46.エーテライト、の巻
「実は、耳寄りな話が、ありましてな……!私は東方の国から来た錬金術師で名をリン・ファウと申します」
「錬金術師ですか・・・俺に何の用です?」
「私が、研究しておるのは伝説の金属を精製するための触媒なんですよ。既存の鉱物を元にオリハルコン・ヒヒイロカネ・アダマンタイトを精製できる触媒です」
リンは、懐から小さな水晶のようなものを取り出した。
「これはその触媒の試作品です。『エーテライト』と名付けましたが、未完成でしたな……これを完成させることが出来れば、失われた伝説の金属を復活させることができるはずです」
(前世でマンガなんかで見た賢者の石みたいな感じかな・・・話としては面白いな)
目の前の男の錬金術師としての才覚は自分より上ではなさそうだが、研究者としての才能は自分より上だと分かった。
「リンさん、その試作品の出来を見る限りあなたの錬金術師としての才能は正直高くなさそうです・・・・が、研究者としてのあなたは面白い!」
「お、おお……!」
「なので、その件に関して詳しく話を聞きたいと思います。俺は今手の離せない仕事をしていますので、その仕事が終わってからでよろしければ、俺の地元を訪ねてきてください」
ユウリは、懐から紙を取り出し書状をしたためて、リンに渡した。
「これは、うちの領地――タイラー領の領主館か直轄工房を訪ねてきてください」
「ほ、本当ですか……!ありがとうございます……!!」
リンの話には惹かれるものがあるものの、今のユウリには優先して果たさなければならない仕事があるのだった。
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それから一月半が経過し1か所目のダムが、完成した。
「見事なものですな・・・しかしこれほどの規模の建設がこんなに早くできるとはビックリですよ」
完成したダムを見上げながらドーソンが、満足げに頷いた。
「ジョセフ殿、ダムの管理よろしくお願いします。とりあえず注意事項の確認をしましょう」
ユウリは、そういいジョセフを伴いダムの上部にある操作用の水門が設けられた場所へと案内した。
「平時は、下段の水門だけを開閉して水量を調整します。乾季にはここから必要な分だけ水を流します。問題は雨季の大雨などで貯水量が、危険な水準まで上がった時です」
ユウリは、水門の脇に設けられた水位計を指し示した。
「この目盛りが赤い線を超えたら緊急放水の合図です。下段と中段の水門を同時に開けてください。それでも水位が下がらない場合は、最上段の非常用水門を開けます」
ダムの脇に掘られたもう一本の水路を指し示した。
それは、水の供給するための通常の放流路とは別方向に水を逃がすための排水路だった。
「この非常用水門は、迂回水路を通して余剰の水を逃がす設計になっています。下流にそのまま大量の水を流し込んでしまうと水害の原因になってしまいます。別の排水のためだけの水路を用意しているんですよ」
「これなら水路沿いの住民に避難の呼びかけすら、必要ないですな」
「一応の呼びかけは必要でしょうが……基本的には水害が起きにくい設計になっています」
ジョセフは、ユウリの説明を聞きながら感心したように何度も頷いた。
「3箇所のダムが完成した暁には最終的には、すべと管理をしていただくことになります。まずは、1か所目で管理の手順や緊急時の対応を覚えてください。それと人材の育成も併せてお願いします」
「承知いたしました。まず私がしっかりと理解し、そのあと後進の育成に取り掛かります」
こうして1か所目のダムの運用が始まった。
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1か所目のダムの建設が終わり、2か所目の着工が始まった。
着工に問題ないと判断したユウリは一度、自領に戻ることにした。
「ザイード、一度タイラー領に戻ろうと思うんだ。建設も順調だし、留守中の領の様子も気になるしね」
「そうだな~……そろそろタイラーのビールが恋しくなってきたところだ」
こうして一基目のダムの建設が無事終わり、ユウリは一度タイラー領に戻ることにした。
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