第4章 第五十五話「平野」
幕間 第三章終了時点
三章が終わったので、二人の窓を開いておきます。本編でレンが口にした物とミアが打ち明けた物を、そのまま並べただけです。
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【ステータス】
名前:レン
Lv:13
HP:91/91 MP:31/31
筋力:21 体力:22 敏捷:24 魔力:17
所持SP:3
ギフト:―
スキル:剣術 Lv8(必要SP:1)
身体強化 Lv2(必要SP:1)
回避 Lv2(必要SP:1)
気配察知 Lv1(必要SP:1)
応急手当 Lv1(必要SP:1)
鑑定 Lv1(必要SP:1)
???
装備:刀/黒鱗の胸当て/黒外套
冒険者ランク:E(ギルド直属)
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【ステータス】
名前:ミア
Lv:29
HP:154/154 MP:48/48
筋力:35 体力:37 敏捷:43 魔力:36
所持SP:0
ギフト:鷹風
スキル:風矢術 Lv8(統合)
短剣 Lv3
気配察知 Lv3
身体強化 Lv3
応急手当 Lv2
装備:無弦/弓/短剣
冒険者ランク:C(ギルド直属)
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ミアの弓術Lv5と風魔法Lv3は風矢術に統合されて窓から消えています。統合すると元の二つは一つになります。
レンの???は窓がそう表示している物で、本編でもまだ名前が付いていません。
北の平野は広くて、畑が終わると草地になり草地の先にまた畑があって、街道はその真ん中を一本だけ曲がらずに通っている。両側に木がほとんどないから隠れる所がなく、それは向こうも同じで来れば見える。
「後ろ、何もない」
ミアが馬の上で振り返って半刻ごとに同じことを言い、鷹風の目で街道の端まで見てから前を向く。
俺は馬の上で揺れていた。昨夜はミアが戻るまで起きていて戻ってからは話を聞き、聞き終わる前にバルガスが来てそのまま出たので寝ていない。老いた馬の背は固くて揺れが大きく、揺れるたびに目が閉じていく。
「寝ていいわよ。落ちたら拾うから」
「落ちない」
落ちはしなかったが眠れもしなかった。
昼前に一つ目の村が見えてきた。
街道の脇に家が二十ほどと井戸が一つあって、畑で働く人が顔を上げて俺たちを見てからまた畑に戻る。王都の西で寄った村と同じで旅人を珍しがらない顔だった。
今度は金があるのでバルガスの革袋から硬貨を出し、パンを四つと干し肉と水を買った。村の中を子どもが三人ついてきて黒い外套を見ている。一人が指差して何か言いもう一人が笑い、ミアが振り返って手を振ると三人は走って逃げて井戸の陰からまた顔を出した。
「真っ黒だもの。目立つわよ」
「脱いだ方がいいか」
「脱いだら剣が通る。着てなさい」
井戸で馬に水を飲ませていると桶を提げた男が隣に来て、俺の外套ではなくミアの弓を見ながら北へ行くのかと聞いた。ミアが山までだと答えると男は桶を置いて頷く。
「山まで何日?」
「馬で六日。二つ目の村が三日先で、そこから先は道が細い」
「ここ数日で騎士は通った? 白い鎧の」
「騎士? 来てねえな。ここんとこ北へ行く奴も南から来る奴も少なくて、通ったら分かる」
バルガスの言った通りで、騎士がまだ来ていないことだけが新しかった。
村を出て街道を北へ行く。昼の日が高くて畑が白く、馬の影が短い。
夕方、ミアが馬を止めた。
前を向いたまま止めてから首だけ回して後ろを見て、半刻ごとに見ていた時よりずっと長く見ている。
「……四騎」
「俺には見えない」
「街道の一番向こう。鞍が白い」
俺も振り返ったが街道は夕日で赤くてその先は霞んでいて何も見えず、ミアの目にだけ見えている。
「トリムの四騎か」
「分からない。四つで白いのは同じ。追ってきてるのか北へ行くだけなのかも分からないけど、こっちの速さなら夜のうちに追いつかれる」
ミアは手綱を引いて馬の首を街道から外し、畑の縁へ入った。畝が邪魔で馬は速く走れないが街道からは見えにくい。
「畑を行く。四騎は街道を来るし畑には入らない」
「馬が持たないぞ」
「老いた方はもう少し持たせる。七日目まで」
バルガスの言った数字をミアも覚えていた。
日が落ちて畑の縁は暗くなり、馬の足音だけが聞こえる。
街道の方に光が出た。松明が四つ、南から北へ速くはない。畑の縁と街道の間は畝が二十ほどで立木が一本だけあり、ミアが馬を降りてその陰に引いたので俺も降りた。老いた馬が鼻を鳴らしかけたのを首を叩いて黙らせる。
松明が近づいてくる。蹄の音と鎧の音が重なって、四騎は街道の真ん中を固まって来てこちらを見ずに通り過ぎた。松明の光に白い鞍と白い鎧が浮いて、先頭の騎士が一度だけ畑の方へ顔を向け何も見つけずに前へ戻す。
音と光が北の暗がりに消えてから、ミアが弓を握っていた手を離して息を吐いた。
「……先に行った」
「追ってきてたのか」
「追ってきてたなら畑を見てた。でも前にいることは変わらない。二つ目の村で待ってる形になる」
前に四騎で後ろは誰もいない。前にいる方が悪い。
「二つ目の村は通らない。手前で街道を離れて山に入る」
「道が細くなるのはその村から先だって言ってたぞ」
「細くなる前に、道のない所から入るのよ」
ミアは馬に戻って手綱を取った。
「夜のうちに畑を抜ける。あんたは少し寝て」
「馬の上でか」
「そう。落ちても拾わないから自分で掴まってなさい」
俺は馬に乗って、揺れが来て目が閉じて、今度は開かなかった。
目を開けると空が白くて畑はもう終わっていて、草地の向こうに黒い線が横に伸びている。雲ではなかった。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
第三章「器」はこれで終わりです。王都へ連れて行かれて、儀式を受けて、逃げて、トリムへ戻って、また出ていく。レンが強くなった章ではなく、何も持っていないことを一つずつ確かめた章になりました。
感想やブックマーク、評価をくださった方、本当にありがとうございます。一人で書いていると自分が何を書いているのか分からなくなる時があって、読んでくれている人がいると分かるだけで次の話が書けます。
第四章は北へ向かいます。山があって、山の向こうに教会のいない国があります。追う側も本気になります。
これからもよろしくお願いします。




