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半年後に死ぬらしい俺の家に、ポンコツ悪魔が営業に来た  作者: 友利色良


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煉獄ってどんなとこ?


 まず髪が紺色になった。

 そして背中には黒く俺の身長ぐらいの翼が生えた。

 さっきまでの黒い目が、今は赤く光っている。


「そなたの意識下にある悪魔に対するイメージを形にした」


「あぁ……確かにこんなイメージだったな。えぇと、ありがとうございます、かな?」


「気に入ったようだな……それは良かった。でだ。そうそう! 四人共! まぁここからが本題なのだが」


「はい?」


 ルシファーが改まって机に向いて座り直した。そんなルシファーの姿勢に。


「はぁ……やっぱりか……」


「絶対に何かあると思いましたよ……あまりに気前がいい」


 ファウストとベルクが肩を落とす。


「そう項垂うなだれるな。お前達にとっても悪い話ではない。皆、そのままでいいから聞いてくれ。ちょっと煉獄についての噂が聞こえてきてな」


「噂……ですか?」


「うむ。と、その前に煉獄について話しておこうか。この話はちちと大天使、それに魔界の実力者達しか知らぬ。いいか、煉獄とはーーー」


 そうルシファーが切り出した。

 細かい箇所は割愛して、ざっくりと話した。


 煉獄。

 

 そこは魔界と天界の中間、みたいな場所。

 魂となった者は天国か地獄に行くか決まるのだそう。

 だけども。

 魔界の地獄か、至高界の天国に行かせるか、決定打が無い死者(人間や天使、悪魔。はては魔獣など全てを含む)しかし、こじれた生活をしてきた者は異界送りにするのが通例になったらしい。

 

 その異界送りの先が煉獄だそうだ。


 人間界でいうところの島流しだね。

 

 異界といっても、そこには先住民もいて普通に生活しているとのこと。

 一旦、肉体を再生してまた魂をいれて煉獄直行。


 先住民からすればかなり迷惑な話といえる。


 よう分からん奴らが一方的にうじゃうじゃ送られてくるもんだから、そりゃ争い事も当初は絶えなかった。


 そこで、天界、魔界から使者を送り、長い年月の話し合いの末、とりあえず最低限の秩序をしいた。


 ただ、そんな場所なので、統治者トップがいないのだそう。


 え。統治するならじゃあ先住民でいいんじゃね? 

 と俺は思ったんだけども、なんせ、相手は内面をちょっとこじらせた、天使だの悪魔だの、または人間だの魔獣だのという事で、一筋なわではいかなかった。


 要するに、コイツら……全然言う事聞かねぇ……。


 と、使者や先住民、取り締まり側が頭を抱える始末。


 だったら、完全な民主主義をもって不文律のみで、過ごさせようと、なんとなくそう決まった、と。


 その後、『う〜ん……コイツはもういいかな……』と、チョイスした魂を綺麗さっぱりオーバーホールをして、輪廻に戻す。


 そんなプチ罪人な魂の、更生プログラム機関が煉獄だという事らしい。


 黙って聞いていた婆ちゃんが、口を開いた。


「つまり……遠島の留置所かい」


「いや、人間界の留置所などよりもっとゆるい。まぁ……後は、実際に見て貰えば分かるだろうが、その煉獄でだ……」


 ルシファーが微妙に間をおいて。


「魔界、そして天界に反乱を企てている派閥が出来上がっているそうなのだ」


「……反乱?」


 ファウストとベルクが『はて?』と、首を傾げる。


「反乱とおっしゃいましても……煉獄から魔界、天界と行き来するのは容易ではないのでしょう?」


「そうだ……と言いきりたいが、実はそうでもない」


「「?」」


「さっきの話にあった、使者の存在だ。この者達は今もなお、監視役として、天界魔界の両界からいまだに送られている。その者達が使うテレポートの手段を使えば……」


「簡単に行き来できてしまう、と」


「うむ。しかしながら、天界魔界も当然、使者は危険が伴うという事は分かり切っていた。だから、かなりの腕利き連中を送っている。が、それがどうにも使者の中にだな……」


「内通者……ですか?」


 ベルクが訊くとルシファーが大きく頷く。


「そうなのだ。天界側か魔界側か……あるいは両方ともに内通者がいるのか……全く尻尾を掴ませぬ」


 また婆ちゃんが言う。


「その派閥にゃ、トップがいるんだね。だから足並みが揃うんじゃないかい?」


「私もそう思う。だが……情け無いがそれも掴んでいない。情報も内通者がいるなら信ぴょう性に欠ける。そこでそなた達にだな……」


 ルシファーが言いかけるのを、ファウストが食い気味に回答を出した。


「我々に反乱を食い止めよと」


 そう訊くと、ルシファーがまた不敵にニヤッと笑い。


「そんなつまらん事は言わん」


「「「え?」」」


 俺とファウスト、ベルクがハモる。

 一人、婆ちゃんはどこ吹く風と、自分で淹れたお茶をすすっている。


「その派閥をそなた達で奪い取れ! そして、煉獄を統治せよ」


「…………………」


「…………………」

 

「……………………………はい?」

 

 またファウストとベルクと俺が唖然となる。

 ちょ……何言ってんのこの人。


「どうだ? なかなか素敵だろう?」


「あの……分かりません。なぜ私達が……」


 ベルクが何とか我に返り、質問を投げた。


「ファウストは特にだが、ベルクも魔界から離れていただろう?」


 その問いかけにベルクが「はい……まぁ……」と気を抜いた返答をした後、「……あ!」と、何かに気づいた様子で。


「分かりました。我々は煉獄と関係性がない。なので内通者ではない、と」


「うむ。まぁ……そうなのだ……。正直言って他の連中は……反乱なんて言葉を聞いたらウズウズしそうな連中が多い。この国で言う……その、アレだ」


「……厨二」


 と、俺が言うと。


「そう、それだ。他のあの連中ときたら、煉獄の反乱軍側に参加しかねんからな……」


 そうルシファーは嫌にリアルなため息をついた。

 えぇ、分かりますとも。

 この世界だって、ロケット花火みたいにミサイルをパッカンパッカンぶっ放す、かまって欲しそうな人がいたりね。世界中でいろ〜んなお偉いさんが結構、厨二な事を言ってるから。

 

 ちょっと嫌な空気が部屋を満たす。

 そんな時。

 楽しそうに笑い始めた人が一人。


 ウチの婆ちゃんだ。


「フフフ……気に入ったよ。初仕事が実効支配かい。いいよその話乗った」


 そんな返事をする。

 おいおい婆ちゃん……。

 若返って発想が過激になってやしないか。


「そうか。ちなみにだが、先住民達とは争わないでくれ。あちら側に手を出せばややこしい事になる」


「分かった」


 俺以外の三人が深く頷く……。

 あの、俺に決定権はないの……?

 ないよね。

 うん、知ってた。


「うむ。そうだ、それともう一つ」


「は?」


「至高界から一人。連れて行ってもらう」


「はい? えと……天使ですか?」


「そうだ。魔界側だけが仕事をさせるのは平等ではない、と、ちちがそう言い出してな。今、呼ぶから……」


「今……? 今って、ここに!?」


「うむ。どうだ!? 聞いていたか? ガブリエル!」


「「「え………………!?」」」


 ルシファーが天を仰いで召喚よぶ

 ……マジか?

 

 連れて行くのって、大天使かよ!!



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