番外1.牢番は地獄への道筋を自らの足で歩いて行く(ざまぁ回)
どちらかというと、地獄の方がまだマシだったりする?
気が付けば、俺は屋敷に戻っていた。
バタバタと屋敷中が戦争前かってぐらいの喧噪で目が覚めた。
聞けば、領民が武力蜂起を起こそうとしてるそうだ。
「あいつら、ふざけてやがって!!」
丁度招集もかかった事だし、隊長にふざけた輩を粛清すべきっと打診したら、隊長にギロリと睨まれた。そして……
「粛清されんのは、てめぇの方だろうが!!」
ボキッ!!
招集を受けた私兵達の前で、俺は右腕を折られた。
痛みで床を転がりながら悶絶してる俺の背中を容赦なく踏みつけながら、隊長は今何が起きてるかを語った。
中身は要約すると、俺が街で行ったOHANASHI(物理)のせいで……
ブランシェール家の名に置いて行ったOHANASHI(物理)のせいで、領民達の怒りが爆発したそうだ。
「本来ならてめぇの首を領民達に差し出して落とし前を付けてやるところだが、この一件はギルベール様が直々に話を付けてくるそうだ!
俺と他数名はギルベール様を警護する!居残り組は屋敷の警護に付いとけ!!それから言っておく、俺は二度まで失態は許す。だが、三度目は許さん!!特に貴様は二度も失態をやらかした……三度目にやらかしたら、次は右腕を折るだけじゃ済まさねぇ!!手足を全部もいでやるからな!!
居残り組もそのつもりで屋敷を死守せよ!!」
そう言い残し、隊長は屋敷の外へと去った。
残された面々からの視線は痛かった。
「なんだよ……俺はただ、真面目に職務をこなそうとしただけだろ!!」
「真面目か……あぁ、確かに真面目だよな」
「手段を選びさえすれば、だけどな」
「俺達は行儀良くないっていう自覚あるが、さすがにお前ほど下品で下劣な外道ではないぞ」
(捜索中に酒場で酒飲んでたお前らに言われたくねーよ!!)
俺はそう言いたかったが、言えばどうなるかなんてわかっていた。
右腕を折られてロクに抵抗が出来ない今、大人しく引き下がるしかない。
とにかく、今はこの折れた腕を治療してもらうために医務室へと向かう。
だが、医務室は空だった。
近くにいた使用人から話を聞くと、ギルベール様と共に領民達との話し合いへと赴いたらしい。
「くそがっ!ここに重症人が居るってのに、ふざけんなや!!」
ゲシッと壁を蹴る。
その様を使用人が怯えるではなく、冷ややかな目で見てやがった。
苛立ちのあまり、無事な左手の拳を握り絞める。
このまま殴ってやりたい……が、殴る前に最低限の治療は施すと言ってきた。
頼めば本当に最低限。添木で固定してから包帯を巻くという最低限だけの治療をしてくれた。
薬くらいだせっと伝えても、今は予備すらないと言われる。
誰かさんのせいでっと付け加えられながら……
「なんだよ!!俺のせいだって言うのかよ!」
「失礼するよ!」
無礼な使用人を握り絞めた左で殴ろうとしたら、丁度入れ替わるようにメイド長のばばぁ(※40代)が入ってきた。
ばばぁは俺よりも強く、暴力に暴力で反撃してくるような奴だ。
そんな奴の前で使用人に暴力振るえば、どうなるかなんてわかりきっている。
「くそっ!」
俺は悪態付きながら医務室を後にするしかなかった。
その際、中では拷問室がどうとか、あの子をどうするって話が聞こえてきた。
「拷問……あの子……ギルベール様……放置……」
こうしたキーワードが出てきた事で、俺はある事を思い出す。
「あー拷問室には、小娘の片割れが居たんだっけな」
それに気付いた俺は、さらにピーンっと来た。
「そうだ!俺が今こんな目に合わされてるのは、元々はあいつら……あいつらのせいじゃないか!!あいつらが逃げたせいで……なら、今俺がやる事は一つ」
俺が今まで受けてきた苦痛を、小娘に清算させる。
早速実行とばかりに、俺は拷問室へと赴く。
拷問室では、例の小娘……姉妹の小さい方が吊るされていた。
隊長から散々痛めつけられたのだろう。身体のあちらこちらに裂傷が刻まれており、地面には血と汗と涙と嘔吐物らしきものの跡が残っている。
気絶でもしてるのか、辛うじてつく足先に力はなく、身体全てを頭上の両手首を吊るしている縄に委ねているようだった。
その無様な様に俺はにぃ~っと笑う。
溜飲が下がるような、胸がすくような感情が湧き出る。
だが、俺が今まで受けてきた苦痛や屈辱を考えると、まだ足りない。
俺の手で直接叩きつけてやらなければ、真の意味でスカっとできない。
「おぃおい、何ねんねしてるんだよ」
俺は、まず手始めに小娘の頭をガシッと無事な左手掴んで、無理やり顔をあげさせる。
目が覚めたら、即座に怒声を浴びせようと思って目を合わせたら……
俺は驚愕した。
ニア 驚愕する




