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箱庭ぱらだいす! Hakoniwa Paradise -“Arcadia” of graffiti-  作者: Saku†Project -ParadoX-
理想郷の統治者と侵略者編
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・理想郷の統治者と侵略者編ー7.レイナの謝罪

レイナはリオレットに案内され、皆が集まっているリビングへとやってきた。

すると真っ先にゆめが、彼女に指を差しながら驚きを表現する。

「噂をするとレイナめう!?」

やみとりんた、それからももかも同じくレイナの登場に驚いていた。しかし、それと同時にいきなりケンカを売られた、あるいは裏切られた思いがふつふつと湧き上がる。

真っ先に口を出したのはももか。

「あなたが裏切り者ね。いきなり態度を変えるなんてどういう事よ!?」

「にぱにぱ!僕とりんたにケンカを売り、キノコを盗んでは、僕とりんたをゴミのようにポイポイと捨てやがって!」

やみも姿形は変えないものの、臨戦態勢で待ち構えている。

「二人の言う通りだ。俺らに散々ひどい目に合わせておいて、今さら自分一人で来るだなんてどういう事だ?」

りんたはレイナをするどく睨みつけ、

「噂によるとやりたい放題の悪魔だってね。そんなの許さないめう!!」

ゆめに至っては、まさに『激おこぷんぷん丸』と言える怒りの表情を露わにしていた。

四人の威嚇に対し、レイナはひるんでしまう。彼女自身は、あんなことをしたのだから当然そうなるのかも、と覚悟をしていたつもりだったのだが。

「何、弱気な態度取っているんだ?」

りんたは険しい様子で問いつめている。

レイナは完全にひるみきっており、その恐怖に出る言葉も出ない様子。

そこへ更に、りんたは手加減せずに彼女を問いつめる。

「何か言いたい事があるならさっさと言え」

その場は沈黙に包まれた。そして時間だけがしばらく流れた後、レイナは深く礼をする。

「……ごめんなさいっ!!」

それは突発的なものだった。今まで溜めていたのか、それとも言い出せなかったのか。とにかく勢いなのであった。

彼女は、その調子で更にこう続ける。

「私は最初、寝ているあなた達を見てキノコを取ろうとしていたユウリを止めた。しかし、彼は『大丈夫』って言ってキノコを取りあげた。いくらキノコを取ったのがユウリだとはいえ、止めきれなかった私も悪いんだ!」

それを聞いたりんた。ため息をつくと、強張っていた表情を緩めさせる。

「そうか」

そして、レイナの身体をぎゅっと抱きしめる。

「!?」

レイナは顔を赤くした。

それを見ていた周りも、突然りんたが取ったスキンシップに唖然とする。

周りの時が止まったようになる中、りんたはレイナの頭に優しく手を置き、こう続ける。

「……お前は最初から悪くないと思っていた」

「……なんで!」

レイナは強がりながらその手、その腕を振り払おうとする。

しかし、りんたはそれを感じると彼女を更にぎゅっと抱きしめた。

「レイナ。お前を見た時、ふと違和感があったんだよ。どこか本音では無いような感じが、俺にはバレバレだ」

「っ……!」

「お前の隣にいた奴、ユウリって言ったな?」

「そうだけど何よ……」

「彼にも実は少し違和感を感じてたな。普段はそうでもないだろ」

「で……?」

「お前ら、とっさのこととはいえ、最初から作ってたんじゃないのか?」

「作ってた……!?」

根を完全に突かれてしまっているレイナ。もう、本音を抑えようとしても止まらない。

「バレバレじゃねぇかよ。元はこっちの身内が悪いとはいえだが」

「身内……?」

もうここからは、りんたのペースに流されるしかないレイナ。

「今そこにいるゆめとももか、俺を探してそっちでお世話になっていたんだってな」

「そうだけど……」

「ゆめが突然謎の病気にかかり、それでやみの持ってたキノコが必要になった。それでお前とユウリが瞬間移動し、ユウリが思いつきでやみからそれを取ろうとした。そして、俺らといざこざになり、俺らは一回負けたんだな。それで、お前は先に戻りゆめを救った。ユウリは、俺らを異空間に放り投げて処理しようとした。すると俺らの前に何やら現れて奇跡的に救われた。それからは形成逆転、俺らが本気でお前らを脅したんだな?」

「確かに……」

「で、そこへお前の身内、そしてゆめとももかが現れるんだな。お前によく似た奴は撃沈したお前とユウリを見て俺らに激怒し、回収すると同時に、ゆめとももかを置き去りにした訳だな。話が繋がったよ」

