「罠にかかった獲物」
ジュリウスを中心とした他登場人物は、以下のエピソードにも登場します。
人物関係については、「登場人物一覧」もあわせてご参照ください。
「進学」「棚からぼた餅」「カナリヤ」
ルイーズは自分で言うのもなんだが、苦労人だと思う。
母親の実家であるコドソン子爵領と、隣地の父親のレイノルズ伯爵領が、王都から遠方にあり、なにをするにも移動時間がかかる。そのため幼い頃から、王都にいるいい加減な父親に代わって、地元にいる自分が領地経営にかかわらなければならなかったし、家の管理を率先して行わねばならなかった。
当然、幼い子どもに最初から上手く出来るわけもなく、その失敗を本来、責任を背負うべき父親によって厳しく叱責される。理不尽だとは思ったが、長女であり、自分の下は妹しか生まれず、消極的な理由で跡継ぎの使命だと、自分に言い聞かせた。
そしていくら伯爵令嬢とはいえ、実の父親にいいように利用されているルイーズを、敬ってくれる使用人たちも少なく、難しい立場で伯爵家を切り盛りしていかねばならなかったものだ。
そんな時に全面的に支援してくれたのが、隣地の母方の実家、コドソン子爵家だ。その当時は母親の弟一家と祖父母が健在で、なにかと世話をしてくれた。彼らがいなければ、レイノルズ伯爵領は、早々に破綻していただろう。ルイーズは苦労していた。でもそれを支えてくれる人々がいた。
その空気が変ったのは十二歳の時で、地域に革命が勃発する。民主主義運動が各地に広がりを見せたと思うと、小さな衝突から武装蜂起が起こりやすくなり、それが内乱につながっていく空気ができていた。それ自体は保守勢力の圧力により、すぐに鎮圧され、死者数は多かったが、政府の枠組みが壊れるようなことはない。
だが制圧に向かった、叔父のコドソン子爵が戦死したのだ。
ずっと可愛がってくれた、優しい叔父の戦死に、長い事立ち直れなかった。それはみな同じで、ルイーズの母カタレヤも、妹のマデリーンも、叔母の子爵夫人も、ハンクを始めとした叔父の子どもたちもそうだ。
亡くなった叔父の両親である前子爵夫妻は、当時十歳の長男である孫ハンクに爵位を託し、それを懸命に支えた。だが大黒柱を亡くした子爵家はうまくまわらず、ルイーズは今こそ恩を返すときだと決意する。叔父にしてもらったように、従兄弟ハンクに恩を返そうと。
だがそれはあの手この手で父親に邪魔をされ、納得できず、とうとう父と向かい合う決心をした。王立学院の中等科に入学するにあたり、王都に上京することになる。今は上手く面会できない父親に、直接、話をして、気持ちをわかってもらおうとした。つまりはこの状況を、まだなんとかできると夢を見ていたのだ。
十三歳になる年に、王都のタウンハウスに移動し、久しぶりに父親に対面し、そこでどうしてこんなにもうまくいかないのか、その理由を理解する。
ずっと憎まれていたのだ。
レイノルズ伯爵である父親パトマは、若い頃に幼馴染みのノラという女性とつきあっていた。だがその交際は当時伯爵だった祖父の猛反対にあい、決められた婚約者カタレヤと結婚する。このことがどうしても許せなかったパトマは、妻のカタレヤと、長女のルイーズ、次女マデリーンを領地に追いやり閉じ込め働かせていた。そして自分は華やかな王都でノラと過ごし、間に愛娘オードリアまで設けている。
オードリアはルイーズと同い年。つまり別れたふりをしただけで、ずっと一緒だったのだ。理不尽だ。納得できなかったからと言って、正妻とその子ども二人を放り出していいはずがない。それにずっと領地のために尽くした自分が、なぜこんな目に合うのかと悔しくて仕方がない。
