「12月、この月だから?」13.結果いろいろ
続いて、いくつか聞いたり話したり決めたり。
今は、新たに来室したメンバーによって、スノードームの状態チェックがおこなわれたところだ。
栞がバッグに入れて持ってきていたスノードーム。今は長テーブル上にある。
スノードームは、スノードームンの本体という位置づけなのだそう。
スノードームンとして行動している七人は、精神体で珠水村に行き、今は、一時宿りの物である七色のトナカイたちにそれぞれ入っている、とのこと。
スノードームンが珠水村にいるときに、詳しい鑑定のほうは済んでいる。
状態チェックのほうは、今回、本体であるスノードームに対してや、精神体が本体に戻った状態でも、おこなうことになっている。
本体をチェックした結果、精神体が戻るのに支障のある状態ではないという。
スノードームン七人は、いったんスノードーム内に戻ることになった。
〈リースさん『じゃあレッツゴー!』〉
戻り始めたようだが、栞の目には、特になにか起きているようには見えない。
けれど気配が、七色のトナカイたちからスノードームのほうに、少し時間をかけて移動していったことは感じた。
(あっ)
スノードーム内で、物たちが動き始めた。
これは栞にも見える。
トナカイとソリが少し前進する。
サンタが右手を動かす。
ツリーの星がキラッと光る。
リースが家のドアにかかったまま、ぐるんとすばやく一回転。
家が煙突を使って、会釈のような仕草。
雪だるまがマフラーの先を少し揺らした。
(わ……みんな、いろいろ……。初めて見た動きも多いし)
栞は驚きつつ見つめ、思わず微笑んだ。
栞の耳には、無音。けれど感じる雰囲気は、にぎやかだ。
精神体が本体にいる状況下で再度状態チェックがおこなわれ、結果、現時点では特に問題ないとのこと。
状態チェック担当のメンバーは、ひとまずここで退室だそう。お礼を言ってお辞儀をした栞たちに挨拶を返してから、部屋を出ていった。
ドアが閉まってから、月乃が栞とおとなりさんを見て口を開く。
「スノードームンさんが本体にいらっしゃる状態でも、三ネコは声を聞くことができるとのことです。お二人は、どうでしょう。スノードームンさんの精神体が見えたり、声が聞こえたりはしましたか? 栞さん、おとなりさんの順で、お願いします」
スノードームンが本体に戻る際、一時宿りの物から出てすぐにスノードームに入るのではなく、移動時に、精神体の姿の時間があるようにしてもらう。
精神体の姿のときに、声も出してもらう。
そしてスノードーム内に戻ったら、また声を出してもらう。
栞とおとなりさんは、精神体が見えるか、声が聞こえるか確かめる。
月乃と三ネコはすでに、精神体が見えること、精神体のときにも三ネコは声を聞くことができることは確認済みなので、スノードームンが本体にいる状態で声が聞こえるかを確かめる。
そういうことになっていた。
「私は……精神体は見えませんでしたし、声も聞こえませんでした」
「私も同じです」
「お答えくださり、ありがとうございます。では次に、機械を通した場合はどうか、試させていただきます。みなさんご協力お願いします」
〈スノードームンさん『はい!』〉
試すということについて、説明は、すでに聞いている。
栞とおとなりさんも、そろって、はいと返事をした。
通話時にスノードームンの声が聞こえるか、録画や録音をしてみた場合はどうか。
本体にいるとき、精神体のとき、一時宿りの物にいるとき。
それぞれの状態で試してみる。
結果。
機械を通すと、栞やおとなりさんや月乃だけでなく、三ネコにも声は聞こえなかった。
また、声を記録することはできなかった。
あわせて試したが、精神体の姿を、機械を通して見ることも記録することもできなかった。
わりとそういう結果になることが多い、けれど一応念のため試してみる。
あらかじめそう聞いていたので、結果を受けて栞の心が大きく揺れることはなかった。
ローテーブルのほうに行った月乃が、紙のような物を手にして長テーブルのほうに戻ってくる。
「面談中、スノードーム内と一時宿りの物内、お好きなほうに。全員が同じほうにいなくても大丈夫ですから。それと一応、文字の紙、置いておいてみますね。ほかの紙やタブレットの使用も、いつでも言ってください」
月乃はスノードームに向かって言ってから、長テーブル上に紙を一枚置き、椅子に座る。
A4サイズより大きいように思えるその紙には、ひらがなの表と、はい、いいえ、いくつかの記号、0から9の数字。
月乃の説明によると、カタカナや何種類かの記号やいくつかの漢字を並べたり、使用頻度の高い言葉を並べたりという感じに、いろいろな種類の紙が用意できるらしい。
