最終話.あたし達ズッ友だよ――世界を越える永遠の約束(前)
あさ~あさだよ~あさごはんたべてがっこういくお~((( ^ω^)
CV:國府田マリ子
朝の光が、窓辺に差し込んでいた。
真理子はそっと手を伸ばし、眠る妹の髪を撫でた。黒くて短い、くせっ毛の髪。いつも跳ねている毛先が、今は枕に押さえつけられておとなしくしている。
真理子は窓の外をみる。小鳥のさえずりが聞こえる。遠くで誰かが笑う声も、風に乗って聞こえてくる。
「あれから一週間か……」
真理子は思い返す。一週間前、領民達が起こした武力蜂起を……
ギルベールとバルド他、主要な者こそ取り逃がした。でも、禁制品取り引きの証拠とその取り引きで得られた富。宝物庫に納められていた金銀財宝は抑えられた。
この件によってギルベールはブランシェール家当主の座を剥奪されるだろう。常識的に考えれば、逃げたところでもう何もできないはず。
領民たちは、この度を大勝利として、一週間経った今でもどこかしらで喜びの声をあげていた。
真理子は、地下の拷問室に捕らわれていた優華を間一髪のタイミングで救出できたのだ。
想定していた中での万々歳な結果ではあるけど……真理子の心は晴れなかった。
ベットで眠る妹の顔は、ろうそくみたいに青白い。唇に血の気がなく、不定期にうなされるかのごとく眉をひそめている。
「一生、目覚めないかもしれないなんて……」
優華を手当してくれた医者は告げた。命に別状はない。傷は跡こそ残っても治る。ただ、拷問を受け続けたショックで心が衰弱しきっている。目覚めるかどうかは、本人の気力次第だと。
「……優華、起きなさいよ」
真理子は妹の手を握った。冷たい指先。でも、ぬくもりはまだある。
「もう一週間よ。いくら寝坊好きでも、そろそろ起きてよ」
返事はない。
真理子は天井を見上げた。目がかすむ。
(あの時、私が屋敷に戻る事に反対してたら……いや、怖気づいてしまなわければ……もっと早く駆けつけてあげれば……)
何度も何度も『たら』『れば』を繰り返す。
過去を振り返り続けるなんて……『やりなおし』をしたいと願い続けるだなんて……
自分でも愚かとは思ってる。あの時は最善を選んだ。自分があの時出来る最善手を選んだ。それでも――。
「馬鹿……なんで、あんたが犠牲にならなきゃならないのよ。
だから……だから……みてるんでしょ!!」
真理子は天井に向けて、虚空に向けて……どこかでみてる“ナニカ”かに向けて……
みつめてる者に、真正面から、視線を合わせながら、願った。
「優華を目覚めさせて!そのためならなんだってする!!“アナタ”の正体が“神様”だろうが“悪魔”だろうが、もうなんでもいい!!私のこれからの人生“全て”を捧げてあげる!!地獄へ堕ちろというなら、喜び勇んで堕ちてやる。だから……だから……」
『たやすいこと。その願い、今流してる涙の一雫と引き換えで、叶えてやろう』
「―――っっ!?」
スッと、何者かが流したばかりの涙を掬い取ってきた。
ねっちょりとした、本能的な“恐怖”を具現させるような感触。ぞくっと身体を振るわされる。
その時――!!
「……うぅん……」
妹のまぶたが、かすかに震えはじめた。
青白かった顔が、いつのまにか赤みが増していた。
冷たかった手から、力強い脈の反応があった。
それから――ゆっくりと、茶色の大きな目が開いた。
「……お姉ちゃん?」
かすれた声。でも、間違いなく、妹の声だった。
「……ぁ……」
真理子は言葉を失った。口がぱくぱくと動く。涙が止まらない。視界がぐしゃぐしゃに歪む。
「えっと……なんで泣いてるの? あ、もしかしてあたし、助かったの?」
優華はきょとんとした顔で姉を見ていた。それから、自分の手に巻かれた包帯を見て、自分の容体を確認している。真理子は大声で叫んだ。
「……一週間よ! あれから、一週間もずっと寝てたのよ!!」
その間、私達がどれだけ心配したと思ってるの!? もう目を覚まさないんじゃないかって、何度も何度も考えて――!」
「一週間!? うっそ、そんなに!? 道理でお腹すいたわけだよ! あ、そうだ! 何か食べたい! お肉一杯のシチューとか!」
優華は目を輝かせて言った。真理子の怒りも涙もまるで気にしていない。それどころか、空腹のことで頭がいっぱいのようだ。
真理子は、ぽかんとした。
それから――ぎゅっと、妹を抱きしめた。
「この……馬鹿……!!」
「わっ!苦しいよお姉ちゃん!とにかく、食べ物とあれから何があったか教えて!!」
「うるさい!!そんなの後回しにしなさいよ!!」
真理子は泣きながら怒鳴った。怒りと安堵とが混ざった、ぐちゃぐちゃな表情で、それでも必死に、妹の温もりを感じていた。
(よかった……本当によかった……そして、願いをかなえてくれて……ありがとう!!)
『どういたしまして』
真理子の声に、“何者か”は『にこり』と笑顔で……
その正体が人々の怒り、苦しみ、嘆き、といった負の感情を糧にして生きる“悪魔”であるにも関わらず、本心からの慈愛に溢れた天使のような笑顔で応えるのであった。
まぁ~あの薩摩芋さんの周囲はこすい考えを持つ天使が居る分、気まぐれ的に人助けする悪魔の存在で善悪のバランスとってるとこあるので……
その辺りの事情知りたいなら『クズぷちっ』をどうぞヾ(:3ノシヾ)ノシサリゲナクセンデンシテミル




