30.武道大会出場者の情報、の巻
「出場者の情報が、ある程度集まりましたよ」
アレンが、分厚い資料の束を執務室の机に置いた。
「いやー、今回の大会参加はそうそうたるメンバーですね」
「とりあえず、その中でも上の方の実力者を教えてくれるかな?」
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「まず1人目は南方の砂漠国家ラシャール出身の剣闘士、ザイード・アル=ファーリスですね」
アレンは、言いなが似顔絵を置いた。
褐色の肌に鋭い眼光を持つ30前後に見える男の絵だった。
「ラシャ―ルでは闘技場の英雄として、知らぬ者がいないほどの有名人です。帝国でも傭兵として戦に参加していますし有名人ですね。素手の格闘から、ありとあらゆる武器に精通したバトルマスターですね。剣・槍・戦斧など何でも一流ですが、特に曲刀が得意なようです。経験に裏打ちされた実力者で、悔しいですが今の俺ではかなわない相手ですね」
「アレンを上回る肉弾戦のスペシャリストってわけか・・・」
「2人目は、爆炎の魔術師イグナーツ・ブランドです」
イグナーツは20代に見える濃い茶色の長髪を束ねた、少し気難しそうな青年だった。
「宮廷魔導院出身の魔導士ですね。名前の通り火魔法を得意とする魔術師です。宮廷魔導院出身にしては珍しく戦場を渡り歩いてきた実戦的な魔術師です・・・経験豊富な手ごわい相手ですよ」
「実戦的な魔法使いか・・・アレンは戦場で魔法使いとやり合ったことあるかい?」
「ありますよ・・・基本的には接近してしまえば戦士に分があります。しかし一流の魔法使いは詠唱を省略したりしますから、彼ほどのレベルになるとそう簡単な話ではないでしょうね・・・」
「詠唱省略か・・・・たしかに厄介だな」
「3人目帝都の弓騎士、セシル・ウィンダムです。帝国近衛の弓兵隊出身で、彼の弓は百発百中と言われてます。物腰は柔らかい好青年ですが、外見で甘く見ると痛い目を見ますよ」
セシルの似顔絵は大変な美男子に見える。
「弓か・・・うーん、間合いを詰めれば勝機があるかな~?」
「近衛出身だとおそらく剣もそれなりの腕前のはずです。無策に近づくのは禁物です」
「そうだよな~・・・で次は?」
「4人目は今回の優勝候補筆頭の魔法剣士、ヴォルフガング・シュタインです」
ヴォルフガングの絵姿も大変美しく描かれているが、どこか中性的なセシルとは違い、理想の男性像といった感じに描かれている。
「彼はゲルハルト公爵の筆頭騎士でもあります。彼の雷の魔法剣は一個小隊を打ち倒すと言われているそうです」
「公爵家の筆頭騎士……本来大会のホストが身内から優勝者を出すのは好ましくないでしょうから、やはり何か思惑があると考えて間違いないと推察できますね」
サイラスが、資料に目を通しながら言った。
「まあ、出来レースと言われても面白くないだろうし、普通はそうだよね~・・・」
ユウリは4人の似顔絵を見比べていった。
(正面からやりあって勝てる相手じゃないな・・・さて、どうしたものか)
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「それと、今回の優勝者への報酬なんですが・・・優勝者には、金貨500枚。加えて、ゲルハルト公爵より1つ望みを叶えていただけるそうですよ」
「へ~、なんでも望みを叶えてくれるのかな?」
「帝国におけるゲルハルト公爵の権力を考慮すると大抵のことは、かなえてくれるみたいですよ・・・豪儀な褒賞ですね」
「確かにうまく使えば、我領でも色々とやりやすくなるよね・・・優勝できればだけど」
「ユウリ様、我領のために頑張ってください」
「サイラス・・・まあ、最善を尽くすよ。有力な参加者も分かったし、対策を考えるかな」
「うーん・・・正直にいえば今のユウリ様の剣の腕前では勝負になりませんよ」
「アレンは正直だな・・剣だけでなく色んな切り口で考えないと話にならないだろうね。俺の強みは一応何でもできることだから、そのあたりを生かす方法を考えるよ」
「どういった方法を取るのですか?それに必要なものがありますか?」
「いい質問だ、サイラス。とりあえず同じフィールドで戦えば俺の勝ち目はゼロだ。だから相手に合わせてた戦い方を変えていく。それには相手の情報が必要だ。戦い方や得意な技など何でもいいんで集めてくれ」
ユウリには指示をだしながら、勝ち筋の困難さに思いをはせるのだった・・・
拙い文章、読んでいただきありがとうございます。
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