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箱庭ぱらだいす! Hakoniwa Paradise -“Arcadia” of graffiti-  作者: Saku†Project -ParadoX-
理想郷の統治者と侵略者編
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・理想郷の統治者と侵略者編ー1.理想郷の統治者

「くそっ……!」

レイナは、追い詰められていた。赤い荊棘の花が咲き誇るはずの、自分の闇夜の世界の中で。

背後には崖。その下には、枯れたイバラの代わりに人喰い花が棲み着いており、食物に期待しているように口をパクパクさせている。

飛ぼうにも自らの羽は撃たれてボロボロになり、力も無くし飛べそうには無い。

「これで終わりのようだねぇ?」

目の前には、マシンガンを突きつけながら凶悪な笑みを浮かべるりんたがいる。

「やめろ……私の世界を壊そうものなら!」

レイナは、手に持っていた杖槍を構えた。

「おやおや、俺たちをいきなり襲ってきて遥か彼方へと投げ捨てようとしたのはどう説明するのかな?」

りんたは、銃口をレイナの胸に突きつけ、引き金に指を当てた。

「それは……!」

「分かっていたなら、止めることも出来なかったのー?」

溶けたやみがレイナの足元にまとわりつき、力をどんどん吸い取っていく。

レイナは急激に力が抜け、その場に倒れこんで動かなくなった。

「にぱ……」

やみは、レイナから気力を吸い尽くすと離れる。そして、その哀れな姿を見つめる。

「おやおや、それで統治者というのか。おかしな話だな」

りんたはそこへ無慈悲にも銃をぶっ放した。レイナは、赤い血を花のように咲かせながら、崖の下へと落ちていくのであった…………




「はっ!?」

気がつくと、レイナは自らの部屋のベッドの上にいた。

彼女の部屋は、黒を基調としたゴシックな雰囲気の家具でまとめられていた。ダマスク柄の布団が敷かれた天蓋つきのベッド、黒や紫色のクリスタルが輝くシャンデリア、黒地にバラ模様が浮かび上がるラグなど、壁には自分と妹が描かれた額縁など、アンティーク家具が並ぶ闇咲邸の中でも特に耽美的な雰囲気が漂っている。

「夢だったか……」

レイナは、さっきのが夢だと分かりほっとため息をついた。

窓から見える空は今日も青々としている。

レイナは、ゆっくりとベッドから起き上がると窓辺へと向かった。

窓を開け、外を眺めると広い庭園をはじめ、豊かな自然が広がる。また、空には雲が浮かび、ゆっくりと穏やかに流れている。

心地よい風と暖かい日差しが入ってくる窓辺。レイナがまどろみそうになっていた、その時。

「おねーちゃん!!」

突然、レナの声がしたと思ったら、レイナの身体は後ろに引き寄せられるではないか。

「うわっ!?」

レイナは驚き、とっさに後ろを向いた。

するとレナが、レイナにしっかりと抱きついて密着していたのである。

「やっと起きてくれた……。心配したんだよぉ……」

レナは、嬉しさと安心感から猫なで声になっていた。

「レナ……」

それを薄々察するレイナ。これ以上は何一つ言わずにそっと、妹の頭を撫でる。

そういえば、こうやって二人で身を寄せ合うのは久しぶりだね。レイナとレナは、共にそう思いつつお互いの肌のふれあいに癒されていた。

そうしてまどろむような時間は、静かに過ぎるのであった。

「あ、いけない」

突然、レナが用事を思い出して立ち上がった。

「そーいえば。全員揃い次第、緊急会議を行うんだったんだ」

「緊急会議?」

まだ目覚めたばかりのレイナは、突然の予定に首をかしげ、頭上にクエスチョンマークを浮かべている。

レナは、会議の内容をレイナに伝える。

「おねーちゃんとユウリを骨抜きにした変態メガネ達のことよ。二人が目覚めたら、危険人物と認定してどう対処するか、考えてたんだから」

「あぁ……あいつらの事か……。でもあれ、ユウリがコソドロなんてするから……」

レイナは、あの時争いの元になった経緯を話す。

それに対してレナは、こう返してきた。

「ユウリは、『コロリル茸があったから取ったら、あいつらがいきなり横から襲いかかってきた』なんて言ってるよ?」

「え?」

レイナは、レナがユウリから聞いた話に耳を疑った。

そして自らが見た事実をもう一度レナに言った上で、こうたずねた。

「でも、事の発端がユウリのコソドロが原因なのは本当だよ。ユウリは反省してないの?」

それに対しレナは、あっさりと答える。

「いつも通りだったよ。まぁ、ユウリが嘘をついてたとしても、いつ何どき、おねーちゃんがまたやられるか分からないもん」

「ありがと」

レイナは微笑んで、レナの頭を優しく撫でる。

窓から入ってくる風は、二人の髪をそっと揺らす。

そんな穏やかな時間がゆっくりと流れていた。

「二人とも何してるの?」

「はっ」

ふと声がして現実に戻ると、二人のど真ん中にはユウリがいた。

「ラブラブするのはいいけど会議するんじゃなかったっけ?」

「そうだよっ。おねーちゃん起きてくれてよかったね!」

レナは、見られたのがよっぽど恥ずかしかったのか顔を真っ赤にしていた。

「……本当に良かったね」

ユウリは目をうるわせ、にこやかにそう言った。

その笑顔の裏は、あのまま自分は何も出来ずにレイナが殺されるところを、拘束されたままだったとはいえ、見届けてしまうことになったかもしれなかった。そして、彼女は本当に魂を抜かれてしまうかもしれなかったことを考えると、怖かったという思いからのものだった。

「ユウリも無事で良かった……」

それは、レイナも同じような感情を抱いていた。

レナは二人の肩をぽん、と叩く。

「二人とも本当に良かった。あ、会議するんだったね。おねーちゃんが復活した所で、“Yamisaki Clover”緊急会議だねっ」

「うん!」



《レイナ達改めYamisaki Cloverがついに動き出す……

レイナとユウリにそれなりの傷跡を残したみたいだけど、これからどうなるのかなぁ……フフフ》

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