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明日は夏休みだな。宿題をしたらのんびり過ごしたいな。なんか、話によると本宅でサーマーパティーとか今年も催すらしいけど私には関係ないよね。毎回、催し物があるとお母さんとか母さんとかに拉致られて本宅に行くけど、そのあと必ずと言っていいほど体調崩すから本宅は鬼門なんだよね。今年も近くなったら拉致られるだろうからその前後はどこかにこもろうかな。いい感じに採取の依頼とか受けて・・・・
と思っていた私は甘かった。目を覚ましたらうっすら見覚えがある天井が見える。しかも、横を見ると薄いレースのカーテンが・・・
「なんで本宅?」ゆっくりと体を横にしてから起き上がりレースのカーテン越しに部屋を見渡すと本宅に用意されている私の部屋だ。よく体調を崩すため直射日光に当たらないように薄手のレースの天蓋がベッドを覆い安心して夜に寝れるように配慮された厚手のカーテンが開けられベッドの四隅にくくりつけられている。いわゆるお姫様ベッドだが、ベッドの天井からは点滴がかけられるようになっている飾りとかベッドの枕元にある小物入れには各種くすりと体温計それに、何かあった時用の呼び出しベルが収納されている看護用ベッド使用になっている。初めて部屋に入ってこのベットの装飾品を見ていろいろ使えるんだなと寿一さんがニヤリと見たことがない顔で呟いていたのが印象的なベッド。確か、あの時も風邪を引いて安静にしてなさいと押し込められていた時だったな。懐かしいと思い出しながらぼーっとしていると
そろそろ起きる時間だろうとノックしたのちに入ってきた母さん。それと後ろに付いて来ているのは本宅に常駐しているお婆。私が起きているのを見て微笑みながらベッドの天蓋を開けて中に入ってくる。
「体調は?」と聞いてくる母さんと脈と熱をおもむろに測ってくれているお婆。そこまで慎重にならなくてもいいような気がするんですけど。と脈を図ってくれているお婆を見て首を傾げる私を見て
「寿一君がね。美弥を夜中に連れてきたのよ。なんでも、夏休みになったらこちらのお宅で過ごすことになっているからって言って。体調が悪くなると困るからって言ってなんでもなさそうなのにあれもつけていたし」そういいながらベッドの四隅に設置してある魔石を指す。ベッドの四隅には魔石がはめ込まれるように細工されていて体調が悪い時にはその時の症状に合わせた魔石を置いて回復の促進とベッド内の環境をコントロールしていることがある。そもそも天蓋自体に体調を崩さないようにする刺繍が施されているので、体調を崩してもゆっくり寝ていれば天蓋に施されている刺繍の効果によって緩やかに回復するようになっているので、魔石を設置することなんて生まれた時や幼少期に風邪をひいて高熱が出たぐらいだ。
「そこまで心配しなくても。天蓋だけでもいいのに」過保護だな。そう思っている体温と脈を測定し終えたお婆が
「美弥様は一度倒れかけましたからな。心配しすぎるのは悪くわないと思いますぞ。それに、昨晩は寝ている美弥様に無体なことを仕掛けようとした馬鹿者もいたようですので」カラカラ笑いながら言われても、無体ってなんですか?暴行しそうな人が入らないように戸締りはきっちりしてましたけど・・・
「そうだな。いろいろと作れる美弥を無理やり娶ろうとした馬鹿がいたな」いつの間にか入室していた父さんが怖いことを言っている。無理やり娶るとかなんですか?ってかいろいろ作るれるって何の話ですか?私が出来ることなんてポーション作成と詠唱くらいですよ。あと付加魔法ぐらいで戦闘だって自分を守るくらいだしと両親の話を聞いて疑問に思っている私を見て二人とも困った顔をしないでください。
「本人の無自覚どうするべきかは後からにしておいて。体調が悪くないなら会議に連れて行きたいんだが、大丈夫か」お婆に外出ができるから聞いている父さん。そこまでしなくても学校に通っているのだから外出くらいできる。個人的には会議とか胃が痛くなりそうなところには行きたくないんですけどね。できれば、図書室とか採取場所とかに行って好きなことをしたいんだけど。
「半日ほどは大丈夫ですが、会議に出席させるとなれば2時間が限度ですぞ」そう許可を出しているお婆。半日って一日くらいは外で活動できるんですけど私。30分ほどお昼寝したら午後からでも全力で活動できるからね。その前に父さんや。会議に出るのは決定事項なんですか?