それに、タッチペンを使って、スノードームンもタブレットを使ってみることができたとのこと。
(あっ)
緑のトナカイが動き、紙の上に向かう。
(えっと……)
「い、ま、は」
一つの字の上に行き一回跳ね、という緑のトナカイの動きを追いつつ、栞は緑のトナカイが選んだ文字を声に出す。
さて次は、と栞が思ったところで、緑のトナカイが向かった先は、トキがキーボードのところにいるノートパソコンのそば。
そこで緑のトナカイがぴょんと一回跳ねたあと、少しして、栞のスマホの画面にも文が表示された。
〈リースさん『今はやっぱり、先に決めてたように、三ネコさんにお願いしたいかなって。紙もタブレットも、スムーズにやりとりするのはまだ難しいし、そちらは今後考えるってことで』〉
〈リースさん『と、ボクは思うんだけど、スノードームンみんなとしてはどう? 違う方針の場合は、どこか動かしてー』〉
スノードーム内も、七色のトナカイたちのほうも、動きはない。
〈リースさん『では、三ネコさん、お願いします!』〉
〈トキ『かしこまりました』〉
ヴァンとサーが会釈をし、姿勢を戻す。
〈リースさん『月乃さん、お気遣いありがとう! 月乃さん、栞さんおとなりさん、今回とりあえず、こういう方法のままで進めさせてもらっていいかな。あっ、紙は一応置いたままでお願いします。あと、今回は、ボクがメインで話をさせてもらうことになってます!』〉
三人とも頷き、この形で続けることに。
栞は気になっていることがあったので、訊いてみることにした。
「あの……スノードームンさんは、どういう声で話しているんでしょう」
「あ、私も知りたいです」
栞に続いて、おとなりさんが言う。
〈リースさん『声! どういう風に表現すればいいかな』〉
〈トキ『珠水村でのスノードームンさんとのことを記録した文に、まとめられたものがありますので、そちらを表示するのはどうでしょう。お見せできる部分の文ですから』〉
〈リースさん『スノードームンで反対の人は、なにか意思表示してー! ――いないので、そちらをよろしくです!』〉
〈トキ『かしこまりました』〉
〈トキ『では、表示します。表示順は、このとき自己紹介をしてくださった順です。名前は、今の呼び方に変えました』〉
「ありがとうございます」
栞はお礼を言ってから、スマホの画面に表示された文に目を向ける。
〈トナカイさん。しっかりとした発声の声〉
〈ソリさん。力の入った元気な声〉
〈サンタさん。太めながら優しい感じの声〉
〈ツリーさん。落ち着きと理性を感じさせる声〉
〈リースさん。高めで、エネルギーたっぷりという感じの声〉
〈家さん。ソフトな中に芯がしっかりありそうな声〉
〈雪だるまさん。涼やかながら親しみやすさも含んだ声〉
「ありがとうございます。三ネコさんの声についても、伺うことはできますか」
そう、隣から、おとなりさんの声。
「私もできれば伺いたいです」
今度は栞が続いて言った。
「それでしたら、三ネコの声を聞くことができるメンバーによる文がありますので、そちらを。名前は、私のほうで現在の名前にしてあります。必要に応じてお見せすることへの許可も得ています。どうぞ」
月乃が言い終えたあたりで、スマホの画面に文が表示された。
お礼を言うおとなりさんに合わせて、栞は会釈をして姿勢を戻し、文を読み始める。
〈サー。少年から青年くらい、若めの声。純粋で素直そうな感じ。どことなくノーブルな感じもある〉
〈トキ。青年から壮年くらいを思わせる声。少しかため、しっかりしている、という感じ〉
〈ヴァン。壮年からそれより上の年齢といった感じの声。ある程度の余裕を感じさせるとともに、行き届いた対応をしてくれそうな印象〉
文の形でではあるけれど、スノードームンと三ネコの声の感じを知ることができた。
表示される言葉に、彩りがプラスされた気がする。
お読みくださり、ありがとうございます。
次の投稿は、11/29(土)夕方~11/30(日)朝あたりを予定しています【2025年11/23(日)現在】
(状況によっては、それよりあとの、(土)夕方~(日)朝あたりになるかもしれません)
今後もどうぞよろしくお願いいたします。
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【改稿しました。よろしくお願いいたします】
〈2026年1/20(火)に改稿〉
A4サイズより大きいように思えるその紙には、ひらがなの表と、はい、いいえ、?、0から9の数字。
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A4サイズより大きいように思えるその紙には、ひらがなの表と、はい、いいえ、いくつかの記号、0から9の数字。