だが同時に、愛人ノラと、溺愛しているオードリアを両脇に侍らせてご満悦の、パトマを前にして、どうやっても太刀打ちできないとも思った。つらいが叔父の家を助けている余力はなく、下手をすれば母親も妹も見捨てる事になってしまう。
王都という情報が豊富な場所で、自分に力をつけるにはどうしたらいいかを必死に考えた。女官の登用試験を目指す事と、人脈をつくることに励むことが、ありきたりだが一番確実だろう。
そんな時にパトマが、シーラン子爵家の次男クワイエットを婚約者として紹介してきたのだ。初対面の時には可もなく不可もない人物だと思ったが、半年も過ぎると、最低だと感じるようになった。
伯爵家では、伯爵である父親は文字通りの王様であり、前伯爵がいなくなったと同時に引き込まれた愛人ノラは、女王様だ。王妃様ではない理由は、家を管理する能力はなく、君臨しているだけだからだ。伯爵家の人間も戸惑っているのが、二人の娘オードリアの扱いだ。
両親が結婚していないので、庶子という立場になるが血筋は良い。おまけに父親が甘やかし、ほしいものはなんでも与えるため、我が儘で傲慢な性格に育っている。伯爵家のお姫様であり、それでいて教育は行き届いていないという、中途半端な存在だ。
だがなんだかんだいって恵まれ、望むものはすべて叶うのに、彼女はルイーズの存在を憎み、徹底的に排除しようとした。ルイーズの衣類を切り裂いたり、アクセサリを損壊しようとし、世話をする使用人を取り上げたり、生活を滅茶苦茶にする。そして嫌がらせは激しくなり、しまいには婚約者のクワイエットを寝取ろうとしたのだ。
その計画が進行しているとき、なにが起きているのかよくわからなかった。度々、お茶会にオードリアが邪魔をしてくるようになり、少しずつクワイエットと親しくなっていく。半年も過ぎると、二人の魂胆も見えてきた。
オードリアは他人の物が欲しくて仕方がない下品な性格だし、彼女の接近を注意しても、適当な正論ばかり言って誤魔化そうとするクワイエットは最低だと。そのことをルイーズは、途中で抗議しても良かっただろう。
だが一つだけ謎があった。
この婚約は、父親が、ルイーズに嫌がらせをするために仕組んだ縁談のはずだ。少なくともルイーズは、そう解釈をしていた。
それなのに、なにを……。
どうしてそんなまずいエサに、オードリアはがっつりと、食いついてしまっているのだろう。「寝取ろう」ということは、つまりはそういうことだ。「もし子どもができてしまったらどうするの?」という心配を、無理矢理飲み込みのが、いかに大変か察して欲しいほどだった。
どちらにしてもオードリアがクワイエットとくっつくなら、ルイーズにはすべて関係なくなる。そう思って心置きなく試験勉強に打ち込んだ。
◇◇◇◇◇◇
あれから四年経った今、ルイーズは高等科二年生になり、受験を予定している王宮女官試験に、手応えがつかめるまでになっていた。難しい立場ながらも、王都でそれなりの人脈をつかんでいる。
頼もしかったのが王都には、研究者コミュニティというのがあることだ。普通の人脈は不祥事などを起こすと、あっという間に切れてしまうが、なにかを研究していると、自分がそれを続けている限りは途切れる事はない。叔父の戦死をきっかけに、地理地勢の研究を始めて、思ってもいなかった幅広い年齢層や、立場の人と交流するようになっていた。そうすると思わぬ情報が、耳に入ったりするものだ。
そこへオードリアを腕にぶら下げた、クワイエットが入ってきた。なんの用もないのに、この二人はわざわざ入ってきて、目の前でただいちゃついて、そして出て行く。ルイーズは、一つ一つを疑問に思うのはやめて、もうそういう生き物なのだろうと思うようにしていた。
「ルイーズ。君とは婚約を破棄する」