色々突っ込みを入れたいことが沢山あるんだけど、まずはどうなっているのか説明をして欲しい。困った顔をしている私を見て。
「そうだな。お前には説明していなかったな」私に説明していないことを思い出したのか、説明してくれる父
「という事だ」どうだ理解できたか?と驚いた顔の私を面白そうな顔で見て聞いてくる
「いや。かなり混乱しているから。寿一さんと私たち兄妹とは血がつながって無いとかどういう事ですか。他の兄妹には兄とか姉とかつけろと言われるのにお母さんに寿一さんを紹介されたとき、名前で呼べと。様とかさんとかなしでと言われてたような気がするんですけど。あの時、私小学校だったはず。時々スゲー甘い顔とか声とかで呼ばれているんですけど。てっきりシスコンの過保護だと思っていたのは間違えだったんですか!!つか、いくら権力を得るためにとかいうけどバツイチ?のお母さんとか結構面食いですか父さん」
「言いたいことはそれだけか?かなり驚いているようだな。ま、今日の会議でもっと驚くことになるだろうから今はそのくらいにして、朝食にしようか」説明終了。とばかりに部屋を出る父さんを見てまだ驚くことがあるのかよ!!やさぐれながら見送り着替えをすることにした。
会議というからには、会社に連れていかれると思っていたので言われるままに父さんについてきたのだが、付いた先が予想外の場所で現在驚いてます。
場所は、お母さんの実家で結構な力を持って広く顔を利かせているお宅の応接間。対面しているのは、優しい顔なのに何か腹黒い顔をしているおじ様。というか、このお宅の玄党首であるお母さんのお兄さんです。私の顔を見るなり渋い顔になるのはやめてくださいな。
「で、この子が例の?」わかっているけど一応聞いているみたいな感じで父さんに確認している
「そうです。どうでしょか?」何がどうでしょかなんでしょか?できれば、私にもわかるように主語をつけて話してください。うちの悪い癖ですよね。主語なしの会話。わかりあっている中で共通の話をぼかしたい時に使っているのはわかるんですけど。
わかったところで面倒な事柄でしかない事なのは、この会話を聞いていればわかりますが・・・・
わけがわからないっと言った顔をしながら庭を鑑賞している私の顔を見ながら何やら詰めの会話をしているおっさんたちを放置しつつ。夏休みの計画を練っている私に話しかけてきたのは、おじ様の方
「で、美弥さんだったよね。君はこの件をどう思う?」
「どの件の事を言っているのでしょうか?私は会議があるからと言われて説明されずに来たんですよ。朝に聞いた話だと、寿一さんと血縁関係はないという事だけでしょうか」良く分からん。と言っている私を見てから父さんの方を見ているおじ様
「そういえば、説明していなかったな。寿一はこの家の次期当主となることが決まってな。婚約者を決めないといけなくなったんだ。家に見合った地位を持っていて寿一が好いている人物が一番いい。それで寿一に聞いてみたらお前がいいと言ってな」そういいながら少し困った顔をして言っている父さんと同意しているおじ様。
「そういわれても、私は兄妹愛しかないですよ。結構、甘やかされている感じはしていましたが。何歳離れているとお思いで?」そうなんですよ。私と寿一さんは12歳ほど離れているし、つり合いが取れるかというと微妙な感じの線。できれば、何かあった時用にどこぞ家の豪商から娶ってほしい所である。父さんみたいに第2夫人を持つこともできるけどね。
「私もそういう旨を伝えたんだが」困り気味のおじ様。いい男って困ってもいい男なんですね。顔だけなんですけど。種類の違ういい男の父さんも困っている。てか、かわいい系とわ言わないが、結構つくりがいいお母さんとワイルド系の父さんの子供なのに美形にならなかったのは隔世遺伝のせいでしょうか?母方のおばあちゃんの家系の特徴が出ている私は普通顔です。
「本人がこれでないと嫌だと言っている。子供ができて必要があれば、もう一人娶らせればいいのでは?そこまで深く考えない方がいいと現時点では」とかなんとか言った後に連れてこられた部屋ではすでに待機している寿一さんと他の重鎮の面々。
私を見てふんわりと嬉しそうに微笑んで席までエスコートしてくれるのはうれしいのですが、なんで膝の上に座らせるのでしょうか?
