表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/277

祐紀の目覚め 2

 祐紀は出された重湯を食べていた。

医者からの指示で布団から出ることを禁止されており、食事は布団の上で取っている。


 空腹感はあるのだが、思った程食べられない。 

さすがに2日間も寝ていたという事だけあると内心でぼやく。

ご飯茶碗で1杯半食べただけで箸を置いた。


 お紺からお茶が出され、一口飲む。

お茶が美味しい。

お茶を飲み干し、お代りをする。

お茶を半分ほど飲んだところで、湯飲みを両手でそっと包み込む。

手に伝わる《《ほんのり》》とした(ぬく)もりを()みしめる。

すると食事で体が暖まったためだろうか、睡魔が襲う。

(まぶた)が閉じそうになっては、ハッとして瞼を開く。

それを何回か繰り返す。


 その様子を見てお紺が笑った。

そして飲みかけの湯飲みを祐紀から受け取る。


 「祐紀様、寝られたらどうですか?」

 「いや、起きていようかと・・。」

 「どうして起きていようとするのですか?」

 「・・あ、うん・・・、2日間も寝て起きたばかりだからね。」

 「でも、無理して起きている必要はないと思いますけど?」

 「・・そうかな?」

 「はい、すこし横になられては?」

 「うん、そう・・するね・・。」


 そういうと祐紀は布団で横になった。

横になったとたん、睡魔に負けて寝息を立て始めた。

お紺はその様子を見て、一瞬不安になる。

また、起きなくなるのでは・・?と。

思わず声をかける。


 「祐紀様?」

 「・・・う・・ん。」


 祐紀が応えてくれたことでお紺は安心した。

どうやら大丈夫のようだ。

このまま寝かせてあげようと、祐紀の上掛け布団をかけ直す。

そしてお粥の膳を、音を立てないように気を付けながら運び去った。


----


 祐紀が目を覚ますと、辺りは暗くなっていた。

どうやらいつのまにか寝てしまっていたらしい。

起きようとすると声がかかった。


 「祐紀よ、起きたか?」

 「あ! これは御奉行様!」

 「よい、そのまま寝ておれ。」


 そういうと佐伯は祐紀の肩を軽く押さえて寝かせつける。


 「すみません、御奉行様。」

 「御奉行様、ね~・・」


 そういうと佐伯は不満そうな顔をした。

祐紀は怪訝な顔をしたあとハタと気がついた。


 「あ、えっと、佐伯様、その、ご心配をおかけしました。」

 「おお、呼び方を覚えておったか?」

 「え、はい・・。」


 祐紀は、佐伯様と呼ぶのには抵抗があり困惑する。

そうとは言え、御奉行自らの指示のため、なんとか慣れようとしていた。


 「ご心配をおかけしてすみません。」

 「うむ、まあ、目覚めてなによりじゃ。」

 「はい。お手数をかけました。」

 「よいよい・・、そんなに恐縮するでない。」

 「・・はい。」


 「お前の養父から、お前が倒れたのは御神託によるものだと聞いておる。」

 「・・・。」

 「どのような御神託じゃ?」

 「それが・・、その、思い出せないのです。」

 「どういう事じゃ?」

 「前もそうだったのですが、時間と共に思い出すかと。」

 「そうか? そういうものなのか?」

 「いえ、普通はそのような事はないのですが・・。」


 「何か理由があるのか?」

 「それは、私にもわかりません。 神のなさることですから・・。」

 「そうか・・。」

 「はい。」

 「お腹は空いておるか?」

 「いえ、寝る前に食べたばかりですので。」


 「では・・、飲み物は?」

 「それも、今はいりません。」

 「そうか・・。」

 「・・・。」

 「まだ、横になっていた方がよいのでは?」


 その言葉に祐紀は瞬きをした。

そして何か言おうとしてグラついた。


 「これ! 祐紀、大丈夫か!」

 「あ、え、はぃ、ちょっと目眩が。」

 「寝ていなさい!」

 「え、でも・・。」

 「儂への気遣いは無用じゃ。」

 「・・。」

 「寝なさい。」

 「・・はい。」


 そういうと祐紀は横になった。

体が重く、また睡魔が襲ってくる。

(まぶた)が閉じそうになるのを()える。

瞼が閉じそうになっては開く様を見ていた佐伯が声をかけた。


 「目を閉じなさい。」

 「・・・はい・・。」


 祐紀は素直に目を閉じた。

すると睡魔が祐紀を包み込んだ。

祐紀はすぐに意識を手放した。

やがて(おだ)やかな寝息を立て始める。

そのようすを佐伯は暫く見届けた。

やがてゆっくりと佐伯は立ち上がった。


 佐伯は日が暮れる前に祐紀の側にきて、それからずっと付き添っていたのだ。

お紺が自分が付き添うからというのを断り側にいた。

祐紀の養父から預かったと言うことだけで無く、祐紀を気に入っており心底心配していた。

祐紀の寝顔を立ったまま確認をして呟く。


 「うん、寝息も穏やかで、顔色も大丈夫そうだ。」


 そう言うと、佐伯は音を立てないように、その場を去った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