002. 纏は前線に出る
装備よし、有線よし、異空間中継機よし、ドローンよし。
配信開始。
「あー あー 聞こえてるかな?」
纏はスマホに表示される配信画面を確認し、配信が正常に行われていることを確認した。
「ダンジョンコネクトの皆さん、こんにちは 異空間対策特殊公務員 花陰纏です。
僕たち、通称ダンジョンガードの任務が今日から始まります。
僕が担当するのは、福島県県北部に存在する第1級から3級までの合計3個の異空間です。
現在いるのは第1級159番異空間です。ご覧の通り、異空間周辺は対魔部によって包囲されており、なかにはいるのは、僕一人となります。
今回は、異空間内部へと有線でダンジョン中継機を設置接続後、内部モンスターの間引きに入ります。
それでは、任務開始します。」
異空間中継機を載せたコンテナを、異空間へと押し込んでいく。
ーぬぷり。
異空間にはいると、そこは洞窟の中だった。
「まずは、異空間中継機を展開します。」
中継機を展開し、シグナルを確認する。
ー正常。
次は、配信の方だね。
「配信状況は問題ないかな?」
対魔部後方支援部:シグナル良好 問題ないです
「支援部、ありがとうございます。
それでは、周辺状況の確認および魔物の間引きに入ります。」
対魔部先遣隊の情報では、このダンジョンは洞窟型。第1級ということもあり、スライムしか出現しない可能性が高い。先遣隊の情報を確かめるのも任務のうちである。
慎重にダンジョン内部を進む。頑丈に作られたランタンと体のいたるところにつけられたライトが、洞窟の壁を照らす。
「あ、前の方からスライムがやってきました。
このスライムはアルファ型ですね。もっともオーソドックスなもので、ゼリー状の水風船です。中心には球体に近い魔核があり、その周辺が弱点です。
スライムの表面皮は伸縮性があり、フィルムやコーティング材として研究開発が進められています。
そのため、1点突破で魔核を傷つけずその周辺を壊すことが、討伐方法として推奨されています。」
スライムに向かって走り出し、刀をスライムに突き刺す。刀の切っ先が魔核の横を通り過ぎすぎ、スライムの形状が崩れた。ゼリーだったものがジェル状に変化する。
内部がこぼれないように刀を抜き戻す。スライムの体内液であるジェルが刀にへばりついてきた。一閃して、ジェルを飛ばす。
「これで討伐完了です。
内部のジェルは壁付近に出して、魔核と表面皮を回収します」
あと何回か探索して、スライムを討伐すれば、ここでの任務は終わりだ。
「こんな感じで続けていきますね」
★☆★☆★
:こんにちわ
探索中、ドローンがコメントを読み上げた。
「お、初コメありがとうございます。 こんにちわ」
:拳銃使わないの?
「スライム相手には十分有効ですが、それ以外には有効打にならないので、訓練も兼ねて刀を使ってます。」
:がんば
「ありがとうございます」
★☆★☆★
いくつか冷やかしのリスナーが来たが、問題なく本日の任務を終了した。
「お疲れさまです」
異空間を包囲する対魔部警備部のかたが挨拶してきた。
「お疲れさまです」
「配信良かったですよ」
「そうですか。ありがとうございます」
目礼した。
「しかし、こんな散発とした間引きで大丈夫なんでしょうか? ダンジョンといえば、ダンジョンコアみたいなのがあって攻略する〜!みたいな感じだと思うんですけどねー」
どうやらこの人は、そういう系に精通してるらしい。この3年間みっちり訓練漬けだったから、そういうゲームとかは疎遠だったのだ。
「どうなんでしょうね•••」
「人口に比例した異空間が発生するのも何か意図を感じますよね!」
そうだ。異空間は人類の生活圏に出現し、その地域の人口に比例した大きさであった。そのため、都心部に対魔部の主戦力が集中し、手薄になりつつあった地方部の異空間に僕らが配属されたのである。
「あっ すいません! お疲れですよね。自分はこれで。 何かあれば声かけてください!」
警備事務所で一息ついたあと、提携先ホテルに戻った。
明日は移動日で、明後日が第2級11番異空間だ。




