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「2月、ながいすとらっぷな橋渡し」3.きさらぎの布・布・布話


 ではまずは、テイク貸衣装サービス利用時の、一着目の写真を引き続き見ましょう、ということで。


 花山はなやま家の、育生いくお、ゆかり、ラビィ、ゆな。

 畑中はたなか家の、さとし、さち、まそら。


 コトハの操作によって、両家族による集合写真が、丸テーブル上に置かれたタブレットの画面に表示された。


 なお、写真をテイクメンバーに見せるということに対して、畑中家の同意を得ているということは、すでに聞いている。


 向かって左にゆな、右にまそらと、二人で並んで立ち、後ろに、向かって左から育生、ゆかり、さち、聡と並んでいる。

 薄いピンク色のうさぎのぬいぐるみであるラビィは、ゆかりの腕の中。


 ラビィは、紺色のノースリーブワンピース風の服で、胸元にベージュの布ブローチ。

 ラビィが着ているのは、ぬいぐるみや人形用の貸衣装だ。


 育生とゆかりは、クラシカルな印象のベージュ基調のパンツスーツ。

 育生のほうのタイやポケットチーフ、ゆかりのほうのブラウスやコサージュは、紺色。


 ゆなは、紺色の長袖膝丈ワンピース。襟とカフス部分、前面に縦に三つ並んだボタンは、ベージュ。


 衣装は、育生と聡、ゆかりとさち、ゆなとまそらのものが、それぞれ似たつくりのようだが、使われている色が違う。

 ベージュの部分がグレー、紺の部分が深緑だ。


 家族ごとのまとまりも、両家族のつながりも、どちらも感じられる選び方だと優月ゆづきは思った。


 おもにコトハが操作し、両家族一緒に撮影した写真たちを、育生、ゆかり、ラビィ、コトハ、ちゃ、優月という、この部屋にいるみんなで見ていく。


 全員一緒に写りつつ、左右の立ち位置や並び方を変えたものが何枚かあり、そのあとは、いろいろな組み合わせで撮ったもの。


 ゆなとまそら。ラビィとゆなとまそら。

 育生とゆかり。聡とさち。育生とゆかりと聡とさち。

 育生とゆかりとラビィ。育生とゆかりとゆな。

 家族ごとに撮影したときにも撮ったが、再度、聡とさちとまそら。

 などなど。


「あ、次からは違う衣装で、着たのは、まそらちゃんとゆなとラビィです。俺たちは自分の服に戻って、三人を見たり撮影したり」

 次の写真に進みかけたところで育生が言う。


 同じスタジオ内での撮影だが、二着目は利用者が自分たちで撮影するコースとセットにしたとのこと。


 コトハの操作で二着目の写真へ。


 椅子に座ったラビィと、その後ろに立つ、ゆなとまそら。


 ゆなとまそらが着ているのは、シフォンドレスと呼ばれるものだろうか。

 ふわっとひらりと軽やか。華やかさも持ち、かわいい雰囲気もあり。


 ゆなが水色ベース、まそらが青緑ベース。それぞれアイボリーも使われている。

 そしてラビィは、薄めの黄色の、柔らか素材のドレス。


 ゆなやまそらが位置やポーズを変えたり、どちらかがラビィを抱っこしたり、二人で撮ったり一人で撮ったり、いろいろなパターンの写真がある。


 一着目に引き続き、こちらの衣装での写真も、楽しそうな雰囲気だ。


「次からは三着目です。写真はこれまでのより少なめですけど」

 ゆかりが説明する。


 コトハの操作で三着目の写真へ。


 ゆなとまそらが着ているのは、アンティークドレスといった雰囲気のもの。


 ゆなが着ているものにはベージュやワインレッドが、まそらが着ているものにはグレーやワインレッドが、おもに使われている。


 ラビィが着ているのも、アンティークドレスという印象を受けるものだ。

 深緑メインで、ワインレッドは布ブローチで取り入れている。


 こちらの衣装での撮影も楽しそうだ。


 写真が少ないのは、なにか問題があったからではなく予定どおりのこと。

 スタジオである程度撮影したあと、それぞれ移動して時間をすごすコースにしたからだ。


 ゆなとまそらは、二人の希望でドレスのまま図書館へ。


 ラビィもドレスを着たまま、育生とゆかりとともに、テイクメンバーのこうの案内で、結界内へ。


 物に精神が生じたモノであり、見聞きし、考え、話し、動くこともできるラビィ。

 ラビィはドレス姿で動くところを、育生とゆかりに見せた。


 そのあとラビィは結界内に残り、育生とゆかりは、受付センターで指定された番号の面談ルームへ。



 面談ルームに集まったのは、育生、ゆかり、聡、さち。


 そして、テイクメンバーが四人。


 そのうちの一人は、ラビィ関係の対応をおもにしている優月。

 あと三人のうちの二人は、聡、さち、それぞれへの対応を、おもにしているメンバー。

 そしてもう一人は、ゆなやまそらと接することが多いメンバー。


 短時間ではあるが、直接会っての、近況報告や情報交換、意見交換といった感じの集まりで、わりと頻繁に開催されている。


 開催日時によっては、同じ相手への対応を受け持つ、別のメンバーが参加することなどもある。

 育生かゆかりどちらかが参加、聡かさちどちらかが参加ということも。


 この集まりで話された内容は、参加した者たち以外にも伝えられる。

 もちろん、情報を共有しても問題ない、共有する必要がある者たちに、だが。



