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箱庭ぱらだいす! Hakoniwa Paradise -“Arcadia” of graffiti-  作者: Saku†Project -ParadoX-
理想郷の統治者と侵略者編
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・理想郷の統治者と侵略者編ー10.不穏な悪夢

「きゃははっ。みーつけた、みーつけたっ」

その声は、闇の中から響いていた。そのよどみはクローゼットの中から隙間を覗いて外を見るや、何やら不穏な笑みを浮かべている……。

その視線の先にいるのは……そう、連日のことで生き倒れているユウリだった。

「その不幸は力になる。この仮初めの幸せ(アルカディア)を滅ぼすためには必要なもの」

声はもう一度きゃははと笑いながら、闇の中からクローゼットの隙間をすり抜け、ユウリの前に実体化する。

現れたのは黒い服をまとう、意地悪そうなジョーカーの少女だった。

「ん……」

うなりはするが意気消沈しているユウリ。少女には気づいていない模様。

すると少女は、空中から鎌を召喚する。鎌の根元にはショッキングピンクの星がついており、柄も紫で毒々しい雰囲気をまとっている。

「まぁいいや。こいつは気づかれると面倒そうだし。悪夢の扉よ開け!オープン・ザ・ナイトメア!!」

少女は、鎌の刃とは別に星の先端についている、小さな鋭い刃をユウリの首筋にぶっ刺した。

……と、思ったが。

「……スケッチ・オブ・フィールド」

少女はいつの間にか、ユウリが創り出したであろう水色の空間に閉じ込められていた。

「気づかれていた……っ?!」

少女は突然のことに、挙動不審になる。

「ふぅ、危なかったぁ……ところで、俺を不意打ちしようとしてしくった雑魚はお前かな」

自分が陥れようとした相手に、いつの間にか背後から捕まれていた少女。その場で脱出しようと手足をじたばたと動かす。

「やだっ!離して!」

「離す訳ないじゃん」

ユウリは先ほどの調子の悪さはなんだったのか、完全に少女を舐め腐っている。

「離せーー!」

手足を更にばたつかせる少女。

「やだね」

ユウリは手のひらサイズの正方体を作り出し、その中に少女をあっさりと閉じ込めてしまった。

「今度はきちんと処理しないとな」

そう言うと彼は、正方体を手でぐしゃりと潰してしまう。そして、それを無に帰すように消したのであった。

「ふぅ」

彼がため息をつくとフィールドは解け、元の部屋に戻る。

そしてベッドに横たわった彼はあくびをし、再び眠りについた。



しかし、それが間違いであった……



「きゃはははっ。きゃははははっ」

ユウリの脳内に、さっきの少女の甲高い声が響く。

「何だよっ」

彼が見渡すとそこは、暗くよどんだ空間が広がっている。

「眠りについてくれてありがとう、ゆーりん」

少女の声は嬉しそうな様子だ。

「なぜそのあだ名を知っている。お前は一体何なんだよ」

ユウリは真っ白な容姿の覚醒状態になり、辺りを警戒する。

「私は悪夢の存在・ナイトメア。夢の中は私のフィールド。特に、暗い感情を抱えてる人間の夢の中はね」


《ナイトメア…悪夢を操る存在ジョーカー。アルカディアの破滅を願っているが……?》


ユウリをぎょろりとした目で見つめ、不穏な笑みを浮かべているナイトメア。

「悪夢……何をするつもりだ!今すぐ抜け出してやるっ!」

お得意の空間魔法で脱出を試みるユウリ。しかし、空間転移しても元の場所に戻ってくるではないか。

すぐにもう一度試してみる。しかし、何度試しても結果は同じだった。

ナイトメアはそれを見て愉快な様子だ。

「きゃははっ。無駄な事はやめたら?」

彼女の瞳はユウリを見下している。

一方でユウリは、謎の焦りに駆り立てられる。

「何のつもりだ……」

今度はナイトメアを空間内に閉じ込める。しかし。

「うわっ……!」

閉じ込めた空間内からは闇が溢れ出す。それと同時に、「きゃははっ」というナイトメアの笑い声。

「くそっ……」

その次は空間さえ切り裂く剣を召喚し、ナイトメア自体を切り裂こうとした。しかし、周りの空間がぐちゃぐちゃに潰れるだけで、ナイトメアに直接攻撃が効かない。

その他、試せる方法は全て試すことにした。しかし、どの方法を使っても結果は失敗。ユウリは歯を食いしばった。

「きゃははっ。もう、諦めたら?」

ナイトメアは嘲笑する。

「何だよお前……何者だよ……」

全身から力が抜け、地面に座り込むユウリ。

するとナイトメアは、にやにやと笑いながら語り始める。

「私はゆーりん、あなたの悪夢。あなたは自分が最強と思い込んでいる。自他共に認める、“普通の男の子”なのもよそに」

「それが何だ……」

「しかし、それが新参者にあっさりとやられちゃった。だからあなたはそれを根に持っている。それから一回復讐は果たした。が、今度は敵側にレイナをたぶらかされ、悪感情を抱いている」

「お前には関係ないじゃん……」

段々と弱気になっていくユウリ。身体は拘束され、力が段々と抜ける。

ナイトメアは弱りきったところを見て、彼の耳元でそっとささやく。

「……あなたはもう最強じゃない。チートでもない。元々はただの凡人だから。いい気になってんじゃないわよ」

「違う……そんなつもりじゃ……」

ユウリの視界がぼやけていく。そして彼は眠るように倒れた。




「今こそその力で、復讐を果たしなさい」





《悪夢の存在・ナイトメア。ユウリはこれからどうなるのやら……》

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