51.からあげパーティー、の巻
無事に帰り着いたユウリをアレンとサイラスが出迎えた。
「ユウリ様、留守中の報告は資料にまとめて提出しますね。大雑把に言うと順調です」
「分かった・・・資料はまた読むからよろしく」
領の運営は差し当たり問題が無いと分かりユウリはほっとした。
「そうそう、直営食堂に新しいメニューを加えたいんだ。帝都に言っている間にザイードと約束したんだよ」
「ザイード殿と・・・・どんなメニューですか?」
アレンが、興味深そうに尋ねた。
「ザイードがソーセージをいたく気に入っていてね。他にもビールにあう食べ物あるよっていったら、ぜひ食べたいっていうから作ってみようかと思ってね。鶏肉を使う料理で“からあげ”っていうんだ」
「新メニューは大歓迎ですよ・・・ハンバーグを越えるとは思えませんが」
「まあ明日試作するから食べてみてよ。ランチタイムが終わったころにガレス料理長とザイードを呼んでおいてね~」
こうして“からあげ”を試作することになった。
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ランチタイムが終わり、直営食堂を一時的に閉めて試作を行うことになった。
「いや~、こんなに早く“からあげ”とやらが食べれるとはユウリの旦那も義理堅いね~」
「ここのところメニュー開発にも行き詰っていたので助かりますよ」
料理長もメニューの開発には乗り気で、喜んで厨房を貸してくれた。
「じゃあ、さっそく作ってみるよ・・・まずは下ごしらえから」
まずは鶏のもも肉を適度な大きさに切っていく。
「それで、これに下味をつけて・・・」
すりおろしたニンニク・塩・コショウを切った肉に丁寧にもみ込んでいく。
「下味をつけたら冷蔵庫で少し寝かせる・・・この時間が大事なんだよ~」
ユウリは、魔導冷蔵庫に下味をつけた肉をしまいながら言った。
30分後に肉を取り出し、状態を確認しながら衣をつけていく。
「俺は片栗粉の方が好みなんだけど、小麦粉でも美味いし・・・」
ブツブツ言いながら手際よく肉に衣をつけていった。
「さて油はいい感じになってるかな~」
ユウリは、あらかじめ鉄鍋で熱していた油に衣を落として温度を確かめた。
「・・・いい感じだな」
言いながら肉をそっと油の中へ滑り込ませる。
じゅうっ、という小気味よい音と共に香ばしい匂いが、食堂いっぱいに広がった。
ザイードとアレンは待ちきれない様子でたたずんでいる。
「一度引き上げて、少し肉を休ませてから……もう一度揚げる。こうすると衣はカリッと、肉はは揚がりすぎずしっとり仕上がるんだ~」
次々と二度揚げしたからあげの余計な油を落とすため、油落としを置いたパットに並べていく。
「よ~し、できた!!みんなで食べよう」
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「待ったぜ~!!いただきます!!」
ザイードが一番に食べ始める。
「・・・うま~い!!こいつはたまらねえ・・・ああ~、確かにビール飲みたくなるな!」
「そういうと思って、用意しておいたよ」
「旦那~!!一生ついて行くぜ~」
「ザイード、大げさだな。他のみんなも食べてくれ」
「――っ! 美味い!!熱い!!でも美味い」
「アレン、慌てて食べると口の中をやけどするぞ」
「うーん、確かにおいしい。でも、ハンバーグの方が、いやビールと併せると甲乙つけがたい」
「サイラスも気に入ってくれたみたいだな」
「ええ・・・ユウリ様が料理をするたびに俺のタイラー領への忠誠心が上がっていく気がします」
「おいおい、サイラスまで・・・そんなにうまいか?」
「油で揚げる調理法は画期的ですが・・・・味付けはシンプルなのにビックリするぐらい美味い!」
料理長のガレスは衝撃を受けているようだった。
「ガレス、これはあえてシンプルな味付けで素材の味を引き出してるんだよ。あと、揚げたてで熱々なのもご馳走のうちだな」
「素材の本来の味を引き出すか・・・すばらしい考えですね。もしこれにソースを作るとすれば同じ方向で考えないと・・・」
「それなら・・・」
ユウリは、そう言うと卵黄・油・ビネガーを手早く混ぜ始めた。
「これを、ちょっとつけて食べてくれ。絶対会うはずだから」
一同は、恐る恐る唐揚げにユウリが作ったソースをつけて食べてみた。
「「「――っ!!」」」
「な、なんですか、これ……!うますぎます」
「これはね~、マヨネーズっていう調味料だね・・・作り方は本で読んだんだよ」
「坊ちゃ……いえ、ユウリ様! このマヨネーズの作り方教えていただけませんか!」
「じゃあ、一緒に作ってみようか?・・・そうだ!たまには主要メンバー集めて、宴会でもしないか?」
「おっ、旦那いいこと言うね~」
「じゃあ、明日の夕方からあげパーティーを領主館でやろうか~、料理長抜けられる?」
「ええ、食堂は任せて行きますよ。なんたって新メニュー開発の大義名分がありますからな」
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翌日の夜、いつもは閑散としている領主館の食堂に、タイラー領の各部門主要メンバーが集まった。
「ユウリ様の新メニュー、楽しみですね~」
「えっ、伯爵が食堂の新メニューを考えているんですか?」
「リン殿、それぐらいで驚いていては持ちませんよ・・・」
皆が談笑しているところに、唐揚げとソーセージやハンバーグ、サラダなどが運ばれてきた。
「みんな、お待たせ~!新メニュー“からあげ”の他にも色々用意したから楽しんでくれ」
「からあげは、味がついているのでまずはそのまま食べてみてください。そののち、ソースを2種類用意してますので、つけて食べて変化を楽しんでください」
料理長のガレスが皆に食べ方を説明した。
「昨日のマヨネーズと、このオレンジ色のソースはまた新しい―スですね?」
「サイラス殿、良く気付いてくれました!これは昨日作り方を教えていただいたマヨネーズをベースにした新たなソースなんですよ!!」
「おー、料理長!!こんな短期間で新たなソースを作るなんてやるじゃねえか」
「実はユウリ様にアドバイスをいただきまして・・・」
「いやー、俺のアドバイスなんて些細なものだよ。さっき食べてみたけど想像よりずっとおいしかったよ、料理長!」
「ユウリ様!!ありがとうございます。みなさん新作のソースはオーロラソースと言いますので、試してみてください」
「じゃあ、いつもタイラー領を支えてくれてありがとう・・・乾杯!!」
拙い文章、読んでいただきありがとうございます。
多少なりとも楽しんでいただけたのなら幸いです。
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