出人はジョセフ・フォン・ハイド男爵で、内容はダムの運用状況に関わる報告書だった。
「帝都は乾季に入りましたが、計画的なダムからの放水により例年のような水不足は生じておりません……か」
報告書には、ダムごとの貯水量の推移、放水量などに加え帝都の水事情が詳細に記されていた。
「現状は必要な水量が少ないので規模の小さい一基目のダムを放水しているのか……なるほど」
ユウリは少し考えてから返信を書くことにした。
『ダム一基のみの放水をするのではなく三基ローテーションで放水をして下さい。それぞれバランスよく放水したほうが、設備の消耗が少なくて済むはずです。また長期間使わず放置していると不具合の原因にもなりますので運用の方法をご検討下さい。』
書状をしたため終えると、ジョセフ男爵宛に送った。
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ダムの報告書を受け取ってから数日後、今度はドレイク男爵から書状が届いた。
書状には、かねてからの功績により、ドレイク男爵が子爵へと陞爵することが、記されていた。
「ドレイク殿の能力と功績から考えると遅いくらいだよな~」
書状の最後にはユウリの褒賞に関する一文がしたためられていた。
『――皇帝陛下より、タイラー伯爵へ褒賞を賜ることが正式に決まりました。内容については陛下の意向により下賜の際に陛下より発表があります』
(うーん・・・心臓によくないサプライズだな)
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執務室にアレンとサイラスを読んで、皇帝陛下から褒賞が下賜される旨伝えた。
「当日まで内容は教えてもらえないらしいんだよ・・・なんだろうな?」
「そうですね・・・通常なら金銭や勲章などが考えられますが、今回は帝都の水問題を解決された訳ですから・・・領地を新たに賜る可能性もあるかと思います」
サイラスが、冷静な分析をいつもの気だるげな調子で答えた。
「俺は、勲章だと思います。皇帝陛下から直々に勲章を賜るとなると相当な名誉ですからね」
アレンは勲章の授与だと考えているようだった。
「うーん・・・陞爵という線もなくはないですが、侯爵は帝国内でも相当な有力貴族しか賜っておりませんので、当家の規模から考えると可能性は低い気がします」
「まあ、考えても仕方ないか・・・とりあえず何を言われても醜態をさらさない様にしないとな~」
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それから程なくして、帝都の宮廷から書状が届いた。
書状には皇帝陛下より褒賞を下賜する旨が丁重に記されていだが、具体的な内容については触れられていなかった。
「……やっぱり、何も書いてないな」
「まあ、そういうものなんでしょう。ユウリ様心の準備だけはしておいてください」
「ともあれ正式な招請です。出立の調整をいたしませんと・・・」
「そうだな・・・今回はアレンとサイラスにも同行してもらおうかな」
「俺たちもですか?」
「俺一人で成したことじゃないからね……2人には、俺を支えてくれている人たちの代表として見届けてほしいんだ」
「承知いたしました。しっかりと見届けさせていただきます」
こうしてユウリ・アレン・サイラスの3人は、帝都へと向かうことになった。
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