「あ、はい」
唐突に言ったクワイエットは、思った反応がなかったことに、尻すぼみに声を小さくし、ルイーズはなにも考えずにただ返事をした。彼は伯爵家に来ると、まずオードリアの部屋に入り、そしてどこにも寄らず帰っていく。もう何年も口を聞いていないルイーズからしてみれば、まだ婚約していたことに驚いていた。
「ちょっとぉ。盛り上がらないじゃない」
クワイエットに泣いて縋らなかったのが、おもしろくなかったらしいオードリアが文句を言っているが、彼女本人も仕方がないかという顔をしている。
「でも安心して。ルイーズ。むかつくあなたには、地獄を用意してあげたから」
ルイーズのせいで、庶子という立場に落とされたと思っているオードリアの、悪意は掛け値なしの本物だった。彼女は残忍な笑みを浮かべ、その後ろにはスラム街にいるような破落戸が数人いた。反射的に走って逃げだそうとし、ルイーズは椅子を倒したが、彼らの暴力的な早さには適わない。破落戸に片手で軽く腕をつかまれただけで、体が宙に浮かぶ。最後にどうしても気になり、オードリアを問いただす。
「まさか、オードリア。彼らはクワイエットが用意したの?」
「そうよ。ルイーズに痛い目を見せたいって、この私がお願いしたら、言うこと聞いてくれたわ」
「馬鹿!」
気絶させられながら、もっと早く逃げるべきだったろうか、でもそれでは試験が、それに……という考えを、ルイーズはずっと頭に巡らせていた。
◇◇◇◇◇◇
「ご苦労様です」
ボウエン伯爵家の客室の前にいる警備に挨拶し、ジュリウスは中に入った。客室には、人身売買にかけられるところを保護した、レイノルズ伯爵夫人カタレヤと、その長女ルイーズ、次女マデリーンがいる。下手人はルイーズの腹違いの姉オードリアと、婚約者のクワイエットだ。
「怪我の方はいかがですか」
「少し痕が残っているけど、じきに治りそうです」
「それは良かった。クワイエットに黒幕がいることは気がついていたのですか」
「はい。婚約が来たときに調べましたので」
「どのようなことを」
父親であるレイノルズ伯爵に婚約を紹介された時、ルイーズは「なんだかへんだな」と思った。
自分を憎んでいる父親が、良い話を持ってくるはずはないと。案の定、借金を背負っているシーラン子爵の令息だった。
そしてこうも思ったのだ。この話を「わざわざ探して、くれたのだろうか?」と。縁談話を見繕うのは、良くも悪くも大変で手間がかかるものだ。それを憎んでいる娘のために、するというのが、どうにもぴんとこなかった。伯爵はルイーズのことを忌み嫌っているし、それ以上にそこまでの関心がないように思えたからだ。
ということは、クワイエットとの縁談は、「誰か」が見繕い、用意した。
……なにかのために。
その可能性を考えて、半年かけてシーラン子爵家を調べた所、資金の流れがあやしかった。そしてレイノルズ伯爵家の敵対派閥、ブラックウェル伯爵家の傀儡である事がわかったのだ。
「ルイーズ嬢。その話。お父上には」
「無論いたしておりません」
「でしょうね。それで」
「それが分かった半年後には、クワイエットの子が、オードリアのお腹に……」
早いですね。と思わず言いそうになるのを、ジュリウスはぐっとこらえた。それにしてもルイーズ嬢は優秀だと、思考を無理矢理そらす。
ルイーズの方は同じ学院に通い、一年先輩のジュリウスが、仕事をする姿を、めずらしく思いながら、会話をつなげていく。
「父も、オードリアとクワイエットとの関係には、思うところがあったようです。でも今まで私や母に、真実の愛がいかに素晴らしいかを語ってきたので、撤回する事もできず、認めざるを得なかったようで」