 実は、聡とさちは、どちらも超常的な能力を持っていて、テイクともその方面で関わりがある。


 ラビィの持ち主である育生とゆかりも、超常的な能力を持つ聡とさちも、超常面でテイクと長く関わっていく予定の者たちだ。


 ゆなとまそらを通して親たちは出会い、仲よくなっていく過程で、それぞれの担当メンバーたちとも相談しながら、相手に事情を明かしていった。


 そのため、育生とゆかりは聡とさち側の事情を、聡とさちは育生とゆかり側の事情を知っている。


 ラビィは、聡とさちに事情を話すことに同意したし、聡とさちがラビィがどういう存在であるか聞いていると知っている。


 聡とさちも、ラビィに自分たちの事情が育生とゆかり経由で伝わることに対して同意したし、伝わったことを知っている。



 花山家と畑中家、両家族の中で事情をまだ聞かされていないのは、ゆなとまそらだ。


 二人とも、もともとかなりしっかりしていた。

 そして、似たところを多く持った二人が出会い、しっかりした部分も強化されたというか、抑えなくていい相手と場所が増えて、本来のものを、より出すようになったというか。


 そういう感じの二人なので、話したことを秘密にしておけるか、といった心配は、親たちもテイクもすでにしていない。


 ラビィについて話す場合も、ラビィは実験のロボットで、というカモフラージュの段階をはさむことなく事実を話しても、周りへの対処は適切にできるだろうとも思っている。


 ただ、二人が、超常に対してそれぞれどういうスタンスをとろうとするかは、話してみないことには、実際のところは、わからない。


 極端な反応を示して大騒ぎとか、極端な行動に出るとか、そういうことはなさそうだと見てはいるものの。


 明かされて、目の当たりにして、そのあとどうしていくか、いきたいか。


 親やラビィやテイクと、どういう距離感で、スタンスで、接していきたいか。それぞれと、どういう気持ちで接していきたいか。どういう関係ですごしていきたいか。


 そうやって選ぶものが、ゆなとまそらで重なるか、異なるか。


 そのあたりは、わからない。



 親たちもテイクもまだ、話すときを決めきれない。


 長いつきあいののちに明かして、そこからまたいろいろとつくり直すよりは、もう明かしたほうがいいのでは、という考えもあるし。


 今より自分たちだけで行動できるときまで待ったほうがいいのでは、という考えもあるし。


 ゆなとまそらだけで、村外で、会いたいときに会うことができたり。

 ゆなやまそらだけで、またはゆなとまそらだけで、来たいときに村に来ることができたり。

 親が村に来る際、一緒に来ないで別のところですごしたり。


 そういったことがしやすくなってから明かしたほうが、知った二人が行動しやすいのでは、という考えだ。


 誰がどの考えに賛成、反対というより、各考えに利点も気にかかる点もあるから、どうするのがいいか悩んでいるという状態である。


 ちなみに、ずっと知らせないまま、親たちの事情にこれ以上深く巻き込まないという選択肢もないわけではないが。


 ゆなやまそらとの、この先の関係を早々にすっぱりと切るのでもない限り、ずっと事実を伏せてすごしていくのは、非常に難しい気がするというのが、親たちの予測だ。


 それに、明かした結果、距離を置きたい、関係を切りたいと、ゆなやまそらが望んだ場合は別として、自分たちの側から関係を切りたくはないというのが、親たちの気持ちである。



 知っている側が、知らせるかどうかや知らせる時期等の主導権を一方的に握ることの、ある種の勝手さというようなものも、親たちもテイクもわかってはいるが。


 話す? いつ話す? と、まだ話していない相手にも相談したら、その時点で話しているのと同じようなものなので、そうするわけにもいかないし。


 今はまだ、二人の様子を見つつ、いつ話すかの決定は保留で、検討継続という路線は、昨日の集まりでも変わらなかった。


 なお、ラビィの意向は、育生とゆかりが話すと決めたときに話してほしいというものだ。



 集まりのあと、親たちは、ゆなとまそらと合流し、二人が着ていたドレスを返却してから、六人で夕はんへ。


 ラビィはメンバー経由でドレスを返却し、育生が迎えに来るまで、結界内の体操教室で体を動かした。



 いつ明かすのか、聞いたゆなとまそらがどうするのか、現時点ではわからない。


 けれどいつか、事実を知ったゆなとまそらもまじえて、みんなで楽しくすごせたらいいなと思う。


 優月が一方的に願っていることではあるが。


 写真を見終え、二杯目の飲み物を味わう、育生、ゆかり、ラビィ、コトハ、茶を見ながら、優月はそういったことを考えていた。




 後日。


 手提げ袋、無事、使える物ができました! と花山家。

 入学後まで待つことなく、ゆなはさっそく使い始めたそうだ。




お読みくださり、ありがとうございます。


次の投稿は、5/9(土)夕方~5/10(日)朝あたりを予定しています【2026年5/3(日)現在】

(状況によっては、それよりあとの、(土)夕方~(日)朝あたりになるかもしれません)


今後もどうぞよろしくお願いいたします。



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