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寺社奉行に噂の話しをする。

操作を間違えて、完了設定を押してしまっていました。

お詫びいたします。


今日、自分で本サイトを見たら完了になっていて焦りました。

もし、完了した小説を一気に読もうとされていた方がいたなら、本当に申し訳ありません。


まだ暫くは連載を続けたいと考えております。

そして、毎日の更新が続かないことがありますが、よろしければお付き合いしていただけばと思います。


 祐紀(ゆうき)はさらに寺社奉行(じしゃぶぎょう)佐伯(さえき)に報告をする。


 「後ですね・・。」

 「まだあるのか?」

 「あ、いえ、たいしたことではないのですが・・。」

 「なんだ?」


 「()の国の(うわさ)が結構、(ちまた)(あふ)れていますね。」

 「まあ、それは多少はあるだろうのう。」


 「たとえば(いん)の国の税は重く、武家は(ぜい)をつくし暮らしているとか?」

 「まぁ、本当ではないが、民が腹いせにする噂だろう・・。」

 「緋の国は税が軽く豊かに暮らせるから、緋の国の領土になった方がよいとか?」

 「!」

 「陰の国は、緋の国を攻めようとしていて、緋の国がしかたなく攻めてくるかもとか?」

 「ほう・・。」

 「緋の国は民にやさしいので、戦になっても民には手をださいないとか・・。」

 「・・・」


 「噂はまだ差ほど広がっておりません。しかし、徐々に《《まことしやか》》に広がりつつあるように思えます。」

 「ふむ・・。」

 「これらは、私が(みやこ)に来る途中、耳に入った噂です。

そして、都から遠い程、噂が広まっていますね。

ただし、私の神社周辺では聞いたことはなかったので、峠から都側にあるようですね。」


 「なるほど・・。」

 「もし、(たみ)がこの国より緋の国になった方がよいと考え始めたらどうなります?」

 「そうじゃのう・・、まずいのう。」

 「では、早急に・」


 「あわてるでない。

対処はするが、慌てて火を消そうすると返って民が疑心暗鬼(ぎしんあんき)になる。」

 「?」

 「祐紀よ、よく考えよ。

その噂は峠道から都に向けての噂話しであろう?」

 「え? ええ、そうです。」

 「その道筋で()の国からの軍勢がくるためには、お主の神社の領域を通らねばならぬ。」

 「はい、そうですが・・。」

 「峠道からお主の神社を通り緋の国の国境に抜ける道筋の村での噂はどうじゃ?」

 「そういえば、そのような噂は聞いたことがありません。」


 「もし、本当に進軍するなら緋の国の国境から広げねばならぬ。」

 「・・確かにそうですね。」


 祐紀は佐伯の言葉に納得した。

さすが切れ者と噂された寺社奉行である。

老中が一目置くというのも納得できる。


 佐伯は祐紀に目を据えて問いただす。


 「祐紀よ、緋の国が今回の噂を広げたいと考えた場合はどうすると思う?」

 「?」

 「よく考えて答えよ。」

 

 佐伯様は何故にそのような事を私に問うのだろう?

私は佐伯様に見たままの事を伝え、なぜそれを伝えるのかだけ言うつもりであった。

私は神職の一人にすぎないのに、そのような政略は分からないのに・・。


 そう思うのだが、さすがに寺社奉行の問いかけにそのような事は言えない。

祐紀は佐伯から視線をはずし、すこし下を向き考えた。

そして考えをまとめ話し始める。


 「私なら、噂を確実に広めるためにどうすれば良いか考えます。」

 「ふむ。」

 「そのためには、民がどう捕らえ、噂を広げるか知る必要があります。」

 「・・・」

 「まず、交流のない離れた複数の村を選び、民が何に不平不満があるか調べます。」

 「ほう・・。」

 

 佐伯は口は挟まない。

相づちを打つだけだ。


 「そして、その不平不満を利用し、どのような人にどのように伝えるか考えます。」

 「どのような人とは?」

 「交友範囲が広く、好奇心旺盛、思い込み安く、周りから慕われている、または信頼があり、おしゃべりな人です。」

 「ふむ。」

 「そういう人々に噂を流します。

噂を流す村は、噂が広範囲に広がっても、役人が気付きにくい所を選びます。」

 「うむ。」

 「そして噂の広がり方で重要なのが、その国の土地柄かと思います。」

 「・・・」

 「その土地柄を知ることにより噂となるやり方が分かるでしょう。」

 「うむ。他には?」

 「噂を流す前に、噂が美味く広がるか試す必要があるかと。」

 「試すことで、実際に噂を流す前に策略がバレるのではないか?」

 「はい、ですから画策したのが私(私の国)であると断定されないようにする必要があります。」

 「うむ。」

 「佐伯様は、それが緋の国の国境でなく、我が国の内側にある峠道だといいたいのでしょう?」

 「ほう、その理由は?」


 「おそらく峠道で私が見かけた行商人が噂を広めたと思います。」

 「・・・」

 「その土地に居着いておらず移動しながら何気ない立ち話で広げ、それを沢山の人がさらに伝えるため、噂は誰が流したか特定できなくなります。」

 「・・・」

 「それに、緋の国の国境近くでなく、我が国の内部の寒村から流れる噂なので、緋の国の者が画策したというには無理があります。」

 「ふむ、よい考え方じゃ。」

 「しかし、緋の国は狡猾ですね。」

 「どうしてそう思う?」

 「一度広まった噂は消してもくすぶりますし、下手な消し方をするとやぶ蛇になります。

緋の国にとっては噂を試して成功すれば上々、失敗しても問題ないではありませんか。」

 「ほう・・、よく分かったのう。」

 「いえ、佐伯様の助言がなければ気がつきませんでした。」

 「ははははは、謙遜するでない。」


 そういうと佐伯は、だまり腕を組む。

そして目を瞑り、しばし時間が過ぎる。

やがて目を開くと祐紀に語りかけた。


 「すまぬが、殿との面会の前にこの件を調査したい。

 待ってもらえるか?」


 「ええ、構いません。 そちらを優先して下さい。」


 祐紀の言葉を聞くと佐伯は祐紀を見つめて言った。


 「祐紀、今日からここに住め。」

 「え? いや、それは・・。」

 「この家の者にはもう伝えてある。」


 そう言うと佐伯は席を立って、さっさと出て行ってしまった。

後に残った祐紀は呆然とした。


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