51.3基目ダム起動、の巻
1ヶ月後、ついに3基目のダムが完成した。
3基目のダムは、前2基とは比較にならない大きさで谷を丸ごと堰き止めるようにしてそびえ立っている。
緩やかな傾斜を描く石組みの壁面はタイラー領特産の「ミスチール」で補強されており、陽光を受けて鈍く輝いている。
堰堤の中腹には上段・中段・下段と三段に分けられた水門が、整然と並ぶ。
そして、その脇には有事の際に開かれる水門と迂回排水路が備えられている。
かつて谷だった場所が、今や帝都のライフラインを支える巨大な水がめへと姿を変えた。
「うーん・・・壮観ですな」
ドーソン親方とホーグ技師は、感慨深げに完成したダムを見ている。
「これなら問題なさそうですね。ジョセフさん管理よろしくお願いします」
ユウリは最終安全確認を自ら行った後、ジョセフ男爵に後を頼んだ。
「はいっ!!心して管理いたします!」
ジョセフ男爵は、最敬礼で答えた。
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「タイラー伯爵、この度は長期の工事指揮、まことにありがとうございました。近年帝都を悩ませていた水資源問題がこんなに短期間に解決するなんて……感謝の言葉もございません」
「お役に立てたなら何よりです。まあ工期短縮についてはドーソン親方とホーグ技師のおかげですけどね~。工事に関わった方たち皆のがんばりがあってこそ無事完成できたので、給金弾んであげてくださいね」
「もちろんですとも。皇帝陛下より本来3年かかる工事を1年で終えたのだから給金は3倍払うように承っております。おそらくタイラー伯爵にもなにかしらの褒賞があると思います」
「さすが皇帝陛下・・・すばらしい判断ですね。私への褒賞は特に必要ないですよ。私は陛下の臣下ですので、こういう時に役に立たないと何のための爵位をいただいているの分からないでしょう?」
「ここだけの話、何もされない方も多いですから・・・とにかく褒賞の沙汰があったら受け取っていただかないと困ります。私も調整役をしたおかげで褒賞をいただけそうですので・・・タイラー伯爵が辞退されたら私ももらいにくくなってしまいます」
ドレイク男爵にしては珍しく、軽口を叩いた。
「おー、ドレイク殿こそ色んな調整大変でしたよね~。褒賞はもらって当然の働きですよ」
「恐縮です。今後ともお力添えよろしくお願いいたします」
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3基のダムの稼働を確認したところで、ユウリはタイラー領へ帰ることにした。
「いやー、当初の予想の三分の一で終わってよかったよ。あんまり留守にすると、みんなに負担をかけてしまうからな~。ドーソン親方とホーグ技師さまさまだな!」
「坊主……いや、ユウリの旦那の設計図があってこそだろ~?確かに旦那の無茶な設計を短期間で形に出来たのは奇跡だと思うけどよ。旦那はもっと自分を評価するべきだな・・・」
「ザイード、ありがとう・・・お礼にタイラー領に帰ったら、約束の唐揚げ作るからな!」
「おう、そうだった!ビールに合うんだろうな?」
「ソーセージも上手いけど。俺は唐揚げの方が好みかな~・・・まあ、楽しみにしててよ」
こうして帝都の水資源に関わる大規模工事は、無事終わった。
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