↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/28

最終話.あたし達ズッ友だよ――世界を越える永遠の約束(中)

かくかくしかじか


説明にこれ以上の汎用性を持つ言葉は存在しない。

古事記にもそう書いてある(`・ω・´)キリッ

「それでね、優華。かくかくしかじか」


「はふはふうまうま。なるほど、よくわからんけど、この一週間とんでもないご都合主義な超展開が起きたのぐらいはわかったよ、お姉ちゃん。でも……あたし、やっぱりお肉食べたい。こんなミルクと少量のハーブっぽい香草で煮た麦のおかゆじゃ、味気なさすぎだって」


「我慢なさい。お医者さんも言ってたでしょ。寝起きで……しかも、一週間も寝たきりだったのだから、まず消化の良い物から慣らしていきなさいって」


「むーそれでも、もう少しなんとかならない?せめて、梅干しほしい」


「中世ファンタジー世界にバリバリな日本食材なんてあるわけないでしょ。逆に、あったら雰囲気台無しじゃない」


「でも、すでにスマホみたいなのがあったわけだし、もう今更じゃん」


「それは……言わないであげなさい」


 そんなこんなと、味気なくともしっかり完食した優華。

 デザートは姉の手でカットされた林檎……は、皮の方に身が多い出来栄えだったので、自分がやるっとばかりにスルスルっと手慣れた様子でウサギ型に整えた林檎を姉と一緒にパクついてる最中、廊下を走る足音が聞こえた。


 バタン! と勢いよく扉が開く。


「優華さん!!」


 そこに立っていたのは、セーニャだった。メイド服ではない。淡い青色のドレスが、ほっそりした体を包んでいた。栗色の長い髪は、今日はゆるく編み込まれていて、金色の飾りが揺れていた。


 優華が身を起こして林檎を齧る姿。最後にみた寝たきりではない。身を起こして最後の林檎をごっくんと飲み込んでる姿に、薄緑色の大きな瞳から、涙がぼろぼろと溢れていた。


「よかった……本当に、目を覚まされて……!」


 セーニャはベッドに駆け寄り――優華の体を、壊れ物を扱うみたいに、優しく抱きしめた。


「セーニャ!?きれいなドレスだね!どうしたのそれ!」


 優華は抱きしめられながらも、嬉しそうに叫んだ。


「あ、あの……わ、私、今は……オレグ様の孫という事になりましたので……」


 セーニャはしどろもどろに説明しようとしたが、それを制した。


「察しの悪いあたしでもわかるよ。やんごとない血筋はそう簡単に公表できないわけだし、仮初の身分としてはそれがいいよ。なにせオレグお爺ちゃんは作中最強の助っ人。三国志で言うかん……かん……お姉ちゃん、なんだったっけ?」


「関羽よ、関羽。三国志での『忠義』と『武勇』を象徴する武将。ちなみに関羽の生まれは……」


 その後、真理子がぶつくさとうんちくを語り始めたので、優華はそれを一切合切無視してセーニャに向き合う。


「とにかくまぁ、オレグお爺ちゃんはそれだけ凄い人だから、セーニャの後見人としてぴったりだよ!それに、オレグお爺ちゃんって五大貴族の出身だし、そんな人の孫だと、今後はセーニャ様って呼ばないといけないかな?」


「いえ、今まで通り『セーニャ』と呼んでください。まだ、私に貴族の自覚もなければ、私自身が貴族を名乗れるような立派な人間にもなってませんから。それより……これ、覚えてますか?」


 セーニャが見せたのは、四つ葉のクローバーの押し花だった。


「あ! それ、あたしが貸したやつだ!もしかして、返しに来てくれたの?」


「はい……借りたものは返すのが礼儀ですからね。それで、これは利子です。借りたものを返す際は利子を付けるのも礼儀ですから……」


 一つの包みを優華に渡す。

 優華はなにかな~っとwktkしながら包みを取る。

 中から現れたのは、青い水滴のような小さな花の押し花だった。


「これは『フォンティーヌの花』といいます。王国では『永遠の約束』の花言葉を持つ、誓いの花の押し花……これが利子です。気に入りませんでしたか?もしかして金銀財宝を望んでるのでしたら、私を救出してくれたお礼として別口で用意してますけど」


「いやいや。金銀財宝もいいけど、花も花でいいものだよ。金銀財宝とはまた違う価値もあるし……そうだ!せっかくだし、これは交換にしようよ!」


「え?」


「あたしはこの四つ葉のクローバーを改めてセーニャにあげる! そうなれば交換になるよ! 友情の証ってやつだよ!」


 優華は自分の手の中の四つ葉のクローバーを、セーニャの手のひらに押し付けた。


「で、でも……これは『幸運』のお守りで……」


「いいのいいの! セーニャはこの先の大変な運命が待ち構えてるんだよ。心の拠り所は多ければ多いほどいいんだから、遠慮なく受け取ってよ」


 優華の笑顔を見て、セーニャの目が潤んだ。それから――静かに、うなずいた。


「……はい。では、改めて……この『四つ葉のクローバー』を頂きます」


 こうして、セーニャの手には『幸運』の『四つ葉のクローバー』

 優華の手には『永遠の約束』の『フォンティーヌの花』


 それぞれのお守りが握られた。


「うん! これで私たち、お揃いだね!」


 優華は花を胸に抱いた。それから、セーニャの目をまっすぐに見て言った。


「ついでだし、あたし達はこの『フォンティーヌの花』に『永遠の約束』を誓おうか。

 その約束だけど……これでいいかな。あたし達は……」












 ――あたし達は、これから先何があっても、ずっと友達でいようね――











 セーニャの動きが止まった。


 それから――涙でぐしゃぐしゃの顔で、それでも一番の笑顔で、


「……はい! ずっと……ずっと、友達です!」


 二人は指切りをした。指と指を絡めて、ぎゅっと握り合う。

 いつのまにうんちくを垂れ流すのを止めていた真理子は、扉近くの際にもたれながら、二人の様子を見ていた。


(よかった……本当によかった……)


 扉の裏からこっそりと中を様子見をしていた養祖父他数名と共に、こみ上げる涙をそっと拭いた。

まるで最終話みたいな流れじゃないか……って、これ最終話だった_(:3 」∠)_ソシテジカイガサイゴノコウシントナル?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
食欲旺盛なのは良い事ですけど、いきなり食べると良くないのは確かですよ。あの三代目大泥棒みたいに急ぎの用事があるのなら別ですけど(花嫁を奪いに行くの♪) お姉ちゃん、もしかして料理だけ苦手? 生まれ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。