「うん……」

「俺もやりすぎたよ、ごめんな?」

りんたは改めてレイナを抱きしめ、優しく頭を撫で始める。

レイナはそれに対し、瞳から涙をぽろぽろと流し始めた。

「ごめんなさい……」

「いいんだよ。分かったから」

りんたとレイナ。これは抱きしめ合う二人が、最初に本音で触れ合った瞬間であった。

「はい、かーっと!」

カチンコを鳴らすやみ。

その瞬間、皆がその場の現実に引き戻された。

「何二人でイチャイチャしてるの!僕がいながら敵の首謀に……」

やみは、怒りと嫉妬で顔を風船のように膨れ上がらせている。

他の身内女子たちもお怒りだ。

「何この展開!敵味方構わず女の子を手に取ろうとするなんて、どこまで女をたらすつもりなんだ!」

ゆめはりんたに指差しをして、

「りんた、あんたやっぱり最低な奴ね」

ももかは白目でりんたを見ていた。

そのまま間を開けずに、やみ、ゆめ、ももか三人揃っての指差しコールが向けられる。

「最低!最低!」

「おい、周りに人いるだろ」

りんたは、若干引いている周りの状況を見て的確に注意する。しかし、女子勢のあまりの興奮具合にやや押され気味だ。

更にそこへ、やみがこう続ける。

「りんただって裏切り行為を人前でしてたの!」

「そーだそーだ」

やみを持ち上げるかのように、声を合わせるゆめとももか。

「いやぁ……。俺はただ、レイナにも色々事情があると思いなぐさめただけだ」

りんたは、どこかぎこちない様子で言い分を返していた。

するとその隙をついて、レイナが彼の腕を引き離す。

すぐに気づくりんた。

「レイナ?」

「やっぱり私は、ここにいてはいけないようだ……」

レイナはそう言うと、急いでリビングの外へと駆けて行った。

「待て!」

りんたはすぐに追いかけようとする。

しかし、それに気づいたやみがスライムのように溶け、両足にまとわりついて自由を奪う。

「にぱー?」

やみは、りんたをじっと睨んでいる。

周りもまた、りんたをじっと見つめている。

「俺はどうしても彼女の話を聞きたい……だから離してくれないか……」

懇願するりんた。

しかし、周りは時が止まったかのように動かずに彼を見つめる。

「やみたん……お願い。変な事は絶対しないし、後でたくさん遊んであげるからさ……」

りんたは、やみの頭をそっと撫でた。

すると彼女は、黙ってりんたの自由を奪っていたジェルをすっと収めた。そして、早よ行けと言わんがばかりに彼を見つめる。

「ありがとな」

りんたは暗闇と、激しい雷雨の音が聞こえる中、急ぎ足でリオレ荘の玄関まで向かう。

彼はそのままの勢いがついたまま、音を立ててドアを開く。

するとそこには、憂いの表情を見せるレイナと、彼女を迎えに来たであろうユウリの姿があった。

「レイナ……!」

りんたは息を切らしている。自分でも、走ったのが少しの距離と分かっているはずなのに。

「お前か」

そんな彼を、邪魔者が現れたかのように見るユウリ。

「そっちこそ大変だよな……」

りんたは、若干疲れたような様子だ。

「別に大変じゃないけど。何か用?」

対してユウリはまんざらでもない、あっさりとした態度を取っている。

「いや、急にレイナがこっちに来て謝ってきたんだよ。事情も詳しく聞いたさ。元凶は身内がまいた種だとしても、お前が悪いんだってな……」

りんたは、鋭い目つきでユウリを見つめる。

「俺が悪い?確かに取ったのは認めるけど、アレは中々見つからない代物。面倒だったからつい」

それに対して、ユウリは自分は大して悪くないと思っている様子だ。反省色のかけらにも程遠い。

りんたは、その態度に小さな怒りが湧き上がる。

「面倒?お前、そんな理由で盗みを働いてもいいと思ってんのか?」

「バレなければいいじゃんと思っていた」

それを聞いたりんたは、呆れてため息をつく。

「あのさ……現にバレてるし、しかもお前ら逆ギレしてきたよな?で、レイナの方は謝ってきたのに、お前はまだそんな態度か」

「そっちこそ、俺らを殺しかけてどうしたかったの?」

りんたに冷ややかな視線を送るユウリ。まるで人工物のようにも見えるその瞳は、玄関先の明かりを鈍く照り返している。

「俺らも確かにやり過ぎたのは認める。だけど、お前が謝るのがどう考えても先だろ?何。この世界の事はよく分からないが、俺に負けてそんなに悔しい訳?」

りんたは、彼がされたようにじっとユウリを見ている。

嵐の中、三人は風に流される雨に濡れていた。暗闇の中に白い稲妻が光り、ひときわ大きな雷音が鳴る。

「……レイナ、帰るよ」

「いいの?」

彼らのやりとりを見ていて、どこかすっきりとしない様子のレイナ。

「うん。別に」

ユウリは素っ気なく返すと、レイナを連れてその場から消えてしまう。

「おい!……」

何か言おうとしたりんた。しかし、それを言う前に彼らはすでにいなくなっていた。

今のりんたの周りには、ただ嵐が吹き荒れるだけだ。

「あいつ……」

りんたはただ、いら立ちを感じている。

「私としても残念だわ……」

彼が気がつくと、背後でリオレットも悩ましそうにため息をついていた。

りんたはふとそれが気になる。

「あぁ。リオレットは、あいつと何かあったのか?」

「昔から、レイナとユウリとは仲が良かったわよ……。けれど、いつからでしょう……どうして仲良くなったのかが、思い出せなくて……」

リオレットは、それを思い出そうとするがどうしても思い出せない。思い出そうとすると彼女の意識にもやがかかり、霞んでしまうようだ。

その苦しんでいる様子がりんたには、見るも哀れに映っていた。

「とりあえず、ここにいると風邪引くから戻ろうぜ」

「うん……」

リオレットは小さくうなづき、二人は、リオレ荘の建物の中へと戻っていった。

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