取り敢えず授業
何を言っても納得してもらえないと理解したぼくは彼女を自席に座らせた。
答えを欲しそうな不満たらたらな表情してたけど、答えるわけにはいかない。
ちょうど教師も入ってきたところだったし、切り替えるタイミングとしては都合が良かった。彼女も一応授業中ならあんなことにならないし。
魔法学園の授業は、座学と実践が組み合わされていて、教師の大半が魔法師だった。これは生徒たちが暴走しても抑え込むだけの力量が求められているためでもある。
それと専門的なことは専門家に教えを請うことが一番理解しやすいからだ。まぁ、研究者じゃないだけ、ぼくたちも理解しやすい。
研究者って、大半がネジ吹っ飛んでるような、それしか見えてないところがあるから、教えるには向いてないんだそうだ。
ある意味彼女もそっち側なんだけど、対象が人間だからかなり嫌煙されがちなんだよね。研究して誰かの役に立つとかじゃなさそう――いや、隠してるだけで知りたがる人は多い分野かもしれないけど。
今日の講義は魔法の相互作用についてだった。
大体属性は一人一つだけど、まれにぼくみたいに二属性もつ人もいる。これは人がもつ魔力というのは種類が幾つもあって、その中でも魔法として放出できる数が限られているからだと言われているためだ。
ただ、これは俗説の一つであって、立証されているものではない。
娯楽として人気のある物語りでは、魔道具などで属性が解るらしいけど、そういった道具はこの世界には存在しないものだ。
この世界では魔法を放してみて初めて属性を知る。
水が出れば水属性だし、風が舞えば風属性といった具合に、体内の魔力を放出できて初めて魔法を使えたとなるわけ。
じゃあ、魔法の相互作用って何なんだってなるのが講義内容だね。
そもそも相互作用とは、二つ以上の物体、要素、または仕組みが互いに働きかけ、影響を及ぼし合うこと。また、片方だけでなく、双方向の影響により、全体の効果やそれぞれの状態が変化する概念を指す。
つまり、二つの属性を掛け合わせるとどうなるかっていったところ。
火属性と水属性なら想像しやすいかな。
水属性が強ければ消火されて被害は少ないけど、火属性も水属性も同じ力量をもっていれば話は別だ。火と水が同じだけぶつかると爆発が起きて、校舎なんかは跡形も無くなるだろう。
今はないけど、戦争が頻繁だった時代には、そうやって敵兵を追い払ったり、国ごと潰してたというんだから、人を何とも思ってない使い方だよね。
ぼくがもつ、土属性だって、水属性で強化することもできるけど、互いの威力を上げれば土石流だって引き起こせてしまう凶器ともなる力だ。
要は使い方次第と簡単に言うけど、まぁ、人って力をもつと変わるって言うから。そうならないために座学として組み込まれているわけなんだけど。
残念ながら、それを理解できない人もいるわけで。
座学に引き続いた実践授業で、調子にノッたクラスメイトが教師に捕縛されていた、とだけ付け足しておこうかな。
それを見た彼女が、捕縛されたクラスメイトにやりすぎてはダメだと言われたのにも関わらずいけると思ってやってしまったのかとか捕縛されてどういう感情になったかなのかなんて、ぐいぐい聞きに行ってドン引きされていたことも、追記しておく。