「体調がいいみたいだね。昨晩は、かなり顔色が悪かったから熱でも出ないかと心配したんだよ」そういいながらホールドした体が逃げ出さないように絶妙な力加減で捕まえないでください。いたたまれない
「心配してくれてありがとうございます?あんなにしなくても、寝ていれば治りましたよ」魔石は要らなかったよと伝えるが、知らない人は何を言っているのかわからないだろうが、ちょっと調子が悪いだけなのに点滴用意しました。あれなら集中治療室に入れますね。的なことをしてくれたのだこの人は。
「その言い方は気に食わないな。いつものように砕けた感じで話してもいいんだよ。誰も君に苦情は言わないから」言いながら頬を手のひら全体でなでなでしないで欲しい。そのまま食べられそうで怖いです。いろんな意味で
私が、露骨に表現してきた寿一さんの反応に困っているのを見てさすがだとかこれならばとか言っている重役さんたち。私にもわかるように説明してください。
他の人の声を聴いている私が気に食わないのか甘い声で私に声をかけて注意を引く寿一さん
「どうした。知らない人がいるのが気になるのかい?」そういわれたので説明求という感じで頷くと
「そうだよね。人見知りのお前ならそうなるだろうね。ここの重役たちだよ。今日は私と美弥の婚約について朝から話し合っていたんだが、本人を知らずに討論するのはどうしたものかと思ってね。事前に調子が良かった連れてきてお願いしてたんだ」今日来た経緯を教えてもらったが、そもそも婚約ってなんですか?昨日まで、お見合い用の写真とか書類とかどさっと持ってきてましたよね?
「いきなりな感じがしてびっくりしているのだろうけど。私的には結構前から君を婚約者にと打診していたんだけどね。体調とか功績とか年とかいろいろなことで却下されてきたんだ。けど、今回の布製品で結構評価が上がって許可が下りたんだよ。だから、婚約者選びなんてしなくてもいいし頑張って自立の道を考えなくてもいいんだよ」そういって口を落としてくる。いつもの戯れのようなものではなくガッツリのキスを。
公衆の面前でガッツリ系のキスをされて、恥ずかしいやら酸欠やらでぐったりしているのを私を抱きしめながら下唇にさらにキスをくれる寿一さん。それを見て何とも言えない声が上がっている重役たち。
「ま、そういう事なんで。変なことを仕掛けてこなければ目をつむりたいと思っているんですよ。お願いしますね」そういって私を抱いたまま会議をしていた部屋を出てどこかへ向かって歩いている寿一さん
「美弥はびっくりしたね。でも、大丈夫。これでゆっくりできる。学校も一応卒業させてあげるからこれからは、ここで生活するんだよ」いまだぐったりしている私に嬉しそうに話しかけて連れていかれたのは本家と寸分たがわず配置されている家具がある一室。
「今からここで生活するんだよ。読みたい本や行きたい場所があるなら。私に声をかけてくれればいいし。私がいないときは、少し我慢するんだよ。周りも、美弥も慣れるまでは危ないからね」そういいながらベッドに横たわらせてくれる。
「本当はこのまま抱いてしま居たけど。そうもいかないからね。おとなしく寝ているんだよ」と名残惜しそうに体を離してから薄手のカーテンをかけて出ていく寿一さん。こんな子供のどこがいいのかわからないが、いきなりの事で混乱しすぎてベッドの誘惑に勝てなかった。




