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イデア  作者: 天汰唯寿
第3部 「帰るべき場所」
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第四十二話 「袋の鼠」

研究所 一階


「中に入った。残りはどこだ?」


『少なくとも地下ではないようだ。階段付近は用心しとけ。』

「了解」


だが、どうにか階段近くまで近付きたい。




一歩ずつ慎重に足を進める。



出来る限り音を目立たせずに。






あと数歩で階段下だ。

しかし、安心してはならない。


階段の手前数メートルの場所に、部屋の出入口がある。




隠れているかも知れない。


そう考えるのは当然のことだ。




…相手は二人。部屋に隠れるとしたって、纏まって同じ部屋に隠れるなんて事するだろうか?




結論は出た。





床を(えぐ)る勢いで踏み込み右の壁を壊した。


木っ端微塵に吹き飛ぶ瓦礫から影がはみ出た。



案の定、それは警官だった。


「悪いな。そこで寝ててくれ。」



先程の衝撃で、脳震盪まで起こしたようだ。




仲間の無事を確認しに来た二階の敵が姿を現す。


「想定通りだ。」



右手の大剣を、警官に向かって思い切り投げつける。


それは左足を微かに仕留めて奥の壁に刺さった。



左足に力が入らなくなったせいか、警官は体勢を崩した。


ノートはそこを見逃さなかった。



ひとっ飛びに階段まで行き、

警官の腕を掴んだ。



「お前も寝てろ。」


そのまま宙に警官ごと体を投げ出し、床へとぶつけた。




ここまで派手にやったとなると、最早殺人罪どころではなく、公務執行妨害まで食らうだろう。


今となっては、もうノートは本当の罪人なのだ。




彼の心はただ一つ理由で動いていた。


「思想界に戻る」という、ただ一つで。



それは正当な理由ではない。


しかし彼にとって、それ以上の理由はなかった。





……




研究所 地下


ノートは地下に辿り着いた。

疲れた体を癒す間も無く、機械のドロッパーを覗き込む。



どうか、間に合ってほしい。








そこには、灯火のような輝きの鉱石があった。







今にも消えてしまいそうな弱々しい光。



地を照らす雲一つない夜空。



瑠璃に僅かな赤を足した光で此方を見つめている気がする。




「間に合った…か。よし、早く作らなければ。」


懐から取り出した小瓶に、(つま)み上げたその鉱石を一粒放り込む。




軽くかき混ぜると、あっという間に溶けていった。



「出来た…出来たぞレスム!」









彼はレスムの返答を待った。





だが、返答はなかった。



「レスム?」






「あぁ悪い、席を外してた。」


「なんかあったのか?」






「……こっちの手助けがバレたっぽい。」


「何?」


「いや正確には分からないんだが、さっきからパソコンの挙動がおかしいんだ。

大体こういう時って、ハッキング掛けられてたりとかあるからさ。」


「じゃあどうする?」


「今アンタは袋叩き一歩手前。こんな状況で俺の家にあがってきてみろ。一瞬で詰みだぞ。」



「ならせめて、ダイラを送りに行きたい。」


「そうだな……なら、ダイラちゃんが住んでる街の商店街で待ち合わせしよう。


そこなら追っ手も来ないだろう。」


「場所の情報だけ送ってくれ。どうにか向かう。」



「分かった。無事を祈ってるよ。」




電話を切ると、すぐに情報が送られてきた。


「さて…こっからどう出るかな…」






……














玄関の扉が蹴り飛ばされた。


ある警官が、壁に多少ヒビを入れながらも、扉をこじ開けた。



外には見渡す限りパトカーが停まっている。


一人の警官がとった勇気ある行動によって、

十人程が研究所に到着していたのだ。




扉をこじ開けた警官に続き、何人かの警官が研究所へ突入する。




すると、彼らは倒れている仲間二人を見つけた。


「! おい、大丈夫か!!」


「…あ…あい…つ…は…」


「?」




「あいつは……バケモノだ…敵うはずがない…」


「そんな弱音はいい。犯人はどこに行った?」




「敵は…二階に隠れているようです。」



返答主の警官は、地下から現れた。



「地下には何も無かったのか?」

「ええ。変な機械と薬品か何かが転がっているだけでした。」


「そうか。ならば二階だな。ヤツはまだ、この研究所内から出てはいないんだからな。」



「増援を呼びますか?」


「あぁそうだな。あと何人か連れてきてくれ。」

「分かりました。」




警官達は、階段を登り始めた。

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