「それで……、クワイエットの黒幕の狙いはなんだと思いますか?」
「あの家で、私たち母子にただ単に危害を加えたいのは、オードリアだけです。ぼんくらで傀儡のクワイエットが頼まれて、黒幕に人員を用意させたのでしょう。黒幕の狙いは、正妻と正式な跡継ぎを傷物にして、レイノルズ伯爵家を崩壊させる事だったと見ています」
まあそうだろう。だが一つだけ、ジュリウスには疑問があった。まるで誰かが敷いたレールの上を走るように計画が上手く行き、丁度良い所で崩壊したと。情報がほどよく貯まった所で、ルイーズへ疑問点をぶつけていく。
「率直に言ってクワイエットのようなクズが、あなたに本気でつきまとったら、はねのけるのは中々難しかったでしょう。部屋の中にまで入ってきたでしょうし。でもそこに丁度良く、別の女性、オードリア嬢がいたわけですね」
「……」
「そして彼の黒幕を調べ上げたのと、二人の関係がきりの良いところまで行ったのは、同時だったと。妊娠しては、もう引き返せませんね」
「……」
「ここ数年、マフィアの金回りが良かったのはなぜでしょう。まるで何か起きた時の、手付金が渡されていたかのようです。例えば貴人の人身売買とか」
「……」
「私が最も偶然にしては行きすぎだと思うのは、あなたの試験の準備が整った頃に、婚約破棄されたことでしょうか」
「だからどうだというんですか」
ルイーズは淡々と言い返した。そして目の前の人の良さそうな先輩が、確かに捜査官なのだと思い知り、感情が表に出ないように警戒した。そんな彼女の心の動きなど気にせず、ジュリウスは朗らかに言った。
「もしそうなら、ボウエン伯爵家から、君に仕事を斡旋しようかと思っていて」
「………………は?」
「レイノルズ伯爵家は崩壊寸前だ。当主が跡継ぎの婚約者に、嫌がらせでシーラン子爵家のクワイエットのような、質の悪い男をあてがった。そいつは愛人の娘オードリアと浮気し、未婚なのに子どもまでできている」
「子どもの件は秘密にしています」
「少なくとも私は知っている。噂に鈍い自覚がある私がね。当主は一つ屋根の下に正妻と愛人の両方を置いて、愛人の方を大切にしている。その上、庶子に庶子を生ませたわけだ。そんな乱れた家庭で育った跡継ぎ二名の、……えーと、あえて率直に言わせてもらうが、貞操もどうかと噂されている。もし君が私の妹なら、この瞬間、伯爵家から連れ出しているところだ。その上…………」
「人身売買でしょう。私と妹の世間での貞操は、もうぼろぼろですね」
ルイーズはつらいのだろう。目尻に涙が浮かんでいる。だがその目には力が溢れ、背筋をぴんと伸していた。
「誘拐の主犯はオードリア。実行犯はクワイエット。二人とも死罪だろう。レイノルズ伯爵は、クワイエットを家に連れ込んだ責任があるとして、有期刑に処せられる。通常なら君たち姉妹が跡を継ぐが、誘拐の件もあったから、表舞台に出るのはお勧めしない。そうするとレイノルズ伯爵家は、だれか親族が継ぐだろう」
「そう言われても、表に出ないわけには参りません。私、女官試験を受けて独り立ちしないと。誘拐のことが噂に上れば、合格は難しいでしょうが。母と妹を養うために」
そういったルイーズは、ようやく思い出したように言った。
「そう言えば、斡旋してもらえる仕事ってどんなものですか」
「高等科一年生に、ブラックウェル伯爵家の、セレスティーナ嬢が入ったのを知っているね」
「……セレスティーナ様。え、セレスティーナ様のブラックウェル伯爵家が黒幕になって、我が家は潰されたのですが」
