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箱庭ぱらだいす! Hakoniwa Paradise -“Arcadia” of graffiti-  作者: Saku†Project -ParadoX-
理想郷の統治者と侵略者編
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・理想郷の統治者と侵略者編ー2.Yamisaki Clover緊急会議

私たちが住む世界の近くの、とある次元にある、どこかの世界の小さな村、アルカディア。

自然豊かなその村と周辺には、個性豊かなたくさんの少年少女達がのびのびと暮らしている。

そんな村をまとめるのが闇咲邸、『Yamisaki Clover』の存在。

彼らはアルカディアの自治や振興を強めるため日々楽しみ、時にマイペースに、時にしっかりと活動している。

例え時に、住民が思わぬ事態を起こすことになろうとも……



「さて、これからYamisaki Clover緊急会議を始める!」

Yamisaki Cloverのリーダー・レイナの一声でそれは始まる。

彼女は程よい親しみやすさと、それに似つかぬ圧倒的なカリスマ性でアルカディア住民の信仰を得ている。

「では、今回の題だけど、レイナとユウリが危険にさらされたって話だね」

リーダーの双子の妹で進行・まとめ役のレナ。その甘い雰囲気と、なんでもこなす器用さがアルカディア中の住民の心を掴んでいる。

「二人とも……今この場にいれて良かった……」

魔術書のようなノートにメモを取りながら、口下手ながらに言ったのはミライ。個性的というかゾンビやフランケンのような見た目、更に内気で人見知りと、一見近づきにくいような雰囲気だが、彼女のカンは当たるという噂。

「もうあんな思いはこりごりだ。あのメガネを潰してやりたいな」

執念を見せるのはサブリーダー・ユウリ。自分こそが普通の男のチートと思い、今まではそれで通っていたものが覆されたことに不服なようだ。

レナは、議題を進めていく。

「早速だけどみーちゃん、今あいつらが何しようとしてるか分かる?」

「うん……やってみる」

ミライは、意識を自分の内側へと集中し始める。

レナは彼女の意識を妨げないように、そっとメモとペンを自らの元へ寄せた。

「その間のメモはあたしがとるとして、レイナ、ユウリ。改めて聞くけど、奴らはどんな感じだった?」

レイナとユウリは互いにうなづき、レナにあの時のことを話す。

「最初は無邪気そうなスライムのような生き物と優しそうな青年だった。青年の方は見た感じ、この村ではあまり見ない年っぽいね。彼らは、ペンやフィールドの事を知らないみたいだったから、きっとこの世界に来たばかりなんだと思う。で、スライムの方にユウリが近づくと、センサーでもついているかのように起きたの」

「いつものようにねじ伏せてやればいいと思ってた。ねじ伏せられると軽く思って、適当に閉じ込めて“外”へ捨てた。けれど、気がつくと何故か戻ってきていて、今度は逆にこっちがねじ伏せられたんだ」

「私はその青年の目を見た時、何とも言えないざわつきとおどろおどろしい程の威圧を感じた」

「俺もまた、化け物に捕らわれて全身の力を吸いとられそうになった。一体あいつらは何者なんだろ──」

薄暗い会議室の空気は、その話によって更に重々しくなっていた。

しばらく沈黙が続く中。レナはバン!と大きな音を立てて机に勢いよく手を置いた。

「本当ただ者ではないわね……このままでは私たちの村も危ないかもしれないわ!」

彼女は険しい表情だった。

「レナ……そこまで言わなくてもいいんじゃ……」

レナのあまりの興奮具合に、被害者であるはずのレイナが逆になだめる。

「そうだよ。俺も正直、いくら面倒だからって泥棒はやめといた方が良かったって後悔してるし」

ユウリも、真実と本心をこの場で打ち明ける。

「でも、おねーちゃんが死んでたかもしれないと思ったら、思ったらぁっ!!」

レナは声を荒げ、それは泣いているかのようにも思えた。

「落ち着いて?レナ」

レイナが、レナを背後からぎゅっと抱きしめる。

「私は大丈夫だよ……」

「うぅ……っ」

レナは姉の温もりの中で崩れ、今までの感情があふれて泣き出してしまった。

そんなレナの背中を、レイナはひたすらさすり続ける。

「私がいなくなるのが本当に怖かったんだね。でも私もユウリも、今こうしてここにいるから、あいつらについてどうするか、この場でゆっくり考えましょ」

ユウリも、レナの頭にそっと手を置いた。

「そうだよ。……でもあのメガネは潰す」

……執念を胸に宿して」

「みんな……分かったよ……」

ミライは顔を上げる。

「分かったんだ。一体どんな感じ?(あのメガネ本当に潰す)」

「えーと……」




その頃、あの四人は……

突如森の奥の淵に建って早数日、例の城の最上部にあるテラスに集まっていた。

そこでやみは、重大そうな発表をする。

「みんな、この城は実は動くの!」

「ええええぇぇぇぇぇぇぇ!?!?」

ももかとゆめは、目玉がビョーーン!!と飛び出て盛大に驚いていた。

一方で、りんたは安定の冷静さを見せている。

「別に驚くことじゃないだろ。やみがエキセントリックなのは今に始まったことじゃない」

「にーぱっ」

やみはステキナペンを一振りする。すると床から、小さなドーム型の小屋がめきめきと生えてきた。

「みんな中に入るのー」

やみは楽しそうな様子でドアを開けて中に入る。他のメンバーも続けて小屋に入った。

「凄い……」

中は操縦室になっており、前方には沢山の操縦レバーやスイッチ、城の周囲を見渡す事が出来るモニターが装備されている。シートは高級ソファのようにしっかりとした皮で出来ており、まるで絶叫マシンのような身体をガッチリと固定できる上げ下ろし式の安全レバーがついている。

三人はそのクオリティに、ただ関心するばかりだった。

「これがあればきっと、あの厨二病どもをやっつけられること間違い無しなのー!にぱぁーっ!」

やみはすっかり張り切っていた。無邪気な子供ながらも、その背中はあとの三人にとって頼もしいものであった。

「操縦はりんたに任せるの!!ピンクどもは後ろに乗るの」

四人は席につき、安全レバーで身体を固定した。

「にぱ。準備はいいー?」

やみは、怪しげなボタンを手に持ちながらにこにこしている。

「ちょっ……それって……」

「フラグめう!フラグめう!」

まさかの展開を危惧するゆめとももか。しかし、やみはそれを無視するかのようにボタンを押す。

「にぱっと」

ウィーン……エンジンが起動する音が辺りに鳴り響く。

「うわぁぁぁああああああああ!!!」

エンジンは、轟音を立てながら急発進。突然のしかかる重力と共に空を駆けるのであった。



そして闇咲邸。

「…………こっちに今向かってきてる……!」

ミライは震えていた。

「えっ」

三人は、ミライの顔をガン見した。この事態にはレナの涙も一気に引く。

「あと5秒くらい……4…………3…………」

ミライの涙と恐怖のカウントダウンが始まった。

「どうするの!?ああっ……!」

レイナはすっかりパニック状態だ。

「落ち着け!どうなるか分からないけど……行くよ」

ユウリは、レイナの手を強く握った。

「2…………1…………」

二人、いや四人は手を取り合って強く念じる。

すると辺りは、パッと閃光に包まれた。



《会議中なのに突如襲われそうになった闇咲邸。Yamisaki Cloverが予想だにしないペースでお話は進んでいく》

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