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イデア  作者: 天汰唯寿
第3部 「帰るべき場所」
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第四十四話 「心優しき盾」

コアmemo No.4

「ハイド・アンド・シーク」


使い手:レスム

通常は指輪の形をしたコア。強度もそれなりにある。

シンプルにシルバーで作り上がっており、ただ一つの青い宝石が映える。

翳した人や物の記憶を読み取りコアに溜め込む能力と形状変化する能力の二つを持つ。

時は遡り、レスムの視点になる。


彼はノートの安否が分かり一安心していた。

だが一つ気掛かりなのは、このパソコンの不調具合だ。


ここのところ使っていなかったせいだろうか。


実際このパソコンは長年愛用していたものだし、そろそろ壊れてもおかしくはない。


「んー…買い替え時かなぁ。」


第一、パソコンに能力を使っている時点で負荷をかけ過ぎている。



「…まいっか。とりあえずダイラちゃんを連れて行かなきゃな。」


彼女はソファの上ですやすやと眠っている。

余程疲れたのだろう。


「…なんにもなきゃいいんだがな…」



ふとよぎった嫌な予感。

時計の針を見ると、7時6分6秒を指していた。


「おいおい待ってくれよ。6が二つも揃ってるじゃないか…。


不吉な数字だ…まったく。

大抵そうなんだ。1日のうちに『6』を3回見ると大抵嫌な事が起こる…」



言わずもがなそれは悪魔の数字。

彼の経験上で得た、価値観込みの推測法だ。



「が…仕方ない。とにかくダイラを連れて行くとしよう…」


レスムは少女を優しく揺さぶる。






……








家を出て数分。

目的地まではあと5分で着くだろうか。



「レスムさん…だっけ?」

「ん?どうした?」


「…あの街に行くの?」


「そうだな。君を家に送らなきゃ。」



「…怖いの。」


「怖い?

…ああ。あのノートが闘った男の事か?」


「うん。それに、あの街は夜になると怖い人が沢山出てくるの。」


「ナルホドな。だけど、俺もある程度は闘える。


いざとなれば俺も頑張るよ。」

「そうじゃない。



そんな軽いモノじゃない。」


「?」


「あの男達は…人間じゃない。」



不気味に心を通り過ぎる夜の風。


大自然の警告だったのか。



猜疑の心が揺れる。




「いやいや、じゃあなんだ?


そいつら、悪魔か何かって言うのか?」



「少なくとも…人だとは思う。」




どうも嘘を付いているようではない。

素の表情だ。




話し終える頃には、もう目的の街に入っていた。


「…やっぱり…いる。」


少女がぼそり呟く。



「…!」


カラスが背後で鳴いていた。

電線にとまっているのだろうか。



「…まさかだけどさ…?」


ゆっくりと振り返った。


そのまま顔を上に向ける。




カラスは確かにそこにいた。


すぐに何匹か数えられた。




6匹だ。


「!!」



辺りを見渡す。

だが敵の姿はない。



少女は座り込んだ。


「来る…!周りから沢山!」



潤み気味の声で、必死に叫んだ。


その声は、しっかりとレスムに届いていた。



返答するよりも早く、何かがこちらへ放られている。


「! やばいッ!」



瞬時にそれが手榴弾だと気づいた。

けれど逃げる時間はない。



地面に着き、レスムの目の前で爆発した。






「あー、これはやったか?」

「兄貴ーッ!やりすぎですよー!」




わらわらと群がる10人程度の男。


待ってましたとばかりに、「兄貴」と呼ばれるその男へ駆け寄っていく。


その男には見覚えがある。


ノートと無線を繋ぐために彼の記憶を覗いた時、この顔があった。

つい数時間前に戦っていたチンピラだ。



「いいじゃねぇか。コイツはアレの連れだ。


仕返しにはもってこいよ。」










「…誰が…仕返しだって?」


一同は目を丸くする。



煙の中でまだ立っている男がいる。

至近距離の爆発を食らったのに、だ。




「仕返しってのはよ…?相手に完全なトドメを刺してこそ仕返しじゃねえのか?」


煙が晴れると、その顔が明らかになった。



正気はある。しかし険悪な顔つきで相手を見つめている。



片手には身長と同じ程の盾。




男達がそれを見ることは無く、その前に盾は指輪に戻った。



「貴様どうやって…!」

「簡単だ。盾で防いだ。


間一髪だったがな。」


「ハン、盾で何ができる?」


「いくらでもやりようはあるさ。

全部実戦で教えてやる。」



「いい度胸だ。」


「さて、俺もそれを教えてやるんだ。こちらからも教えさせてくれよ。」


「?」



「聞いたところじゃ、お前エセ関西弁とか使ってたらしいじゃないか?

なんでまた言葉を変えたんだ?」


「そうだな。ダサかったからだ。」


「お前の生き方以上にダサいものがあるのか?」




「キサマ…!!!」


月に照らされたその道は、紅く輝いて見えた。

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