「私が調べた所、現ブラックウェル伯爵夫妻が、金目当てにレイノルズ伯爵家を罠にはめたのだろう。成功すればその分、市場が広がるし、第一王子派閥のレイノルズ家を潰すという手柄を立てられて、ロレンス第二王子殿下に自慢ができる。おまけにレイノルズ伯爵領は国境沿いだ。今回の件で、政情不安をかきたてることができるだろう。あわよくば内乱のきっかけにできるかもしれない。それが狙いか……? いやあ、あの夫婦の目当ては金だろう。私はそう見ている」
つらつらと話すジュリウスの私見を、ルイーズはじっくりと聞いていた。
「私も調べた時に同じことを思いました。その、だから、私たち母子は第一王子殿下派閥なんです。ロレンス殿下についているブラックウェル伯爵家には……」
「勘違いしている人が多いのだが、ブラックウェル伯爵家は第一王子殿下派閥だ」
「…………信じられません。だって伯爵ご夫妻は」
「伯爵夫妻だけが第二王子派閥なんだ」
元々は第一王子派閥だったブラックウェル伯爵家が、ロレンス第二王子殿下に取り込まれつつあること。賄賂に弱い伯爵夫妻が、真っ先に傾いていることを、ジュリウスは説明した。
「ボウエン伯爵家は、ブラックウェル伯爵家をてこ入れしていて、私たちのような第一王子殿下派閥の人間は丁度良いわけですね」
「その通り。伯爵家では女性の人材がとにかく足りなくて、先日も侍女長と侍女が抜けたばかりなのだ。それで私の上司は君のお母上に目をつけていて、是非とも働いてもらえないかと」
「じゃあ、妹も」
「もちろんだ。女官になってもいいが、まずはブラックウェル伯爵家を、後見につけることをおすすめする。そうすれば君たちに対する不謹慎な噂は、すぐに消えるだろう」
自分たちを陥れた一家で働くのは嫌だろうかと、反応を見ていると、ルイーズはしばらく考え込んだ。
「……つまり。ボウエン伯爵家は、今回の事件をもみ消すために、私たちを取り込もうとしているのではなく。ブラックウェル伯爵夫妻の勢力を、削ごうとしていると。今回の不祥事の生き証人を手元に置き、ブラックウェル家の中で力を持たせることで、相対的に夫妻の立場を弱くするのが狙いなのですね」
「お察しの通りだ」
「それなら……。証言もしますし、役にも立ちます。だからお願いがあります」
「言ってみたまえ」
「叔父の領地を助けたいのです」
「どこだい?」
「コドソン子爵家です」
話を聞いたジュリウスは、頭の中で地図を広げながら勢力図を描いていた。
「レイノルズ伯爵領のすぐ側か。それこそ今回の目的でもある。内乱なんて起こさせないため、すぐに支援しよう」
「ありがとうございます。ぜひ働かせて下さい。ブラックウェル伯爵家がなにをしようと、私の父がしっかりしていれば、なにも起きなかったわけですから、遺恨はありません」
ブラックウェル伯爵夫妻の迷惑な行為によって、一つの家が事実上、潰され、その結果、ボウエン伯爵家に優秀な人材や、傀儡にできる貴族家が流れてきたことを、ジュリウスは少し後ろめたく感じていた。この辺りは、リックやレイモンドのように手放しで喜べるほど、割り切れていない。
伯爵夫妻のせいで帰る家を失ったルイーズたちに、その伯爵家での仕事を世話しようとは、鬼畜の所業だと感じる。せめてルイーズたちの面倒は、きちんと見ようと固く決心する。もっとも直接、話したルイーズの様子では、そんな心配はいらなさそうだ。
◇◇◇◇◇◇
翌週、ジュリウスが学院に登校すると、ルイーズが二年から一年に学年移動し、侍女としてセレスティーナの横を歩いていた。すべての責任を背負い込んでいたルイーズは、雇われの身になり、肩の荷が下りたらしく、屈託のない年頃の少女の顔をしていた。
ルイーズの笑顔を見て、胸の中でちくちくと痛みを訴えていた罪悪感が鳴りを潜め、自分の仕事が、彼女の笑顔につながったという良き面に目を向けることができた。
「今日も頑張るか」




